二週間の入院生活
琴葉に思いを告げようとした日から一週間。色んな事があった。普通に変わらずバンドの練習をしたり…皆で喫茶店二行ったり…裕二が働いているライブハウスで練習したり…と色んな事をした。そして…今日からメンバー全員には…まぁ裕二は知って居るのだが…内緒での入院生活が始まろうとしていた。
「よし…必要な荷物は全部持ったな…。」
そう言い僕の 変わった生活が送られる朝 が始まることになる。僕は玄関のドアノブに手をかけドアを開ける音と同時に僕の低い声が響き渡った。
家を、出て数時間程経過した頃。僕は病室のベッドでくつろいでいた。まぁ…右腕は、点滴のせいであまり動かせないが…。
「まさか誰も居ない病室があるとはな…。」
僕がいる病室は四人分のベッドが置いてあるが、どうやらこの病室を使うのは…僕一人だけらしい。貸切状態のその病室を見渡し僕は、一言言葉を零した。
「うわぁ…暇だし…なんなら寂しくなってくるな…ハハッ。」
治療までの時間が暫くあるのが…とんでもなく辛かった。こんな事を思ってしまう僕は…どうやら寂しがり屋なんだろうな。
「この生活…どうなる事やら…トホホ…。」
そう言い僕は、治療が行われる時間までベッドでくつろいだ。
暫く経った後…僕がいる病室に一人…看護師が入って来た。その人は僕の苗字を呼び敷居の役割であるカーテンをめくった。
「遠江さんー?治療のお時間です。」
僕は呼ばれた後ベッドから出てその人に着いて行った。その人は治療室に向かう道中僕に話をしてくれた。
「えーっと…私が担当の河井です。よろしくお願いします。」
そう言った看護師の人…河井さんは僕がどんな病か…そんな事を知っているのだろうか。そう考えて…声を出そうとしたが…僕はその質問をしなかった。恐らく見る限りに若い。恐らく僕と、年齢も一個上か…二個上なんだろう。まだ「看護師」という職になって日が浅い人に僕は現実を突き付けたくなかった。
「あー…こちらこそよろしくお願い致します。」
そう僕は言葉を返したと同時に…放射線治療室と看板が、書かれた部屋に着いた。
「着きましたね。では開けるので…中にお入りください。」
そう言い河井さんという看護師は、その鉄で出来ていると思われる扉に手を掛けた。「ぎいぃぃ…」そんな気味の悪い音を立てたドアの先には…大きな機械や医療品が、入った棚が置かれており…いかにもココが「病院」と彷彿とさせている。
「建物は病院ぽく無いんだな…」
僕がそう言葉を、零した後その空間の照明を…河井さんが付けていた。付けたと途端「放射線治療室」という空間を白が支配していった。
「先生が来るまでお待ち下さい。」
そう言って河井さんは、この空間を後にした。となると…今この部屋に居るのは僕だけで、まさに「孤独」その言葉だけが…僕の心とその空間を支配していた。数分後に医師と見られる男性が、看護師と共に入って来た。その男性は僕に優しく言葉を投げかけた。
「遠江さんですね?今日から二週間頑張りましょう。」
そう言われた後僕はその言葉に答えを返した。まぁ…ありきたりな答えだが。
「はい…よろしくお願いします。」
そう言い…僕の延命治療が始まった。
その日の治療を終え僕が病室に、戻ってくる頃には夕日があたりを照らしている時間帯だった。僕は、窓ガラスで余計眩しくみえる夕日を見ながら廊下を歩いた。
「嫌な照らし方しやがって…僕に対する嫌味みたいだな。」
ふとそんな言葉が口から零れた。やっぱり晴れてる空は、僕には似合わない。いっそ周りも暗かった良いのに…そんな事を今まで考えて人生を送っていたが…周りが明るすぎて暗くなれなかった。それが僕という人間なのだと…今でも思っている。
「…ま!別に明るくても良いけど…。」
そう言い僕は自分の病室のドアを開けた。スライド式のドアが動く音が響き…病室の中が僕を出迎えた。どうやら一人…見知った客人を連れ込んで来たようだった?
「よっ!調子どうだ?廻?」
そう言葉を僕に投げかけてきたのは…いつの間にか来た裕二だった。僕は、少しだけ気だるけな溜息をつきながらベッドに座り裕二に視線を向けた。
「全く…来るなら事前に言っとけよ…おたんちんが。」
そう愚痴を零し何時ものように絡んだ。裕二は飲んでいたコーラのアルミ缶を手に取り僕を励ました。
「にしても…おめぇ…変わらねぇわ。ホントは元気なんだろ…って言いたいんだけどよ…俺には分かるぜ…だから…諦めんな!頑張れよ!モヤシ野郎!」
そんな口の悪い励まし方に僕は…言葉を返しおいた。まぁ…ツッコミに近いものだが…
「一言余計だっての…まぁ…頑張るよ…だからそっちも…よろしくな。」
そんな言葉の掛け合いをした後…裕二は病室を後にした。また一人になるのは…精神的に来るものがあるが…仕方のないことだ。また今度にでも話をしようと思う。
「んじゃ!ま!今日は帰るわ!あー…次来る時はメールするからな!」
そんな言葉に どうせ明日も来るんだろ? そう返答を心にしまい込んだ。もし…この二週間で僕のこの病が…良い方向に進んでくれたらな。そう僕は、空に願いその日を終える事にした。




