夫には想い人が居るらしいので、婚約破棄をしようとしたら泣きそうな顔で嫌だと言ってきます!?
【ユーリアス(夫)視点】夫には想い人が居るらしいので、婚約破棄をしようとしたら泣きそうな顔で嫌だと言ってきます!?
「夫には想い人が居るらしいので、婚約破棄をしようとしたら泣きそうな顔で嫌だと言ってきます!?」の、夫視点のお話です。
前回投稿した妻視点を先にご覧頂いてからこの話を読むとより楽しめます!!
是非そちらもご覧下さい……✨
※ド初心者なので、暖かい目でご覧下さいませ…
「ユーリアス様、本日はお天気がよろしいですね。」
「…ああ。」
何故君はそんなに可愛らしいのか。比喩表現とかではなく、リアの事を直視すると本当に失神してしまいそうだ。
サーマン王家に嫁いできたばかりの頃のリアは、俺の事を名前で呼んでくれなかった。だが、俺はしつこくリアに名前で呼ぶように言い続けたため、今ではこうして”ユーリアス様”と呼んでくれるようになった。嗚呼、可愛いが過ぎるよ俺のリア。
そんなことを考えていると、リアが「実はメイドと一緒にクッキーを作りましたの。もし宜しければどうぞ。」と言って、リアは私に可愛く包装されたクッキーをくれた。
「…良いのか。では、有難く頂く。」
……えっ!?!?!? これ、本当に俺にくれるのか!?!?
リアの手作りクッキーを!?!?良いの!?本当に!?!?
えっ嬉しい!!!嬉しすぎて泣きそうだ!!!!
あぁ、神よ。今日をとても素晴らしき日にしてくれてありがとう。今日が命日になっても良いくらいだ。
もういっその事、リアの手作りクッキープレゼント記念日でも作ろうか。
俺は必死に顔が緩まないよう、眉をキッと釣り上げ、ひたすら耐えまくった。
――ちなみに現在、俺の婚約者であるリアと昼に1時間だけ行うお茶会をしている最中である。
お茶会の時間を3時間にしようかと執事長に相談したところ、業務が終わらなくなるから駄目だと却下されてしまった。渋々、本当に渋々1時間にした。
こんなにもリアとのお茶会の時間を減らしたのに、執事長には苦い顔をされた。これでも少なすぎる方ではないか。
俺はこのリアとのお茶会の時間が大好きだ。リアの昨日したことや今日したことの話を聞いていると、業務での疲れが一気に吹っ飛ぶくらい癒される。
そんなこんなで、いつの間にかお茶会の時間は終わっていた。
俺はリアが自室へと戻って行き、周りには数名の使用人しか居なくなるのを確認すると、リアから貰ったクッキーを天に掲げ、今まで何とか堪えていた笑みを漏らし、えへへへへへと笑った。そして、リアからのクッキーを抱き締め、暫く緩みまくった口角を正すことなく、眺めたり、クッキーを天に掲げたままくるくると回転したりした。
周りにいた使用人達には、残念なものを見るような目で見られた。これでも一応次期国王だというのに。
――リアとのお茶会の話に戻そう。
リアはお茶会の時、たまにリアが刺繍を施したハンカチ等をくれる時がある。毎回貰う度に、口角が緩まないよう気を引き締めている。
………リアから貰った物はどうしているかって…?
