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[閑話]愚かな一族 その10

「帰ってきて申し訳なかったな。でも、急いで戻ってきてよかったようだ。さて、これが息子だというのか? 」

「あぁ、これは正真正銘ちゃんと君の血を受け継いだ息子のディビットだよ。まぁ、うちの人間にちょっかいを出してしまったせいで過剰な返り討ちをうけてしまったんですがね、そちらの、カルーロイ領の全権利をシュミット領に移行させてくれれば助けてやろうと貴方の奥様と交渉していたんですよ。 」

 

 あたしはグーデ・シュミットとあいつの会話をただ見ていた。当主が帰ってきたのであれば、あたしが交渉する必要はない。それにしても、フリッツ・カルーロイという男は強い男だっただろうか。武術に関して全く何もしていないように思っていたが、陰で努力をしていたのだろうか。


 本当に?


「……まぁ、うちのが迷惑をかけたのであれば仕方ない。全権をすべ「貴方は誰でしょうか? 」


 気付けば、あたしはそう言葉を口に出していた。


「誰……とは? 」

「あたしの知っているフリッツ・カルーロイという男は武術の才が全くなくて、だからこそ、政策に力を入れていた男だ。もし、陰で努力していたとしても、裏切者だったという元使用人たち複数人の敵に到底かなうとは思えない。更に言えば、グーデ・シュミット、あなたはその者たちをトグラ王国の上級スパイと言っていた。何故、知っていたのですか?」


 すると、フリッツ・カルーロイと思われていたソレは糸を切られた操り人形のようにぐしゃりと倒れた。


「いまさら、遅いんだよ、カルーロイ夫人。 」

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