ホントの気持ち
入院生活開始から次の日。僕はまた治療を終えて病室へ戻った。自分の病室に戻るとまた昨日と同じように裕二がいた。
「よっ!また治療してたみたいだな!」
そう言い立ち上がり僕の方へ駆け寄った裕二に僕はちょっとばかしふざけた返答を返してみた。
「治療?何言っんだ?売店行ってただけだが??」
完全に治療の為に病室から出てたのだが…しかし裕二は、単純な人物にみえて実はかなり頭がきれる人物なのと人の変化にすぐに気付く人物なので…あまり隠し事や嘘が付けない…というか…ついていたとしてもすぐにバレてしまう。
「なーに言ってんだ!その疲れてそうな表情で分かるぜ!俺を甘く見るんじゃねぇよ!親友!」
ほれみたことか…あっさりバレしまった。僕は溜息をつきながらベッドに座り込み裕二にバレた事を教えた。
「うぉーい…なんですぐ簡単に「嘘だ」ってことが分かるんだよ…。」
互いに笑いながらの状況下で、僕はそう裕二に言葉を返す。すると裕二からその僕の質問に対する答えと…ある提案を僕にしてきた。
「おめぇは分かりやすいからな…顔に出てきやすいぜ?廻は…嘘が下手っぴてな!…あー…なぁ?廻?屋上行かねぇか?」
何故屋上なのかは分からなかったが…何か…何時もとは違い真剣な顔つきだった為僕はその提案に賛成した。
「ん?何故に屋上?まぁ…良いが…」
僕がそう返答を返すと裕二は落ち着いた笑顔で僕に言った。
「お!すまねぇな…ちょっとばかし…聞きてぇ事があってな…」
そう裕二が言った後僕はまた病室を出る事になったのだ。
屋上に着いた後裕二は、すぐさま景色が綺麗に見えるであろう場所に行き…僕は少し離れた自販機で缶コーヒーを二つ買ってから裕二のいる場所に行った。こうして二人で肩を並べるのは…高校以来していなかった気がする。
「それで?どうしたんだ?裕二?お前さんらしくないじゃないか?」
僕がそう裕二に問いただすと裕二は、病室を出る前に見せた 真剣な顔つき をまた僕に見せ質問を繰り出した。
「なぁ?廻?おめぇ…本当は琴葉ちゃんの事を…ずっと思ってたんじゃねぇのか?ずっと…ずっーと好きだったんじゃねえのか?どうも…おめぇが琴葉ちゃんにする事に俺は引っかかるんだよ…なぁ?もう言っちまおぜ?」
なるほど…裕二が思ってた事はそれか…そう僕は納得して本当の事を言うか迷いながら…裕二に買った缶コーヒーを渡した。さぁ…迷いどころだ。どう言えばいい?本当の事を…ほんとの気持ちを言ったとしても僕の行く末や…裕二や恭太郎…琴葉の未来はかわるのだろうか?そう悩んでいると…僕の脳裏に、祐介が生前聞いていた「祐介が好きだったバンドのある曲」のフレーズと僕らに宛てた彼の最期の手紙を思い出す。
「琴葉を…頼む…か…」
僕が空を見上げそう言葉を吐露していると裕二に聞き返された。
「何言ってんだ?」
そうだ…迷っていたとしても迷って止まってしまった時間も…自分が決めた決意も…もう戻らない。なら…いっその事言ってしまってもいい気がした。
「ああ…高校の時から…いや…中学の時からずっと…ずーっと…好きだったんだよ。」
僕は、そう裕二の質問に返答を返し…思い出話をする事にした。
確かに僕はずっと琴葉の事が好きだった。だけど…こんな空気のような僕が…この子を幸せにできるか?そう自問自答を繰り返す日々だった。そんな時…祐介がある事で僕に相談してきた。
「あー…廻?あのさ…」
確かそう祐介は言い始めてきたような記憶がある。その後僕は何時も祐介と話す時のように返事をしていた。
「ん?どうした?祐介?」
そうして祐介が言った言葉に僕は、動揺を隠せなかったし…祐介の事を応援すると心に決めた。もちろん…複雑な気持ちもあったが…
「俺さ…琴葉に告ろうと思うんだ…俺はアイツの事好きなんだなって…」
僕はそう言い続けた祐介に一つだけ言葉を投げかけることしか出来なかった。
「そっか…ま!頑張れよ!俺は応援するよ!頑張れ祐介!」
その相談を受けた数日後…琴葉は祐介の恋人になった。二人は…高校が違う場所になっても仲睦まじかったのを今でも覚えている。
そんな思い出話を僕は、裕二にしていた。僕は缶コーヒーを両手で持ちながら街を眺めていた。
「ほほう…なーるほどね…」
裕二がそう言い缶コーヒーを飲み干すと僕にある助言をしてくれた。
「ならよ…だったらよ…告っちゃえば良くね?琴葉ちゃんによ…おめぇなら出来るって…自信持てよ…大体祐介に…手紙越しで頼まれたんだろ?「琴葉ちゃんを頼む」ってよ!なら…もう…おめぇがその気持ちを伝えちゃえば良いってもんだぜ?」
僕はその裕二の助言に何を言えば良いんだろう…そう思っていると裕二は…少しばかり声を荒らげ僕に言った。
「しゃっきとしろや!廻!今の内に言いたい事言ってスッキリしようぜ?」
その声を聞き僕は…自分に何が出来るのか考えた。そのちっぽけな頭を使って…
「…どう言えば…」
最終的に出た言葉がそれで…裕二は僕にある事を言った。
「ったく…琴葉ちゃんもそうだが…廻も「下手っぴな愛し方」ってのをしてるな…いいか?そんな時はな…自分のやり方で自分の気持ち伝えやがれ!ほんとの気持ちを言っちまえ!それが…俺からの教訓だぜ?廻?後…また来るわ…。」
そう言い裕二は屋上を後にした。僕はさっき裕二が言った言葉を頭の中で再生させた。
「自分のやり方で…か。」
そう言い僕は、僕なりの伝え方を考えていった。