勿論、リアから貰った大切なプレゼントを使い汚してしまったり、壊してしまったりすると思うと、とても使えそうにない。だから俺は、使用人と両親しか知らない、リアからのプレゼント専用の部屋を作り、そこに全て飾って保管している。
何か疲れた事があった時には、いつもその部屋に篭ってリアからのプレゼント達を眺めている。眼福である。
ちなみに今日貰ったクッキーは、腐るギリギリまでプレゼント専用部屋へ飾った後、3枚のクッキーを30分くらいかけ、ちまちまと味わって食べた。
リアの作るクッキーは王家御用達の調理人の腕を超えるかもしれない。この世の言葉では言い表せないくらい、それはとてもとても、本当に美味しかった。
―――こうして俺は幸せな日々を毎日送っていた。
毎月、リアにはドレスやアクセサリーを大量に贈りまくった。
ある日は、リアが雑用をしようとしていたので、必死に止めたりもした。俺の可愛いリアを汚してしまう訳にはいかない。
だが、ある日、事件は起こる―――
「よぅ、ユーリアス!元気してたかぁ!」
そう元気よく話しかけてくるのは、俺の友人であるルーカスだ。
この日はルーカスと同じ業務をこなす予定があり、その業務が始まる前に2人で駄弁っていた。
「で?いつまで婚約してる気なの?」
ニヤニヤしながら、ルーカスは俺に問いかけてきた。
「そうだな。もう婚約期間は終わりにしようと思っている。だが、中々彼女にそれを伝えられないんだ。俺は駄目だな………。」
彼女にプロポーズを中々出来ない自分が不甲斐なさすぎて嫌になる。
俺がそう言った後、足音がした気がしたが、この廊下には人は滅多に通らないので、勘違いだろうと思った。
そして、俺はその後もルーカスにプロポーズの仕方や愛の囁き方を伝授してもらったり、ひたすらにリアの可愛いところをルーカスに惚気に惚気けまくった。
そしてその日の晩も、俺は毎日リアと食べている晩食を楽しみに待っていた。だが、いつもなら早めに来ているリアが、待てど暮らせど、何時になっても食堂へ降りて来ない。
どこか体調でも悪いのではないかと心配して、リアの専属メイドであるマーシャに、リアの様子を見てくるように頼んだが、マーシャはリアが部屋に閉じ籠っていて返事が返ってこないと言った。
俺はリアがどこか痛いのではないか、何かあったのか、体調が悪いのかといてもたってもいられなくなり、直接リアの様子を見に行くことにした。
「リア……大丈夫か…?」
リアにそう問いかけても、返事は返ってこない。
「……リア、体調が悪いのか?どこか痛いのか…?」
俺がリアに問いかけて少し経った頃、鍵が開き、リアが目を赤く腫らして出てきた。
目が赤く腫れているということは、泣いていたのだろうか。一体、リアに何があったのだろうか。
「ど、どうしたんだ!!その顔は…!」
俺は慌ててリアに問いかけると、リアからは絶望の言葉が返ってきた。
「ユーリアス様、婚約を破棄して頂けませんか。」
――え? 一瞬、時が止まったように感じた。だが、俺の言葉は勿論決まっている。
「嫌だ。」
あぁ、遂にリアに愛想を尽かされてしまったのだろうか。
嫌だ、絶対に嫌だ。確かに俺はとてつもなくヘタレだ。
愛想を尽かされてしまったのも完全に俺が悪いというのに。
リアに捨てられたくない。リアには想い人が出来てしまったのだろうか。嫌だ。婚約破棄なんてしたくない。
頭の中をグルグルと何が何でも別れたくないという考えが巡る。
何故婚約を破棄したいのかと聞くと、俺が昼に友人と話していた内容を誤解して聞いてしまい、どうやら俺には想い人がいて、リアに婚約破棄をしようとしていると思われていたらしい。
俺はリアを泣かせ、傷付けた自分が嫌になった。
リアに必死に弁明し、謝罪をしまくった。
リアが俺の事を嫌いでないのならば、リアを傷付けてしまったことを生涯をかけて償わせて欲しいと。
今思うと何だかプロポーズの様で顔が赤くなる。
すっかり仲直りをしたその夜、俺はリアが眠るまで、ひたすら愛を囁き続けた。
これからはヘタレを克服し、リアにひたすら愛を伝えていこうと思った。
―――そして遂に、リアとの結婚式の日が来た。
リアの花嫁姿がまるで天界から降りてきた天使、いや、女神、何なら女神をも超える美しい姿のリアを見るなり、失神しかけてしまった。恥ずかしすぎる。
勿論、結婚式を行った日は初夜が待っている。
だが俺は、遂にリアを抱くことの出来る嬉しさのあまり、1日どころか、その次の日も、さらにその次の日も抱きまくってしまった。
反省はしているが、可愛すぎるリアにも責任はあるのではなかろうか。
これからもずっと、何があっても俺はリアと共に生涯生きていく―――
「もう、絶対にリアを泣かせない。そして、離婚したいだなんて二度と言わせない」
―――代々、後世でも王と王妃のラブラブっぷりが伝わることも知らず、ユーリアスはそう呟いた。
ここまでお読み頂き本当の本当にありがとうございます!!!!!
誤字脱字、おかしなところ等がございましたら遠慮なくどんどん教えて頂けると非常に助かります……!
改めて、このお話を読んでくださった皆様、前回のお話も読んだくださった皆様、本当にありがとうございます(TT)✨