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林檎の実と僕の後悔  作者: 穂先ロア
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偶然から出来たもの

ソフトクリームを食べ終わり…立ち上がろうとした時私は勢い余って倒れそうになってしまっていた。前後にフラつき何とか顔から行かずに住んだが…後ろに倒れ込むのは確定だった。

「よいしょ…っと…わぁあ!?あ!ちょっ!まっ!」

慌てながらそんな声を出し倒れ込む刹那恭君の声と共に砂地で何かを引きずる音だけが…今私達のいる空間を支配する。

「一か八かだ!間に合え!」

その時普通なら地面は硬い為頭が痛くなる筈だ…しかし何故か痛くない。恐る恐る私は驚いて閉じてしまった瞼をゆっくりと開く。すると眼前には恭君の鼻の下が迫っていた。何故なのだろうか…瞼を開けたその直後から体温が高くなり…心音が安定していない様な気がしてならない。

「侑李?大丈夫かい?」

恭君がそう聞いてきても私はすぐに返事が返せないほど心音が安定していなかった。そんな私に出来ることなんて一つ単語を出すぐらいで…その言葉の後恭君は辺りを見渡していた。

「あ…あ…」

そう私が言った直後恭君は顔を真っ赤にしながら立ち上がる。そして顔を真っ赤に染め…慌てながら謝っていた。

「…あっ…そのっ…す…すまない…。」

私はその謝罪の理由が分からなかったが…何も言わないのは嫌だった為その言葉に対する答えを返していた。

「あっ…いえ…だい…大丈夫です。」

そう言った後私達は帰る為にまたバスに乗り込んだ。その時間も私達はただ無言で赤く染まりかけた空を見上げ…集合場所だった駅のホームまで向かっていった。バスが駅のホームのバス停に着くと私達はお互い視線を逸らしながらバスから降りた。そして…何か話し込む訳でも無くその場を後にする。

「……えーっと…夜の練習の時にまた会おう。」

恭君がそう言いその場を後にした後私も帰路に着いた。でもどうしてもさっき転んだ時のことが頭から離れなかった。

「なんだろう…この気持ち…恭君を思っていると…心音が安定しない。」


家に帰り…自分の部屋で考え事をしていた。その考え事の中にはかならず恭君が入ってくる…そんな自分が恥ずかしくなってついため息を零していた。それと同時にこんな独り言が私の口から出て来ていた。

「はぁ〜…なんで考え事の中に恭君が入ってくるんだろ?…やっぱ…つい二、三時間前におきたアレのせいだよね…。」

その出て来た独り言が大きかったのか…それを私は姉に聞かれてしまっていた。

「恭君恭君っと…侑李は今恭君にお熱だねぇ〜。」

そう言い二人で使っている寝室のドアが開き…私はソレに驚いて変な声が出ていた。それと同時に…茶化してきた姉に私は強く物を言う。

「ひゃい!?…ってお姉ちゃん!驚いたじゃん!いきなり茶化さないでよ!」

私がそう言うと姉は私に紅茶が入ったコップを手渡しながらこんな言葉を零していた。

「えぇ〜?だって…友達とか身内とかの恋バナに茶々入れて楽しむのって割と楽しいんだけどなぁ〜…それに…アンタ前まで「遠江先輩が…」とか言ってその人の追っかけ…じゃないけど…私に話して来てたのにもう人変わってるんだなぁ…ってね!」

そう言ってきた姉は私の頭にポンと手を置きながらこんな事を続けて言い放つ。その言葉と同時に私は呼吸を整えていた。

「この五歳離れているお姉ちゃんになぁーんでも相談しなさいな。アンタより長い人生送ってきてるんだから…まぁ!そんな「素晴らしい」って言われるほど出来た人生送ってないけどね!」

その言葉に甘えるかのように私は、つい先程の出来事…その直後から今に至るまでの感情なんかを姉に吐露した。それに姉は首を縦に振って…うんうんと言ってくれていた。

「実はさ…さっき旅先で転けちゃってね…その時恭君がバッグをクッションにしてくれたんだ…でも恭君も転けちゃって…んで…その…お…恭君が…私を…お……押し倒した様な感じになっちゃって…その…その時から…何か考え事をすると…必ず恭君が入ってくる…。」

私が言い終わると姉は微笑みながらこんな回答に近いものと助言を私に言った。その時の姉はやっぱり経験した人の顔で…小さく薄汚れた窓の景色を見ながら口を開いた。

「なるほどねぇ…それは偶然だねぇ…でもね侑李?それがきっかけで…ってものもあるんだよ?恋心ってものは何時も偶然から出来ているものなのよ。」

そう言った姉は微笑んでいた。それを見た私に先程のようにまた言葉を続ける。

「でもね…それを現実にして…好意から恋に…恋から愛に成長させるのはとても難しいもの…でもアンタならできる!だってお母さんの子よ?貧乏で物事をド直球で言ってたけど…私達の事最優先していた…お母さんの子…だからアンタなら出来るよ。」

姉はそう言い終わると部屋を出ようとする…そして部屋を出る最後…私にこんな事を言った。

「ま!でもアンタはまだ「好意」って所愛どころか恋にも発展して無い蕾。それをどう膨らまして恋の花にするかは…アンタとその人次第。」

姉がそう言った直後ゆっくりとドアが閉まった。私は姉の机を見ながら…独り言を呟いていた。

「蕾をどう膨らまして恋の花にするかは…私と恭君次第…か…。」

一人になった夕焼けで赤く染まった寝室で私は考えた。でも答えなんか出なかった…いや答えなんか無いのかもしれない。私は姉の使っていた勉強机に飾ってある写真立てを見て…決意した。

「やれるだけ…やってみよう。」

そう言い私は 小夏 灯…つまり姉の名前と中学時代姉と付き合っていた人物の名前が掘られた写真立てを背にし…練習の準備を進める事にした。

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