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[閑話]愚かな一族 その9

「じゃあ、もう、終わりだね。もっと生に貪欲かと思っていたけど。 」

「何をあたしに期待してるのよ。この家に嫁がされた時点で、あたしはあたしの意志なんて持って人生を生きてないわ。まぁ、デイビットを授かって、やっとこの世に生まれた役割を得たと思っていたけれど、あたしなんかが、子育てできるはずなかったのよ。それでも……、そう、あたしのせいで壊してしまった息子の人生のためにこの領を犠牲にすることはできない。そもそも最初の子が死んでしまったとき、あの子ではなくあたしが死んでいれば、デイビッドはこんな酷い目に合わずに済んだのに……。」


 あぁ、あたしは愚かだ。現実逃避して、答えを先送りして、結局周りを巻き込んで破滅する人生。ほんとだったら、あたしがこの家に嫁いでなかったら、フリッツやお義母様もお義父様も幸せな未来があったはず。デイビッドだって、あたしがお母さんじゃなかったら、もっと真っ当な人生が送れていたはずなのに。あたしがいなければ……。


「違う!私が君から逃げていたからだ。最初から、君とちゃんと向き合っていればよかったんだ。 」


 うつむいていたあたしはその声に思わず顔を上げた。


 そこには血だらけのフリッツ・カルーロイ子爵がグーデ・シュミットの首筋に剣をあてて立っていた。


「おや、こんな早く生きて戻って来るなんて想定外だ。 」


 気の抜けたような声でグーデ・シュミットはそういうと楽しそうに微笑んだ。

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