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林檎の実と僕の後悔  作者: 穂先ロア
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好きと伝える難しさ

授業を終え私は、校門の前で友人達を待っていた。その時でも廻の事が頭から離れない。好きと言いたいのだが…この事に祐介はどう思ってくれている?そう考えると…だんだん心が、窮屈になっていった。

「どうすれば良いんだろう…この思いは…。」

そんな事を呟くと私を呼ぶ声が背後から聞こえたのだ。

「琴葉〜待った〜?」

私は振り返りながら私を呼んだ人に言った。その人物の周りに二 三人ぐらい集まってきた。そのうちの一人は私に声をかけた。

「お疲れ!今日なんの日か知ってる?」

そう言った友達一人に、私は大人びた様に言葉を返した。

「あの喫茶店の新作パンケーキ発売でしょ?覚えてる。」

歩きグループ内で話し合いをしてる時も、つい頭の中には 遠江 廻 そんな人の名前が思い浮かんでいた。そんな私は、例の喫茶店に着いた事も気付かなかったみたいだ。

「琴葉?おーい…琴葉?」

そんな友人の声かけも私は気付かず…少しばかり経った後に反応を見せていた。少しばかり申し訳ない。声をかけられた後友人達は、次々と店の中へ入って行ったが…一人だけ入らず私の身を心配していた。その友人は少し困った顔で私に質問した。

「大丈夫?相当辛い悩み事なら…聞くよ??」

私はその友人に明るく振舞った。だって…今考えても答えは出ないものなのだから。

「心配ないって!ごめんごめん!さーっ…入ろっか!」

そう言い私含め残りの二人も店の中へと消えていった。


店に入り私は皆のいるテーブル席を見つけ着席した。その後は世間話から教授への愚痴…数えたらキリがないほど…の話題の話をしながら例のパンケーキを、食べていた。しかし一人の友人が話してきた話題で私の複雑な気持ちは…更に複雑なものになってしまった。

「そいえばさぁ…私気になる人が出来たんだけど…皆そんな感じの人って居る?」

私を除いた全員は答えを出すのに時間など必要無かった。しかし私はどう答えればいい? 実はいたんだけどね…と言えば良いのか…はたまた 居ない!居ない! と言えば良いのか…どう答えればいいか戸惑った。

「琴葉はどう?」

そう聞かれた時に私の考えに、上がってくるのは…祐介か廻の二人だけ。どう答えればいい…そんな事に頭を抱えそうになったその時…聞き覚えのある声で私の名を呼ぶ声がした。

「おっ!琴葉ちゃんじゃねぇか!」

その声がした方へ視線を飛ばすとそこには、裕二さんがいた。裕二さんは私に純粋な笑顔を見せ私に声をかけた。

「お!友達とお茶してたか?そりゃ悪ぃな!」

私は笑いながら言葉を返したが…声と表情は笑っていなかった気がする。

「あー…そうなんですよね…アハハ……。」

私と裕二さんが話している時私の周りは え?知り合い? そんな言葉が溢れかえった。裕二さんは私の友人グループを、見るなり一つの言葉を友人達に言った。その言葉に私は驚く事しか出来なかった。

「あー…うちの妹がお世話になってます!」

「!!!!????」

一つだけ言わせてもらう…私は裕二さんの妹では無い。そもそも私は一人っ子だ。確かに体型的に裕二さんはお兄さんに見えなくも…無いが…それに誰か気づいて欲しいもの…だった。

