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林檎の実と僕の後悔  作者: 穂先ロア
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俺らが進んだ結末は?

昼下がり。俺はコンビニで買い出しを済ませていた。今日は練習の日という事は言うまでもない。間食になる様な物とエナジードリンクを買い…袋に入れ店を出た直後だった。

「んあ?メール?」

メールが来た事を知らせる通知が俺の携帯に届く。そうして携帯を開き…メールを確認すると…送り主は廻からだった。俺はそのメール内容を小さな声で読み上げてみる。

「廻から?なになに…「今日ちょっと僕と琴葉は、急用があるからすまないが自主練習してくれ。ほんとにすまない」っと…はぁ?ま!仕方ねぇか!…一応恭太郎にも伝えとくか。」

俺はそのメールに了解と返事だけ送りある本屋へと歩を進めた。そこは恭太郎がアルバイトをしている本屋だ…俺はあいつに何時その本屋でバイトをしているか聞いていたので大体は把握している。

「本屋に着いてる頃は…うんあいつのシフトは終わってんな!」

そう言って俺は歩いて一人目的地へと向かった。


廻から来たメールを見て大体三十分は経過した位だ。俺は恭太郎が働いている本屋の駐車場でたむろしていた。しかし…どうやら恭太郎に用があるのは俺だけじゃ無いようだ。だってその場には…小夏ちゃんも居たのだから。

「あれ?小夏ちゃんよ…おめぇも恭太郎待ちか?」

俺がそう声をかけると小夏ちゃんは、その声に反応し俺の方へ視線を移す。その場に俺が居ることを認識すると…俺のその質問に答えを返した。

「あっ裕二さん。こんにちは!そうですね…この後二人で喫茶店に行く予定だったので…って裕二さんも恭君に用事が?」

そう聞かれ…俺は廻に送られたメールの内容をそのまま伝えた。本当は恭太郎つてに伝われば良いと思っていたが…ここで小夏ちゃんに伝えておけば後は恭太郎に言えば良い。という事になったからだった。

「ん?おう!あー…でも小夏ちゃんにも関わる事だから一応…廻と琴葉ちゃんの二人今日の練習来れねぇから俺らだけで自主練習してくれ…だとさ!」

俺がそう言い終わると小夏ちゃんは納得したような反応をし…顎に手を置き考えた。その仕草を見せながらこんな事を呟き辺りを歩き出す。

「あら!そうなんですね!……うーん…じゃどこで練習するべきか…貸スタジオでも借りる?いや…でも高いでしょうね…。」

と聞こえる声に俺は笑いを堪えながら小夏ちゃんの心配事を打ち砕く。だって俺の家は…ライブハウスなのだから。

「安心しろよっ!俺の家…実はライブハウスなんだ。恭太郎とそこ一緒に使えるぜ。」

そう言った後小夏ちゃんは穢れの無いような笑顔を俺に見せて質問した。まるで初めて訪れる遊園地を楽しみにしてる子供のように…。

「えっ!?そうなんですか!?私そういう所行った事ないから…楽しみです!」

小夏ちゃんがそう言った直後店の従業員入口から音がする。そして…俺ら二人に近づいてきた足音は小夏ちゃんの後ろで止まっていた。

「あれ?裕二もここに居るのかい?」

聞き慣れた声。その声の主…恭太郎はいつも被っているシルクハットを更に深く被せた。

「恭君!おかえりなさい!」

そう言い恭太郎に小夏ちゃんは駆け寄った。それを見た後俺も恭太郎の方へ歩を進める。恭太郎は小夏ちゃんを宥めるように撫で俺にこんな質問をする。

「ん…ただいま。ほらほら慌てない…えーっと…裕二はどうしたんだい?」

そう恭太郎は質問してきた直後俺は廻に送られたメールの内容を伝える事にする。

「ん?あー…廻から「今日僕と琴葉は急用が出来てしまったから練習には参加出来ないから自主練習で」との事だ。ま!アイツが「自主練習で」って言うんならそうしちまおうぜ。」

