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林檎の実と僕の後悔  作者: 穂先ロア
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珈琲とココアと

小夏に腕を引っ張っられ辿り着いた場所は、街かどにあるこじんまりとした喫茶店だった。しかもここは僕が仕事帰りに良く寄った場所。一回だけ小夏と行った事はあるが…何故ここに寄りたかったのだろう。

「ここって……」

僕が唖然としていると小夏は、僕の肩を少し軽く叩き僕に言った。どうやら僕とこの喫茶店に寄りたかったのだろう。

「また…前みたいにこの喫茶店で珈琲とココア飲みながら先輩と語りたかったので!どうです?」

僕は小夏に言った。もう小夏の先輩では無い事を…だがそれでも諦めない小夏が少しばかり子供のようにみえた。

「例え職場が潰れようと…私の先輩は遠江先輩だけなんで!」

そう言い小夏は喫茶店に入って行った。僕は溜息混じりに一つ言葉を零した。

「多分アイツ一生ああだろうな。」

そう言い僕も喫茶店の中に入って行った。乗る気では無いが……。


店に入り二人で席につき店員が来たと同時にオーダーをとった。僕はこの店のオリジナルブレンドコーヒーを頼み小夏は…僕がまだ働いていた時に飲んでいたものをオーダーしていた。

「ココアでお願いします!」

そう言い店員が去った後僕らは、互いに向き合い無言を貫いていた。しばらくして珈琲とココアが来た。僕らはほぼ同じタイミングで飲み物が入ったソーサーを手に取った。ある程度珈琲を飲むと小夏は僕に質問した。どうして急に職場からいなくなったのか…そんな事を聞かれたのだ。まぁ…聞かれて当然なのだが。

「さて!本題に入りますよ。仕事辞めちゃったんですか?」

ストレートにそう聞いてきた小夏に、僕はなんて答えればいい?少しばかり僕は考えまた 小夏 侑李 という人間に嘘をつき…隠し事をした。

「ん?あー…なんとゆうか……サボりだ。やりたい事に必死になって仕事バックレたんだよ。その代償で……」

そう言いかけた後。小夏は苦笑しながらも僕が、言いかけた言葉を口にした。恐らく想像したくなかったんだろう。そう思うと申し訳ない。

「クビ……ですか?」

小さく聞こえたその二文字に対して僕はうなづく事しか出来なかった。そんな僕の反応に小夏は首を傾げ僕に質問しながらココアを口に含んだ。

「ホントにそれだけなんですか?…私の予想ですが……他に理由があると思うんです。」

そんな事を言われ僕は、珈琲を口に含む前に小夏に言った。

「ご想像にお任せする。お前がそう思うならそうだろうし…そうじゃなきゃ…たったそれだけの事だよ。」

その後僕は働いていた時の話を繰り出した。何故かって?小夏はまだ恐らくあの会社で、働いていると思ったからだ。

「それにしても……お前入社当時よりおとなしくなったな。今はどんな部署に?」

しかし小夏からは予想外の返答が返ってきた。正直その答えに驚きを隠せなかった。

「……辞めましたよ…」

僕は理由をといたかったが…その答えを口に出した時の小夏は笑っていなかった。僕は驚きと同時に申し訳なさに襲われ小夏に謝った。

「嫌な思いにさせたな…すまない。」

そう言っても小夏は笑っていた。笑った後ココアをまた一口口に含み僕に声をかけた。

「嫌だなぁ…先輩が気にすることじゃないですし…悔いなんてありませんよ!自分のやりたかった事をやれているので!」

その後僕らは、その喫茶店で談笑し珈琲とココアを飲みながらお互いの近況を語り合った。そして会計を済ませ喫茶店の前で解散する時に…小夏は僕に声を掛け僕に言った。何故僕を慕ってくれているのかを…

「…不器用で…でも優しくて…なんていうですかね…?まるで珈琲みたいに複雑な人って…素敵なんですよ。先輩もそんな人ですよ!」

そんな事を言った小夏に僕は言葉を返しておいた。そんな例え方をする小夏に少しばかり真似をして。

「んなら…お前は…人を元気付けるようなココアみたいだな。」

そう言い残し僕は、バス停へ足を向けた。全く病院に行って帰ってくるだけだったのに…そう心の中にしまい込んで…。

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