窓から見た夜景が何故か思い出させる
夜の病室の窓から見える景色を見て僕はため息をついた。そこには…街頭の光や店のネオンの光で真っ暗な地面をまるで絵にするような彩やかさを照らしていた。
「綺麗だな…まるで小学生の時によく祐介と琴葉で僕の家のバルコニーから眺めたもんだ。」
真っ暗な病室で一人スタンドライトの灯を付けながら眠りを待っていた。今の時間…本を読むのも悪くない。しかし…そんな物持っていないため携帯を開いてその夜景を写真に収めていた。そして琴葉にその写真を送るつもりだったのだが…
「あれ?…メール来てる?えーっと…あー…琴葉から来てた。」
僕はそう言いながらメールの内容を確認した。そのメールを見て…僕は声を堪えながら笑っていた。入院してこんなに笑ったのは…多分初めてだと思うぐらいに。
「…ぶふっ!…「帰って来るの…待ってるから!」って…僕らはカップルかっての。」
笑いながら言ったその言葉に僕は、少し冷静になりながらも一人でツッコミを入れていた…いや理性的に考えた…そう言った方が正しいだろう。
「…僕に「好きだ」と言える勇気があれば…現実になるんだよなぁ。」
小学生の時。夏休みの課題で「星を知ろう」という課題があった。琴葉といい…祐介といい…どちらも天体観測に微塵も興味を持って無かったから…サボり防止の為に僕の家で見てたのを今でも覚えている。
「夏の四角形…だったけ?早く見ようよ!」
そう言った祐介に僕は望遠鏡を、取り出し組み立ながらその言葉にツッコミを入れた。
「それを言うなら…夏の三角形だろ。」
僕が望遠鏡を組み立て終わると同時に…祐介からこんな愚痴が飛んできた。その愚痴を言った時の祐介は、最期に僕らが見た祐介と変わっていなかったなと…今でも思っている。
「別にどっちでもいいじゃん〜廻は真面目だなぁ。」
そんな祐介に対して僕も…昔とあまり変わらないような気がする。昔からこうだったから友達っていうのも作りづらかった。
「良くねぇし!真面目とか以前の問題だろ?」
でもそんな僕に黙ってついてくれたのが祐介だった。その日の夜もいつも通りお互いにふざけあったりして星を見ていた。しばらくすると…インターフォンの音が鳴り一階にいる両親が来た人に対応する声が聞こえた。そしてその直後…自室のドアからノック音が聞こえた。
「どうぞー…ま!もう誰だかは察しが付いてるけど。」
そう言った後僕の部屋の扉が開かれた。それと同時に元気な女の子の声が聞こえる。その声の主は…後に祐介の恋人になった琴葉だった。
「あーっ!二人して抜け駆けとかずるっ!私も入れてよ!」
その言葉を聞いた後僕ら二人は、笑いながら言った。その言葉で当時から「三兄弟なのか?」と言われても可笑しくなかった。
「抜け駆け?ん?何それ?美味しいの?…嘘だよ。冗談!じゃ!三人で見よかね。」
その後僕らは空を眺めた。生憎と天の川は見えなかったが…それでも星空は、僕らの頭上を鮮やかに描いていた。
「綺麗…ねぇ?祐!廻!あれの一つ一つがこの星と同じ形なの?」
そう言った琴葉に、僕と祐介はこう答えた。まるで同じ夢を見ているかのように。
「うーん…分かんないなぁ?…あ!でも琴葉も俺らも大人になったら分かるんじゃないかな?それまでに勉強し直そうな!」
その後望遠鏡を片付けている時だった。琴葉はバルコニーから景色を眺め驚いた声色で僕ら二人に言ってきた。
「うわぁ!ねぇ!見て!…街の光も綺麗…。」
その言葉の後僕らは、バルコニーから夜景を楽しんだ。その景色は今でも脳裏に焼き付けられている。その時の街の景色は確かに綺麗だった。まるで…宝石を見ているかのように…。
病室から見える景色に僕は遠い目をしていた。するとドアをノックする音でふと我に返る。その後何事も無しにドアが開き…夜勤をしていた看護師さんに少しばかし注意された。
「遠江さん?もう消灯時間ですよ。お体のために…もうお休みになられてください。」
そう言われた後僕は少しだけ笑いながらその言葉の答えを返した。
「あー…はいっ!なんかすいません。」
そう返事をした後看護師さんは僕がいる病室を後にした。僕はそのままスタンドライトを消し…ベッドに潜り込んだ。そしてベッドの中で考え込む…琴葉になんて言おうと…ただ「ただいま」だけだと味気無さを感じてしまうからだった。
「さて…どうしようか。」
そう言葉を残し…僕の意識は闇に落ちた。その後朝まで目が覚めることは無かった。
「 やはり…考え過ぎてしまったんだな」
僕は言葉を絞り出した。目覚めた時にふと窓を見た…窓から見た景色が何故か思い出させる…あの日の夜の事を…。




