あのCDと貴方の声と音
琴葉が風邪を引き…看病をしに来た今日。時計を見ると既に時刻は十五時を回っていた。僕は今琴葉とベットに座り一枚のCDディスクを眺めていた。
「それって…。」
僕がそう言葉を零すと…琴葉は首を縦に降り僕が、言いたい事を口にしていた。
「うん…そうだね…TRIAD YEARS actI〜THE VERY BEST OF THE YELLOW MONKEY…祐の手紙と日記帳と同じ場所に置いてあったアルバムだよ。」
僕はその赤い派手なポスターのようなCDケースを見つめながら…一つ言葉を零す。まるで祐との思い出を振り返るように…。
「あー…アイツこのアルバム好きだったもんな。フフッ懐かしいよ…。」
そう言い僕は、目の前の琴葉に託したエレキベースに視線を向ける。そして視線を外すこと無くこんな思い出話を一つ口に出していた。
「まだ僕らが活動したての時を…思い出すよ。」
そう言い僕は思い出話を琴葉に話していた。まるで子供寝かしつけるかのように…。
あれはちょうどバンド活動を始めたばかりの頃だった気がする。ちょうどその日THE YELLOW MONKEYの曲を一曲だけ演奏する日だった。僕は何時ものようにギターを掻き鳴らし…歌を歌おうとするが…。
「…声が出ない…。」
中学生の時より高い声が出にくくなってしまっていた。しかし仕方ないの事で、男子特有の声変わり…でそうなってしまったのだ。だが…ギター兼ボーカルとしては当時結構な痛手で…凄く悩んだ事は今でも鮮明に覚えている。
「ん?…どうしたんだよ廻?」
と悩んでいる僕に気が付いたのか…ある人物が僕に問いかける。僕はその人物の方を見て自分の悩みの種を打ち明けていた。最もその人物は当時一番頼りになる人物なのは…言うまでもない。
「ん?ああ…祐介俺やべぇわ。THE YELLOW MONKEYの曲声出ねぇからボイトレしんと拙いわ…」
僕がそう言い終わると祐介は凄く笑いながら言っていた。そいえば…祐介は何時も明るかったし…常に笑顔を忘れていなかったを今でも覚えている。
「…ぷっ!はははははははっ!いやぁ〜悪い!笑うつもりは無かったんだが…にしても…廻。お前にも出来ないって思えるものがあるんだなっ!」
祐介のその言葉に釣られ僕も引きっつった笑いを出しながら言い返す。その後互いに大笑いしたのは良い思い出だ。
「ふふっ…当たり前だろ…俺は完璧人間じゃないんだ。ってお前なら分かってくれているか!」
そんな話をした数日後…祐介が僕に隠れてひっそりやっていたボイトレを見て…僕は祐介に負けた。そんな気がした。
「なぁ…祐介。お前日に日に歌うの上手くなっていないか?」
俺はそう聞いたが…祐介は僕に内緒でボイトレをしていた事を隠していた。きっと祐介なりの優しさなのだろう。
「ん?そんな事ある訳…廻より上手くなっても困るだけだよ。」
そう言っていたが…僕は見てしまった。祐介が僕に隠れてボイトレをしていた所を…それから僕は決断をした。THE YELLOW MONKEYの時は祐介をボーカルにする…そんな決断を。
「馬鹿げた話だろ?でも…こういうところから僕が「祐介はすごい人間だ」って声を大にして言う理由だったんだ。」
僕が思い出話の終いにそう言うと…琴葉は眠いのか目を擦りながらこんな質問を僕に聞いてきた。
「二人には二人の凄いところがあるんだから…二人とも凄い…じゃ駄目なの?」
僕は天井を見上げで…笑いながらその質問の回答を口走る。静かな琴葉の自室には…僕のその言葉だけが響いていた。
「いや「どっちも凄い」なんて言葉はこの世の中にあったとしても…結局人は誰かを選ぶ。なら僕は自分自身を選びたくないんだよ…。」
そう言葉を出した後琴葉から返事が返ってこなくなった。僕はどうしたのかと琴葉に視線を向け…問いかける。
「琴葉?おーい…って…あー…。」
僕の膝の上に少しだが重みを感じ視線を下にすると…僕の膝を枕にした琴葉が寝息を立てていた。昨日あんな雨の中途中傘をささず帰ったんだ…無理もないか。そう思いながら…祐介が、置いていったアルバムをラジカセにセットし…再生ボタンを押していた。そのアルバムに収録された歌を聴きながら僕は…思う。
「まるで…そう言ってるようだな…。」
そう言い僕は琴葉をベッド上で寝させ…その隣で琴葉身体をさすり言葉の続きを言った。寝ている琴葉の寝息はまるで僕に「二人とも凄いんだよ」そう言ってるように思えた。僕は琴葉の事を昔から知っている。何時もは明るく振舞っているが…何処か大人の様に宥める時が有ると…それが紛れもない今だったりする。
「変わらないな…お前はさ。」
そう言い僕も琴葉の隣で寝転がった。そうして一つ言葉を零していた。
「お前の歌声…初めて聞いたけど最高だよ。」




