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1 プロローグ
真夏でも暗く、ひんやりとした山奥。
地面は湿り、辺りには烏が飛び交う。
そんな山奥のもっと先、誰も行ったことの無いような所。
場違いな真っ白い建物と、その窓から漏れる青白い光。
建物の周りを取り囲むように張り巡らされた鉄格子。
到底人が住んでいるとは考えにくいそこには、フツウじゃない人々がやって来る。
奇病にかかった人。
ここ、隔離病棟は、入居者も看護師も全て病人。
治療法も薬も不明な不治の病。
出来ることはこれ以上病人を増やさない事。
そして「病棟の番人」を怒らせないことだ。