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~異世界に南国リゾートがないなら創っちゃおう~

「起きてくださいー!!」

飛び上がるように体を起こすと、すぐそばに人…ではなく怪物が目に入った。

頭部から生えた大きな耳、口からはみ出した獰猛な牙、身体中を覆い尽くす体毛。

叫ぶか、後ずさるか、逡巡していると、

「その外見は転生者ですね?」

「テンセイシャ?」

「もしかして、転生されたばかりですか?」

「…」

辺りは深い森のようだ。この状況は最近巷に溢れる転生・転移ストーリーか?死んだ場合にそうなるのは百歩譲って分かるとして、俺は旅行代理店に行っただけなんだけど。。

「そうなんだ…と思う。君は?」

「ボクはウィルコといいます。」

「えっと、名前というか、人間…なのかな?」

「ニンゲン?ヒューマノトライブの事ですか?」

「?」

「この世界は、大きく分けて4つの種族に分かれてます。ヒューマノ・トライブ、デミヒューマノ・トライブ、ビースト・トライブ、フェアリー・トライブ。ボクはビーストトライブです。」

「俺の外見だと、そのヒューマノ・トライブなのかな?」

「そうだと思います。」

目の前のビースト・トライブだという青年?は見たところ敵意はないどころか、色々とこちらに情報をおしえてくれようとしているようだ。

「君は、犬とか狼のような種族なのかな?」

「イヌ、オオカミって何ですか?」

これまで何故か言語の問題なくコミュニケーションできているが、人間、犬といった単語は全く理解できていないようだ。

「えっと、動物って分かる?」

「分かりません。」

「なら、鳥、牛とかは?」

「分かりません。」

「…」

単語としての動物が分からないのか、この世界に動物がいないのか判別は出来なかった。

その問題はおいておいて、別の質問をすることにした。

「この世界では、そのヒューマノ・トライブとビースト・トライブとかは仲が良いのかな?共生できているのかな?」

「基本的にはお互い関わらないように、離れた土地で生活していますね。ただ、お互い狩りをしたり、殺しあったりする事もありますね。僕らコボルトは極力争いを避けますし、ヒューマノ・トライブの多くはそうだと聞いてます。」

「何の為に狩りとか殺し合いをするんだろう?」

「お互いに食糧として食べるためですね。ヒューマノ側は素材として活用する目的もあるようです。」

押し黙っていると、ウィルコが慌てて口を開いた。

「コボルトは草食なので、ヒューマノを食べたりしませんよ!

「うん、分かってるよ。」

その気なら俺は食いちぎられる痛みで起きているはずだ。

「えっと、お名前聞いてもいいですか?」

「俺は、ケイト。」

「珍しい名前ですね。」

「そうかな?」

他にすぐ聞いておくべきことはまだある。

「この世界は、どうやって戦うのだろう。例えば、ヒューマノ・トライブとビーストトライブは?」

「基本的に全てのトライブはスキルを持っていて、それと自分の武器を組み合わせて戦いますね。」

「例えば、どんな感じ?」

そういえば、ウィルコくん(?)は何故敬語で、俺はタメ口で話しているのだろう?教えを乞いているこちらが敬語を使うべきな気がするが、タイミングを逃したようだ。

「ボクでいえば、ダイナモっていう強化魔法を牙や爪などに付与して戦いますね。ヒューマノは決まったクラスがあって、そのクラスの武器とスキルを組み合わせて戦うらしいですね。実際には見たことないんですけど。」

「ありがとう、少しこの世界の事が分かった気がする。」

この世界のより詳細な情報を得る前にすべきことがある

。自分の能力、クラスの把握だ。

「どういたしまして。えっと、近くのヒューマノが仮住まいしている集落に送りましょうか?」

「何から何までありがとう。そこに送ってもらう前に、試しにモンスターと戦うことはできないかな?」

「え、戦いたいんですか?」

「純粋に自分の事を把握したくて。それで面倒なお願いなんだけど俺が死にそうになったら助けてくれないかな。」

自分の装備を見ると、尖った金属が散りばめられたグローブが両手に嵌められていて、白いローブ、作業ズボン、ワークブーツを身に付けていた。恐らく近接戦闘クラスだと推察した。

「それは全然いいんですけど、そうですね、この辺りだと西に行くとゴブリン、東に行くとトロールが生息してますね…。」

ゴブリンの方がトロールより弱そうで、チュートリアルの王道だ。

「…トロールと戦いましょう。」

ウィルコ君の予想外の決定に、驚きを隠せなかった。

「ゴブリンは群れで行動しますし、こちら2人では結構危険です。では行きましょうか。」

「うん、ありがとう」

「いえ、ボクもヒューマノの戦闘見るの初めてなので、興味あります。」

「ちゃんと戦えるか分からないけどね」

ようやく、初めてお互いに笑顔になったが、ウィルコ君のの鋭い牙が更に剥き出しになったので正直怖かった。

初対面の怪しい他民族の俺に優しく接してくれる彼の後ろに付いて、深い森から出ることになった。

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