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林檎の実と僕の後悔  作者: 穂先ロア
18/91

僕らを繋いだベースの弦

買い物が終わり帰宅した後すぐに、練習を行おうとしていた。実際何回か演奏をしたが僕はいつもと違う音が出ているのに気が付いていた。

「はい次行ってみよう……と言いたい所だが……」

この僕の言葉にメンバー全員は首を傾げていた。そりゃそうだ。いつもなら繰り返し行う練習を少し中断するなんて多分有り得ないと思ったからだろう。そしてその問題の音はギター系なのは確か…だが僕はこの活動を再開すると同時に弦を変えている。僕は琴葉の側に行き琴葉に言った。

「ちょっとそのベース見せて…」

「え!?うん……分かった……」

そんな会話の後ベースの弦をよく見ていた。やはり弦が錆びていた。僕はベースから弦を外しながら会話を続けた。

「やっぱりか…」

「え?どうゆう事?廻…何がやっぱりか…なの?」

「こうゆう弦楽器って……弦が錆びると音質が悪くなるしすぐにコード変更が出来なくなる。要はデメリットだらけだ。」

「すげぇなぁ廻はよ…んな事俺は気付かねぇぜ?」

「昔から廻は耳良いもんな。」

そんな事を言ってきた裕二と恭太郎に僕は少し急いでるように言葉を発しった。

「そりゃ…長いことやっているから」

二人はそりゃそうかと納得な表情を浮かべ少し早めの休憩に入った。ベースの弦を外し新しい弦を取り付ける時に、少しだけだが琴葉にも手伝って貰った。いつかは一人で交換して欲しい為見て欲しいのもある。交換作業をしていると少しだけ照れた顔で琴葉は僕に話を振りかけてきた。

「えっと……ありがとうね…」

その言葉に僕は気にするなと返していた。弦を取り付ける時に僕は琴葉の指に触れた。こんなに華奢なのに温かいその指はどこか愛くるしかった。

「えっと〜…弦は何年変えてないの…かな?」

「祐介がいなくなった日から……コイツには触って無いもんでな……」

僕は少しだけ気が重くなったしかし何故だろう前よりかはまだマシだと思えてしまう。琴葉と会話しながら弦の交換をした。あとは音程の調整をするだけ。僕はチューナーをベースに付けて音程を音程を調整しようとするその時…琴葉が悲しげで…でも照れ気味な表情で、僕と会話を初めた。

「その…さ……ごめんね…祐介の話題出させちゃって…」

「仕方ない…だってこれ…祐介の物だったからな」

「そうなの?でも……」

「気に止めることでは無いから…安心して…」

そんな会話をしながら音程の微調整をした。僕は琴葉に弦の交換を終え…音程の調整も終えたベースを渡した。

「ん…受け取ってくれ」

そう言い琴葉にベースを渡した時琴葉の手が僕の手に触れた。偶然だと思うが僕的には少しだけ心臓が高鳴った。

「ありがとう!」

「………いや…その…初めて変えるには大変だろうし」

僕らはそんな会話を楽しんでいた。

休憩しているであろう裕二と恭太郎を僕は呼びに一階へ向かった。あの二人は終始クスクスと笑っていた為どうしたのか質問してみる事にした。しかし返ってきた言葉に僕は質問するんじゃ無かったと後悔した。

「裕二…何笑ってんだ?」

「んやぁ……廻よォおめぇ…琴葉ちゃんの事好きなんだろぉ?」

「……え?…いやどうゆう風の吹き回しだ?」

どう答えて良いのか分からない。確かに僕にとって琴葉は幼馴染でもあり…バンドメンバーでもある…でも琴葉は別に好きな人が居て…でもその人はもういない。確かに僕は琴葉に感謝をされた時…少しだけ心が締め付けられるような感覚になった。だが…僕が愛して良いのだろうか…そう考えてしまう。

「……僕は所詮……」

そう言ったその時恭太郎が珍しく口を開いた。多分聞こえてたんだなと思うと少し申し訳ない。

「いや…所詮もクソも無いと思うな…だってベースの弦交換してた時もそうだけど…二人ともいい笑顔だったよ……廻君が居るだけで笑顔になれる人はここに三人居るんだから…そう自分を卑下するもんじゃないよ。」

そうかもしれないと思ってしまった。だって恭太郎も裕二も…またバンド活動をやろうとなった時から表情が明るいのだから。僕は苦笑しながら

「そうだな…卑下するもんじゃないな…僕は僕自身を…ありがとう恭太郎。」

そう恭太郎に言ったあと恭太郎は琴葉が居る部屋に視線を向けた後僕に視線を戻し言った。

「気にする事は無い…全く…僕らを繋いだのは……ベースの弦だな。」

その言葉を言った恭太郎に僕と裕二は

「そう…だな」

「よっ!恭太郎!例えがうめぇぜ!」

と答えていた。そうだ結局僕らは繋がれている…ベースの弦がそうしてくれたのだと…そう思いまた練習に励むのだった。

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