「お兄さん……いたんだ……」

皆が私の方へ 意外 と言いたいような視線を飛ばし…もうこの流れに乗るしかこの状況を切り抜けられなかった。

「あー…うん!そうなの!ね!お兄ちゃん!」

今思うと…なんでこんな恥ずかしい事を私はやらなきゃならんのだ。私はそれを裕二さんに目で訴える事にしたが…その思いも虚しく届かなかった。

「よーし!琴葉ちゃんよ…そろそろ帰るぞ!」

恐らく恋バナなんてものをしたくない私に対しての気遣いなのかもしれない。そう思いその喫茶店を後にした。幸いなのは…頼んだパンケーキを食べ終えていいた事だろう。


あの喫茶店から少し離れた公園にて私は、一人の人を待っていた。私と一緒に喫茶店から出た人を…と噂をすれば何とやら…一つだけ缶コーヒーらしきものを手に握り締めこちらに駆け寄ってきた。

「いゃあ!悪ぃ悪ぃ!ちょいとお前さんの顔色が悪かったもんでね!」

そう言いながら私に缶コーヒーらしきものを渡した。どうやらココアだったらしい。

「ありがとうございます…それと……そんな理由であんな恥ずかしい嘘をついたんですか!?」

そう私が聞くと裕二さんは即で答えを返してきた。

「お?ああ!そうだぜ!」

私は溜息混じりに質問した。何故私の事をそう気にかけているのかを…。

「はぁー…で?なんであんな恥ずかしい嘘を?」

その質問に裕二さんは答えてくれた。でも私も逆に質問されたのだ。

「そりゃ…いつも通りに馬鹿やってたメンバーの彼女だ…ソイツが居なくなったとしても……気にかけるもんさ!俺だって聞きてぇ事あってよ…琴葉ちゃんはよぉ…なんで恋バナの時複雑な顔してんだ?」

私は答えようか悩んだ…いや最初は拒否しようと思ったが…条件つきなら話しておこうと考えた。

「誰にも言いませんよね?廻にもですよ!」

私はそう裕二さんに念押ししその答えに私は安堵した。

「分かった分かった…しねぇからよ。な?」

その後私は裕二さんの質問に返答した。私は大きく息を吸い込み瞳を閉じた後に悩みの種を明かす事にした。

「入って来るんですよ…関係ない事を考えても…遠江 廻 っていう人が。でも好きかどうか問われたら…分からないとしか…答えようが無いんです。」

私がそう悩みの種を明かした後裕二さんは、真剣な表情で私に言った。まるで少女漫画に出てくる…主人公のクラスメイトみたいに

「それはさ…「好き」って事なんだぜ?でも琴葉ちゃんはよぉ…恐らく二つの事で葛藤してるのかもな。」

私が廻を好き?まぁ…そりゃ幼なじみの時からの付き合いだが…恋愛的の好きなのかどうかは…考えるだけでも混乱する。

「もし廻と付き合っちまえば…恋人はできる…だけど祐介の事を忘れたくない…でも廻は余命宣言されているから早く告りたい…この二つで葛藤してるんじゃねぇのか?ま!あくまでも俺の予想だがな。」

続けてそう言った裕二さんに私はなんて返せば良いのか分からなかった。でも…最近廻の事を、無意識に考えてしまうのも事実で…このモヤモヤはぐちゃぐちゃに私の考えを混ぜ込んでいた。裕二さんと帰路につきながら私は答えを出した。

「分からないんです…どう言えばいいか。どう表現したらいいか…私は……分からないんです。」

歩きながら私に振り向き裕二さんはある言葉を口にした。まるで経験があるかのように。

「難しいよな。好きって伝えるのってよ…。」

それから恐らく三十分は経過した頃。ようやく自宅が見えてきた。私は裕二さんにここら辺で大丈夫だと伝えた。

「ありがとうございます。ここら辺で大丈夫ですよ。」

裕二さんは私に最後去り際に言った。その言葉は廻にも言った言葉なのだろう。

「おう!また明日な!それと…後悔のない選択をしろよ?」

裕二さんを見送った後でも自宅玄関件の事で頭を抱えた。

「……。(ここで引いたら廻に思いを伝えられない…分かっているけど!分かっているけど!…)」

何故好きと伝えるのが難しいか…少しだけ分かった様な気がした。

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