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林檎の実と僕の後悔  作者: 穂先ロア
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君の居ない夜は

大学から帰宅し私は自室のベッドに、ダイブし天井を見上げた。もし…今日がいつも通りの日々ならば…私は廻の家に行きエレキベースの練習をしているのだろう。だが…その廻の家には今は誰も居なくて廻との合わせ練習なんか出来ないものになっていた。

「自主練…やろうかな…」

私一人しか居ないその部屋でそんな言葉だけがこの空間を一瞬だけ支配した。私は身体を起こし…ベッドから立ち上がって…廻がくれた「祐介のエレキベース」を手に取った。そしてベッドの横にあるアンプのコードに繋いでピックを取り出した。

「始めようかね…」

そう言い私の部屋はエレキベースの音に包まれた。こうベースの音しか聞こえない空間に居ると…祐が居た時のことを思い出す。私はよく祐の部屋に行っては自主練中の祐に、特製アップルパイを差し入れに話し込んだもんだ。

「あ〜…懐かしいな〜」

そう言いながら一人自室で、バンドの自主練習に熱中した。


夕食を食べ…風呂に入り…後は寝るまで自室のベッドで寝転がるだけという時に携帯がバイブを点てて音を鳴らした。まるで寝るのを拒む様に…。

「こんな時間に…メール?誰からなんだろう…正直寝るまで練習するつもりなんだけど?」

そう言い私は携帯を開きメールを送ってきた人物と内容を見て驚いた。

「今から一緒に練習しないか?廻は居ねぇが…他のメンツなら居るぜ……」

と…裕二さんからのメールに返事を送った。確かに時間的には、ゆっくりしているのが無難かもしれない…_だけど私は早く上手くなって廻を、心配させたくなかった。

「分かりました。先週缶コーヒーを買ってくれた公園で待ってます……と。さてと…準備しますかね!」

メールを返した後私は着替えをし…エレキベースを持って…先週缶コーヒーを買ってもらえた公園へ足を急がした。公園に着いた後私は辺りを、見渡し裕二さんを探した。公園の中には居なかったが…どうやら私の後ろに居たようだった。

「よっ!待ったか?」

その裕二さんの声掛けに私は驚き…変な声を出した後に返事を返していた。

「ひゃっ!…って辞めてくださいよ!驚かすのは!…まぁ…今着いたところなんで…でもどこで練習なんかするんですか?」

返事の後疑問に、思った事を質問すると裕二さんは公園の周辺に止まっている車に指を指しながら私に言った。

「まぁ…なんだ…とりあえず乗ってくれや。」

そう言われたので私は、言われるまま車に乗り込んだ。乗り込んだと同時に、聞き覚えの有る声で私を呼ぶ声が助手席から届いた。

「やぁ…琴葉君…元気にしてたかい?」

その声は恭太郎さんの声で間違いなかった。私はその恭太郎さんの声にぎごちない返事を返した。

「あー…はい!一応…あはは…。」

困惑の中私は笑っていると…裕二さんが、車に乗り込み運転席の人物に向かいこう言った。

「兄貴…出しても良いぜ…。」

そう言われた運転席の人物は、その言葉の返事をすぐに返してきた。

「ハイハイ…」

そんな素っ気無い返事が…。


裕二さんの、お兄さんらしき人が車を走らせる事数十分…着いた場所はしょぼくれた一つのライブハウスだった。裕二さんは

「ここの機材や休憩スペース…好きに使ってくれや!なぁ!恭太郎!」

そんな言葉に対して…恭太郎さんの返答に不安を覚えた。

「ああ…遠慮なく使わせてもらうよ。」

私は何故そんな慣れたように言えるのか…そしてお金は大丈夫なのか…色々と不安要素が多すぎたので恭太郎にある質問を、投げかけた。

「あの〜…ココのお金って…」

私がそう言うと恭太郎さんはキョトンとした顔をしながらシルクハットを頭から外した。

「ん〜?あれ…そいえば……あー!」

ぶつくさと何か言った後恭太郎さんは、まるで何かに納得したかのように私の不安要素を消してくれた。しかし…それと同時に裕二さんの家の事で驚く事しか出来なかった。

「そいえば…君は初めてだったよね?このライブハウス…実はね…ココ裕二の家なんだよ。」

そう恭太郎さんが言い終わると、裕二さんが後ろから顔を出して言ってきた。

「おう!そうだぜ!アレ?…琴葉ちゃんは…知らなかったのか…?」

そう言われた後私は驚きを隠しながらベースを、取り出しステージに向かった。それと同時に私は裕二さんが言った言葉に答えを返しておいた。

「あはは…知りませんでした…さ!練習しましょ!早くやんないと…太陽が出てしまいますよ!」

そうやって夜中の練習が始まった。ただその日練習は少しばかり心寂しかった。

「…君が居ない夜は……。」

そう呟きベースを鳴らした。


時刻は三時。私は休憩時間に窓から星空を見上げた。この時間帯は、どうやら星が綺麗に見えるらしい。まるで…プラネタリウムみたいに。

「星…綺麗だなぁ…」

私は、そう呟きながら自販機に売っていたエナジードリンクを買い…それを口にした。口に含み喉を通った後私は気の抜ける様な声をあげた。

「プフゥー…。」

その直後同じく休憩しに来たであろう裕二さんが控え室に入ってきた。自販機で何か買った後私の隣に座った途端一言口を開いた。

「意外だな。エナジードリンク飲まないもんだと思ったぜ。」

私はその言葉を、聞きなからエナジードリンクを飲み込み裕二さんに少し強気で言っていた。

「そりゃ…明日は午後から講義ですから!飲まなきゃやってられませんし!私は!デザイナーになるのが夢ですしー!」

そう言いながら笑いその場の寂しさを間際らせた。その姿を見ながら…裕二さんは、笑いながら空を見上げて私に言った。前私と偶然喫茶店で会った日と同じ事を…。

「なぁ?琴葉ちゃんよ…自分の気持ちには…正直になれたか?アイツはな…言ってたよ。帰ってきたら…ある人に思いを伝える…ってよ。取られちゃうぜ?」

そんな裕二さんの言葉に私はなんて返そう…そう考え、偽りの答え…を思いつこうとしたその時…裕二さんは続けてこうも言った。その言葉が私を前に突き出したと言っても過言ではなかった。

「アイツは…廻は言ったぜ?ソイツの事を…中学…いや。ずっと…ずっーと…好きだったってな。俺はこれ以上は言わねぇ…後は琴葉ちゃん次第だ。」

そう言った後裕二さんは、控え室を後にした。私はいつの間にか鞄から携帯を取り出し…ある人物にメールを送った。私はまた空を見上げ送った文を空に放った。

「…待ってるから!…」

そんな虚しくも…期待する声が夜空に響いた。君が居ない夜は…寂しかったが…どこか…暖かった。

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