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魔女には記憶がない  作者:
第2章
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雪の町で調べごと 05

 


「決めた、やっぱり指輪を預ける」


 今度こそ迷いなくそう告げればルアーナが嘘をついてないか探るような目を向けたてきた。しかしさっきとは違いブレンダは晴れやかな表情をしていたので安心したように頷く。逆にミゲルはブレンダのピアスを心底残念そうに見つめていたが、仕方なさそうに指輪の取引金額の準備をしていた。

 指輪の金額はピアスほどはもらえなかったがそれなりに大金を受け取ることができた。ある程度は一人で生活できそうな量の現金をしっかりと鞄に入れ、最後に指輪を静かに見つめる。


 ── 後で取り戻すからね。

 よしと気合を入れてピアスを付け直し立ち上がると、にっこり笑うルアーナに自然に微笑み返す。お金も手に入ったし色々と手伝ってくれたお礼に何かあげようと思い立ったブレンダは、ルアーナに欲しい物はあるかと尋ねた。

 彼女は少し遠慮していたがお礼だと念押しすれば、店の窓辺に並んであるぬいぐるみ達を真剣に物色し始める。そういえば家の暖炉の上にもぬいぐるみが並べられていたなとブレンダは思った。ルアーナは思考の末に薄ピンクのもっちりとした雪だるま型のモフモフぬいぐるみを選んでいた。これかぁと思いながらもミゲルに頼んで包んで貰う。


「もう他に要件はないだろ。ふぁ〜……俺は寝るぞ」

「ありがとミゲル。お礼にあなたの好きな茶葉をあげるわ!甘くて疲れも取れるし快眠できるわよ」

「これはこれはミス・ルアーナ。今日の快眠を妨げた方からこんなものをいただけるとは。……さぁ帰った帰った」


 まだまだ眠そうにあくびをしながらむすっとした顔をしていたミゲルだったが、ルアーナから受け取った茶葉を満更でもなさそうな表情で受け取っていた。ブレンダもお礼をいうと肩をすくめて気にするなといい、出入り口の扉を開けて2人を外へと案内する。ブレンダたちが外に出ると、またなと声をかけ扉を閉めいそいそと部屋の奥へと消えて行った。


「交換できてよかったわね。ぬいぐるみもありがとう。嬉しいわ!」

「気に入ってもらえてよかった。暖炉の上にも並べてあったわね」

「可愛いでしょ!ベットにもいくつか置いてるの。ん、ブレンダ熱上がってきた?顔が赤いわ」


 楽しそうに話していたルアーナは、ブレンダの顔を見た途端心配そうに額に手を当て熱を確認する。実際少しだけ体が怠かったが、薬が効いてきたのか先程よりはだいぶましに感じた。そのことをルアーナに伝えると怪しむような顔で再びブレンダを観察してくる。


「うーん、確かに熱が上がってる感じはないし、寒さで顔が赤くなってるだけかしら。悪化したら嫌だし、夕飯買ったら帰りましょう」


 ルアーナはブレンダの服を寒くない様に整えると大通りへの道に戻っていった。本当に面倒見がいいと小さく笑いながらブレンダは再びフードを被り、ルアーナの後ろをゆっくり歩いていった。大通りに戻ると昼時になったからなのか、今朝より人が多くなり賑やかな街並みが広がっている。

 お腹が空いていたため先にお昼ご飯だと、ルアーナとおすすめの料理店に入っていく。お店は大きな暖炉に木目の綺麗なテーブルがいくつも並び、美味しそうなお肉の香りが立ち込めていた。客で賑わう隙間をぬって、窓際の空いてる2人席に座る。

 豪快な肉料理が名物のお店らしく、ルアーナはスパイスの効いたローストビーフを頼み、ブレンダは体調を考え、体の温まるチキンポトフを食べることにした。ポトフは野菜も入っていたが、やはりお肉がジューシーでとても美味しく、空腹のお腹を満たしてくれる。ルアーナも美味しそうに食べていたが、先に食べ終わると少し難しそうな顔をした。


「あのね。私質屋でミゲルと話して思ったんだけど、もしかしてブレンダってどこかのお嬢様なんじゃないかって思うのよね」

「っえ。急ね。どうして?」


 ルアーナの発言に驚き、むせそうになったブレンダだったが、なんとか飲み込むと慌ててルアーナを見る。


「だって別荘が買えるほどのピアスを持ってるのよ?指輪もかなり価値のあるものだったじゃない。そんなもの普通の人は持ってないわ。ブレンダがフランクな人だから思いつかなかっただけで……もしかしたらお金持ちの人なのかも」


 ルアーナは頬杖をついてブレンダを見つめている。たしかに価値のある魔法石のピアスと指輪をつけているくらいだしその可能性は否めない。


「確かにそうだけど……他の持ち物を見ると言い切れないわ。着ていた服だって普通の服だったし、特別そうなのはピアスと指輪だけじゃない。それにお嬢様が遭難なんてしたら捜索隊が出て大騒ぎになってそうだし」

「たしかに……でもまだこの街に来て2日もたってない。情報がまだ届いてないだけだったりして?」

「そうなのかしら?」


 ポトフを食べ終えてお腹が満たされたブレンダは、暖かい店の中でそのままルアーナと談笑を続けた。2人は妄想を繰り広げ、実は駆け落ち同然で逃げのびたセグレシアの貴族のお嬢様とまで考えたが、本当だったら笑えないということになり、情報が載っているかもしれないから、後で町の新聞を買って帰ろうという話で終わった。

 他にも彼女の町の話や家族の話を聞いた。自分の家族はどんな人たちだったのだろう。いくら想ってみても何も思い出せない過去だった。食後の紅茶を飲みながら窓から雪の大通りを眺める。どうやら天気が少し悪くなったようで、空に雲が増えており大粒のぼたん雪が降り始めていた。


 お腹を満たした2人は、夕飯を買いに市場へ向かった。市場の人達はルアーナと顔見知りで仲がよく、初めて見るブレンダの顔を物珍しそうに見ていたが、皆優しく接してくれた。食料と新聞を買う頃には、ブレンダの熱が少し上がってきていたので、急いで帰宅することになった。未だに止まない雪の中を急いで帰宅すると、迎えてくれたディエゴは疲れた顔をして忙しそうに店番をしていた。

 遅いと不満げなディエゴにお礼を言い手伝いをしようとすれば、ルアーナに熱が上がってきているからと、無理やり2階のソファに寝かされる。腕はある程度痛いが熱も眠れば落ち着きそうだ。


(明日から、傷について調べてみよう。)


 町にある本屋や図書館についても教えてもらえた。今日はしっかり休養をとり明日に備えるため開いていた目を閉じる。彼女達の好意に感謝しブレンダは疲れていたのか、そのまま起きずに朝までぐっすりと眠る事となった。



少し編集しました。もうすぐ相手が出てくるはず…

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