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林檎の実と僕の後悔  作者: 穂先ロア
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そうして愛し合って

今僕は休憩時間に入っていた。何時ぶりに裕二の家に来て練習をしたのだろう…高校の時以来だった気がする。でも最も新鮮味を感じる事はその場所に琴葉や小夏が居ることだった。

「懐かしいなぁ…」

僕がそう言葉を零すと琴葉がこんな事を聞いてくる。その言葉を聞いた瞬間そういえば琴葉は、まだ入って間も無いから知らないのも仕方ないと思った。

「え?懐かしいって?」

きょとんとした顔を見せながら僕にした質問に僕は優しく答えを返す。どうやらそれが遠い記憶見ているような顔だったようで…琴葉は真剣な表情をして僕の話を聞いてくれていた。

「昔…って言っても三年前までか…僕がギターとボーカルで…祐介がベース…裕二がドラムで…恭太郎がキーボード…あんな事が起きた後は活動休止を宣言して…今僕らは活動再開っていう一歩を進んでいる。それも新しいメンバーを加えて…それが琴葉や小夏って事に「ああ…僕や祐介はしっかり残せるもの残してるなぁ」って。それを考えてると懐かしく感じるんだよ。」

僕がそう言い終わると琴葉は、微笑みを浮かべこんな事を僕に言った。それはまるで僕らの活動をよく見ていた様な言い方だった。

「そうだねぇ…でもさ…このバンドは終わらないと思うなぁ…だってこのバンドを知り尽くした人は今そのメンバーなんだから!ね?そうでしょ?…廻?」

そう言ってニコッと微笑む琴葉を見て僕は笑いながら答えを返した。琴葉のその言葉は…僕を認めてくれているような気がして…やってて良かった…今更ながらそう思えて来た。

「…そうだな。」


そうして琴葉と夜空を眺めながら休憩していた時だった。僕らの居る休憩スペースに小夏が入ってきた。この休憩スペースは広く物で入り組んでいる為どうやら小夏は僕らが此処に居る事に気付いていない。そんな予想を胸にし…裕二に頼まれた事をやる為に一旦琴葉の元を離れた。

「すまん…ちょっと待っててくれ。」

そう言ってその場を後にする理由を琴葉は知っているのか…無言で首を縦に振ってくれた。そして…僕はゆっくりと小夏のそばに近ずいて行く…どうやら小夏は独り言を言っているようで…落ち着いていなかった…まぁ独り言にしては声が少し大きい気がしたが…。

「あー…もう!恭君の事頭から離れないし…恭君…裕二さんに拉致られるし…私もウジウジしているし…こんな所…遠江先輩が見てたら…」

そんな事を言っていた小夏を少し驚かせてやろう…そう思い僕は小夏の後ろでこんな事を言った。まぁ…何となくどんな反応を見せるかは想像通りだった様な気がする。

「全くだ。ウジウジしてても何も変わらいのにな…まぁそれが簡単だったらこんな悩まないか。」

そう僕が言葉を、零すと小夏はうしろに振り向いて僕がそこに居ることに気付いて慌てた様子で一言こんな事を言っていた。まぁ…慌てて途切れ途切れになっていたが…。

「え!?と…遠江先輩!?い…何時からそこに居たんですか!?」

困惑する小夏に僕は静かに笑いながら答えを返した。その答え方に小夏は頬を膨らます。自分でもちょっとからかい過ぎたなと思えてしまう。

「何時からって…僕も分かんねぇ…あー…分かったよ…最初から最後まで全部聞いてた。」

しかし答えが返ってくるは無く…小夏はずっと窓から夜空を眺めていた。そんな小夏を見て僕は確信のつく言葉を放つ。

「好きな人が出来た…だけどその前にその人と何かあって上手いこと顔を見合って話せない…。」

僕がそう言うと小夏は、後ろへ振り向いた後こんな事を聞いてきた。確かに小夏は僕には 恭太郎が好きだ なんて事は確かに言っていない。だけど…今日の練習のミスり具合を見ているとそうなるのも頷ける。それに…小夏がこのバンドに加入したきっかけは恭太郎に有るから余計そう予想が出来た。

「私がいつ恭君が好きだと…」

そう言いかける小夏を他所に僕は言葉を続ける。強引かもしれないが…それでも言っておかないといけない…そんな気がしてきた。

「愛し合えば良い…」

そう小さく呟き僕は小夏の傍に寄る。そしてその僕の言葉が微かに聞こえていたのか…僕の顔を見続ける小夏に目を合わすことをせず空を見上げて僕はまた口を開く。

「愛し合えば良い。ずっと何があっても…そうすれば好意って言う蕾は何時しか愛という花になる。だから愛し合えば良い。笑いあって支えあって…そうして愛し合えば良い。」

そう言い僕は小夏の元を離れようとした。そんな時小夏は僕を引き止める。まるで何かを問うように…。

「まっ…待ってください!」

そう言った小夏に僕は冷たくも暖かく言葉を言い放つ。だって僕の好きな人は小夏では無く…琴葉だけで…小夏が好きな人は…恭太郎なのだから。

「お前はその人と歩む人生の事を考えろ。そうすれば自ずとその結末は大きく変わるのだから。」

そう言い僕は琴葉の元へ戻って行った。


琴葉の所へ戻ると琴葉が頬を膨らまし僕を見ていた。僕はそんな琴葉を見てバツの悪そうな顔を浮かべこんな言葉を零す。

「お前ずっと待ってたのか?」

そう言うと琴葉は僕に対しこんな愚痴を零していた。何故だか知らないが僕は、それを可愛く見れてしまう。

「そうだよ…もう…遅い…。」

そう言い窓越しに夜の街並みを眺める琴葉の頭に僕は手を置き…その手を左右にゆっくりと動かした。

「うわっ!?何!?って…廻!何やってんの!?」

そう言い顔を赤くする琴葉に僕は微笑みながら琴葉にこう言った。

「ん?あー…すまん。つい…」

そう言い頭から手を離した直後…琴葉が僕の手を掴む。何事かと思い僕は、琴葉にこんな質問をしていた。

「ん?どうした?」

その質問をした直後琴葉は僕から目を逸らしながら…言葉を綴る。僕はそれをただ微笑ましく見ている事しか出来なかった。

「もっとやって…その…なでなで…あー!もう!もう少し撫でてよ…。」

そう言い一人で恥じる琴葉に僕は笑いながら頭を撫でた。その時の琴葉の笑顔を見ると…可愛く見えていたものが余計に可愛く見えてしまう。

「はいはい…分かりましたよ…っと。」

僕は今琴葉を愛せれているのだろうか?そんなものが頭の中でループしている中僕らの休憩時間というものは…あっという間に過ぎていった。

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