そう言い俺はその場を立ち去ろうとした瞬間。恭太郎から待ったをかけられた。何か質問するのかと思いきや…恭太郎はこんな誘いを俺に言う。

「ふーん…あのさ裕二?その事とか色々話したいから…ちょっと一緒に喫茶店行かないか?侑李も良いだろ?」

その言葉に小夏ちゃんはすぐに答えを返していた。まるで元から決まってたかのように…。

「はい!今日の予定とかしっかり聞いておきたいので!」

恭太郎はその言葉を聞くなり俺に視線を飛ばす。もちのろん行かないという選択肢を取る訳が無かった。

「んなもん決まってんだろ?行こうぜ!まぁ…単純に俺まだ昼飯食ってないんだよなぁ…タイミング良過ぎたな。」

俺がそう答えると恭太郎は、シルクハットを外しつばを整えながら一言言葉を零した。

「決まりだな。」

そうして俺達三人は最近恭太郎がよく行く喫茶店へ移動することになった。


出発してからどれほど時間を費やしたのだろう。俺は目的地付近の住宅地を見るやいなや一つ心当たりのある人物の名前を出す。

「あっ!おい!ここ廻の家の近くだろ?こんな所にあるのか!?」

俺が大きく響き渡る様な声を出すと、恭太郎は後ろに居る俺の方へ振り向きご名答と言わんばかりの顔をし答えを言った。

「おお…よく分かったな。そうだよ今から行く場所は廻の家の近くだ。」

そう言いまた恭太郎は歩き出す。そうして恭太郎のバイト先から出発して恐らく四十五分程経過した時…目的地であろう所に着く。その場所は少々「隠れ家」という印象の喫茶店だった。

「へぇ〜…こんな洒落た店ここにあったんだな。」

そう呟きながら俺はドアを開き…俺がぼーっと突っ立っている間に入っていった恭太郎と小夏ちゃんに続いて入店する。その時後ろにある開けたドアからまるで客人が来た事を報せるかのように鈴の音が俺の耳まで届いた。その直後その店のマスターと思われる中年のおっさんがこんな言葉を添えていた。

「いらっしゃいませ。」

そんな言葉に戸惑っていると…恭太郎が俺に座っている所へ案内する。

「裕二。こっちだから…ほら侑李が座っているカウンター席があるだろ?その隣。」

その案内の通りカウンター席に座ると…さっきのマスターからメニュー表と水を渡された。しかし俺はこの店に初めて来た為に、オススメなんてものが分からない。だから恭太郎に質問する事にした。

「な…なぁ?恭太郎?…ここのオススメってなんだ?」

「ん?あー…オリジナルブレンドの珈琲だね。普通の珈琲とは何処か違う。マスターの拘りを感じるよ。」

俺のそんな質問に即座にそう答える恭太郎。ここの常連であろう人物のオススメを頼もうとしよう。

「あの…珈琲のオリジナルブレンド…ブラックで。」

マスターを呼び俺は珈琲のオーダーした。その直後マスターは物腰が軽そうな口調を崩すこと無く一つ言葉を出し…厨房へ戻っていった。

「かしこまりました。」

さて…オーダーを取って後は来るのを待つだけ…そんな中俺は二人に視線を飛ばしたが小夏ちゃんは、少し離れた所に置いてあるピアノに無我夢中だった。しかしこの状況なら都合が良い。俺は一つ気になった疑問を恭太郎に言ってみる事にした。

「なぁ…俺らが進んだ結末ってのは…どんな風になってんだろうな?」

そんな独り言に等しいような声で発した俺の声を恭太郎は聞こえていたのだろう。乾いたような笑みを浮かべながらこんな事を聞いてきた。いや…前触れもなく話しているんだ。聞いてくるのも当たり前か。

「いきなりどうした?お前らしくない。」

その言葉に俺は答えを出すかのように思っている事を口にする。その俺の言葉を恭太郎はただ黙って聞いていた。まるで…全て聞いていると言わんばかりに。

「いやさ…もし…もしだぜ?廻が逝っちまってその後俺らはまだ進めんのかな…って。だってよ俺は廻みたいにこの世界と上手くやれるような器用さはねぇし…おめぇも小夏ちゃんもどうなるか分かんねぇし…琴葉ちゃんだって心配なんだよ。もしアイツ…廻が逝っちまって…その後俺たちはまだ進めるのか…って。」

そう言い終わった後少しため息をつきながら恭太郎は一つ言葉を出した。

「そんなの答えなんか決まっているだろ?その結末を知っているだろ?それでも僕らは進まなきゃいけない。時代やその時に人は…留まれない。誰しもが時を過ぎて…老いて…いつかは朽ちていくんだ。だからたとえ僕らのこの活動に終止符を打ったとしても…僕らは進まなきゃ行けない。その先が…僕らの進んだ結末なんじゃ無いのか?…って思うね。」

俺はその言葉を聞いた瞬間ため息を交えながら俺は恭太郎のその言葉に答えを返した。

「………そうか…だよな…そうなったとしても…俺らはまだ前に進まなきゃ行けないもんな…。」

そうして出来た重苦しい空気の中…俺たちはただ珈琲を待っていた。ただひたすらに…。

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