交渉と詮索
「よきかな……って何、丸投げしようとしてんだよ。懲らしめろって何か、俺の魔力で全滅させていいのか?」
「いや、生きてる状態にはしてほしいんだけど。いや、それよりもユーリに王宮で力使われちゃうと、困っちゃうの皇帝である私だからね?わかってる?」
「分かった上でそう言ってる。」
「わーーー、やっかい!いじわる!!知ってたけど、知ってたけども!!」
リューフェレンはユーリの言葉に苦笑した。
「もし可能なら、ラウル様とアインスを呼んだ方がよくないか?ある程度、調べがついてるはずだしな。俺がわざわざ動くまでもない。ただ、保険で潜んでいることなら可能だが?」
「……表立って動いてはくれないと?」
「俺は辺境を守る人間だ。帝都の件に関してはそっちで解決してくれ。」
「『ラクリマネーロ』が関わっているのに?」
「もう手放したものだ。こちらに火の粉がかからなければ、どうもしない。アインスを貸しているんだから、これで充分力を貸していると思うが?」
ユーリは意地でも首を縦に振ろうとはしなかった。
「というか、皇帝に対してそんな態度でいいのか?」
「まぁ、ほぼほぼ家族(笑)みたいな関係だし、今回俺は来たくなかったのにユーリが行くっていうから来た感じだし、というか、もう皇帝に顔も見せたから早々にユーリと共に森へ帰りたい……。いつまでもこんなところに滞在していたくない。」
皇帝とユーリから少し離れ、ラインハルトに話を振ったルナだったが、彼の返答に戸惑った。彼は一応、王族の人間だというのに死の森の方がいいとは、よほど帝都の居心地が悪いのかそれとも何か他に理由があるのか。
「お嬢さん、思考を巡らすことが必ずしもいい事につながるとは限らないよ。特に、俺のことを考えるのは避けるべきだよ。」
ラインハルトはそういうとルナをじっと見た。その瞳に見つめられたルナは急に息が苦しくなった、頭に酸素がいかない。手足が震える。こわい、こわい、こわい。体中から汗が噴き出しているのが分かる。こんな経験したことがあっただろうか。
「ラインハルト殿下、その女は死の森へ連れて帰るんだろ?そんなに圧をかけると死ぬぞ。」
「あ、ユーリちゃん、話し終わった?」
ルナは強い何かから解き放たれ、がたりと崩れ落ちた。ユーリからの声に笑顔で返したラインハルトの眼中からルナはいなくなっていた。




