突き付けてくる現実
練習が終わり裕二と恭太郎が帰った後僕は夕食を作ることにするのだが……
「琴葉……まだ居るのか?」
まだ一人帰っていない奴がいた。それは隣の家に住み…僕にまたバンド活動を始めるきっかけを作ってくれた琴葉だった。琴葉は、膨れっ面になりながら
「別にいいじゃん!どうせ廻の家誰も居ないんだし…」
やれやれとこの言葉しか出なかった。まぁでもすぐに帰らす方法ならもうある。僕は琴葉に溜息をつきながら
「悪いな…夕食の材料はちっきり一人前なんでね…」
そう言った後琴葉は少しだけ悪魔の様な笑顔になっていた。なんだろう嫌な予感がする。そんな僕の予想は現実逃避したいぐらい当たっていた。
「大丈夫!もう一人分買ってきてあるから!」
何故だ。何故今日の献立を知っている?そう思うと…戸惑いを隠せない。僕は恐怖心があるが…琴葉に聞いてみた。
「まさか…僕のストーカーかい?」
そんな言葉を言った後琴葉は怒りながら僕に言った。僕の例え方が悪かったんだなと思ったが…そう思うだろ。さっきの発言は。
「ひっどーい!そんな事無いじゃん!罰として…今日泊まらせろーっ!」
コイツは無理な事を言ってきたもんだ。親も心配するだろうし…なんにせよ僕の家には僕の分の布団しか無いのだ。でもこう駄々をこねられたら…僕は弱くなる。どうするべきか…悩みに悩んで答えを出した。
「ええい!…親に許可貰ってこい!」
まぁ…多分許可は降りるだろう。お互い二十一だし…隣の家だし…幼馴染だし…あぁ…面倒事が増えたな。
からかった罰として泊まりを強要されて数分後…僕は台所に立っていた。もちろん夕食を作る為に立っているのであって…ただほうけてるわけではない。
「隠し味何にしよう……」
そう言った瞬間琴葉が暗い顔で帰ってきた。この様子だと多分許可を貰え無かったのだろう。僕はそう思っていたが。
「ごめん!今日…親どちらも出張で居ないんだった!」
なんとゆう事だろう。つまり夕食を作るのも…二人分とゆう事になる。それだけでは無い…なんせ布団も僕の分しかない。…仕方ない僕は、ソファで寝るとしよう。流石に客人に寝心地が悪い物を僕は使わせたくないのでな…とそろそろ夕食ができる。僕は皿に夕食を盛り付けリビングのテーブルの上に置いた。
「やっぱり!挽き肉と玉ねぎが買い物カゴ入ってた時点でハンバーグだってなったもん!にひひ!」
子供みたいに話す琴葉を見て僕は天使を見ているかのような感覚になっていた。さて頂こう…久々にこんなワンプレートメニューを作った気がする。口に含みながらそんな事を思った。
「うん…我ながら美味いな…」
あまり自信が無かったが…上手く作れて良かったと思う。琴葉も絶賛だったみたいだ。僕に感想を言ってくれた。
「美味し!良いなぁ…廻だったら絶対彼女とか出来てたと思うのに…」
そんな言葉に僕はこう返しておいた。
「それはどうも…でもな…僕は陰キャだ…だから恐らく話しかけて来る人は変わり者だと思うよ」
その言葉しか返せなかった。
夕食が食べ終わり後片付けをした後僕らは写真を見ていた。そのどれもこれも祐介が写っているものだった。中学生の時によく色んなところに、この三人で行った事を昨日の事のように覚えている。
「懐かしいな…もう随分前の話だもんな…」
そう言葉をもらし後琴葉が現実を突き付けた。僕にも琴葉本人にも辛い現実を
「後二日後だね……」
僕はこの言葉の意味を知っている。 祐介の命日 それを意味していたその言葉に僕も琴葉も重たい空気の中写真を眺めた。分かっている。どう願ったって 石川 祐介 とゆう人間は帰って来ない。そんな事は分かっているのに…期待している情けなかった。
「なぁ…琴葉。祐介の事は…後悔してるか?」
「してるよ……ああすれば良かったのにとか…こうすれば良かったのに…とか私もさ…祐がいなくなった後……バンド活動を再開させる前の廻みたいになってたから。」
そんな言葉を交わしあった。僕は祐介の件は琴葉が悪い…とは思わない。何故なら祐介は僕らの前から消える前までずっと…琴葉の事を気にしていたからだ。
「そうか…でもこれだけは言わせてくれ。おそらく祐介がああなったのは…君のせいじゃ無い。」
僕はそうホォローするしか出来なかった。でも君はどこか悲しげででも嬉しさが出るような…なんとも言えない表情で言った。
「ありがとう…あの日以来自分を責めに責めたから…嬉しい。」
僕らには… 現実 そんな言葉で出来たナイフが突き付けてられている。そのナイフが原因で…自分自身を責めているのだ。僕らが、そんな行為をしないと気が済まなくなったのは何故か?問いただしてみてもやはり…祐介の事が頭に過ぎる。何故 死 そんな言葉へ逃げたのか?何故僕や琴葉…裕二に相談しなかったのか…裕二も恭太郎も…このメンバー全員誰もが知りたい事だ。でもそれは今では叶わないもので、真相は薮の中に入ってしまっていたのだ。
「なんで…言ってくれなかったんだろう……」
そんな言葉がいつの間にか…僕ら二人から零れていた。




