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林檎の実と僕の後悔  作者: 穂先ロア
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僕がお願いする内緒事

家を出て十五分後。僕は近くにあるスーパーマーケットで食品を物色していた。今日の昼食の事もそうだが…今日の夕食や明日の朝食分の食品を買わないといけない。二週間入院生活だったため賞味期限や消費期限が切れた物が多いのだ。

「入院する前に消費するべきだったな。」

そう呟きながらカートに食品を入れ…三十分僕はカートに入れた物をレジに通していた。ある程度通された額を見て僕はこんな言葉を零す。

「うわ…四千行った…」

レジの表記を目にしてそんな事を呟いた。そりゃそうだ…退院してすぐに琴葉を家に泊めたし…昨日の練習も夕方から一晩中やっていたため皆の分の夕食も作って…今日の朝琴葉が朝食の追加メニューを作ったんだ…賞味期限消費期限の問題も含め食料が尽きかけてるから仕方ない。会計を済ませた後僕はマイバックに買った物を詰め込んでいく…そんな最中だった。

「遠江…退院出来たんだな。」

横からそんな声が聞こえてきたため振り向くと…そこには宮崎さんが居た。僕は最初驚いて声も出なかったが…少し間を置いた後宮崎さんにこんな事を言っていた。

「…あー…宮崎さん…お久しぶりです。」

そんな素っ気ない言葉が口から出た後宮崎さんは、僕のすぐ側まで近づき…こんな質問をした。

「なぁ?遠江。お前の家ってどこら辺だ?」

そう聞かれ僕は少しばかりため息をつきながら…その質問に対する答えを返す。正直に言ってしまうと…返し方が上司と部下のそれでは無い…まぁ僕に至っては元部下なのだが…。

「あの…それ個人情報なんじゃ…」

僕がそう言いかけた時宮崎さんはきょとんとしながらこんな事を言った。全く…そういうことなら質問する前に一言言って下さいよ…なんて心の中で呟いた。

「ん?あ…家まで送ってこうかと聞こうとしたんだが?」

そんな言葉に僕は甘えることにした。一つ宮崎さんにお願いしたい事があったから。

「お言葉に甘えさせていただきます。よろしくお願いします。」


そうして僕は宮崎さんの言葉に甘え…車で送って貰う事になった。車に乗り込んで早々…宮崎さんはこんな質問をしながら車のエンジンをかける。

「聞いた話じゃ…部長が二週間音沙汰無しに来なかったお前の首を切ったって自慢げに話してたらしいが…その原因は…まさか入院中に言っていた癌のことか?すまんな…社長や部長からはそれしか聞いてなくてな。」

宮崎さんがそう言い終わると同時に、車のエンジンが作動しけたたましい音を響かせた。僕はその音が小さくなった時にその質問に対する答えを返す。

「そうですよ。出勤途中に頭痛で倒れて…気付いたら病院のベッドの上です。」

僕がそう答えを返した直後…車が目的地へ向かい始めた。今ここで宮崎さんに頼んでみるしかない。だっておそらくあいつが…今の僕の状況を知ってしまったら…びーびーとうるさいくなるから…。

「あの…宮崎さん…一つお願いがあります。」

僕がそう言った後宮崎さんは、疑問符を僕に返してきた。その疑問符を言葉にし…車の走行音と共に答えが返ってくる。

「ん?どうした?何か欲しいものでもあるのか?」

そんな事を聞いて来た宮崎さんに僕は…本題をぶつけた。それを宮崎さんは神妙な顔付きで僕のお願いする内緒事を聞いていた。

「あの…もし…僕が倒れて起きずに…ってなっても小夏には絶対僕の事は内緒にしておいて欲しいです。もし…アイツが知ってしまったら…恐らく誰よりも悲しむと思うんで…アイツだけは笑顔で終わらせたいんですよ。」

そう言い終わると同時に車の走行音が聞こえた直後宮崎さんは答えを出していた。

「全く…お前らしいというかなんというか…要は知らぬが仏で終わらせたいという事だな?でもそれで良いのか?恐らく内緒にしたままだと…騒がしいヤツがもっと騒がしくなるぞ?まぁ…お前が言いたい事は分かったよ。善処する…だがバレたらその時はその時だからな?」

そう言い僕の方へ一瞬だけ視線を向ける宮崎さんに僕は、覚悟決めた様に言葉を口にする。

「ええ…どんな結果になろうとも笑って終わらせたいんです。」


宮崎さんの車に乗ってから十分が経った頃だろう。僕の家に到着した。車のドアを開け…宮崎さんに礼を言ってその場を後にする。

「わざわざ送って頂きすいません。ほんとにありがとうございます。」

そう言いドアを閉めようとした時宮崎さんは気さくにこんな言葉を僕にたむけた。

「遠江…悔いの無い選択をしろよ。」

僕はその言葉に首を縦に振り…その言葉に対する返事を返していた。

「やってみせますよ…絶対にね。」

そう言った後僕は、車でその場を後にする宮崎さんを見送った。僕は自宅の方へ振り向き一つため息を零し…。

「さて…お昼にするか。」

そう言葉を零し家の中へ消えっていった…。

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