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身に余る祝福に縛られたもの達

 そんな遠い目をしたラインハルトを見て、ユーリはチッと舌打ちをした。この男は隠しているつもりのようだが、この男は輝夜に接触したことがあることをユーリは知っていた。


 前提として、ラインハルトと輝夜の二人には共通点があった。家族の深い愛からの願いによって強過ぎる祝福を受けてしまっている点についてだ。


 彼女の異質すぎる魅力は彼女の父親の愛情からきたものだった。一番末の娘、もう長くない自分が死んだ後の後継者争いの際、きっと彼女は生きることに苦労するに決まっている。そんな苦労をこの愛らしい娘にはしてほしくない。その強い父親としての願いは彼女に祝福(のろい)を与えることとなった。強すぎる願いは時に人を苦しめる。

 無条件で父親である国王から溺愛されていた自分に対して、嫉妬していた兄弟や邪魔もの扱いしていた人たちがいつのまにか崇拝者のようになってしまう現実。次第に周囲の人間は妄信的にイエスマンな者達しかいない。輝夜はその環境に染まることなく、自身の意思でそこから出て行った。和神王は娘の成長に喜んでいるようだったが、年のせいもあったかもしれないが逞しく凛々しかった王はどんどん衰弱し、四年後には骨と皮のみといっても過言ではないくらいにやせ細り、寝たきり状態になった王が晩年口にした言葉のほとんどが「輝夜に会いたい」だったそうだ。話は脱線したが、もしかしたら和神王は彼女に与えた祝福によって呪われていたのかもしれない……。

 そんな人を狂わせてしまう祝福を得ていた輝夜ではあったが、誰も彼もが絶対に妄信的になるものではなかった。実際に自分とともに国を出た従者たちは好意的ではあったが、ちゃんと『輝夜』という人間を見てくれる人たちだった。国外には魔術という技術があり、それを使うことで輝夜の祝福の力をどうにかできるのではないかと提案してきたのも、その一人であった彼女の家庭教師だった。家庭教師の意見を取り入れた結果、輝夜一行は天才魔導具技師のヨハネにたどり着いたのだ。


 輝夜が運命の人と結ばれるまでの間、彼女と旅を共にしていた家庭教師の日記にそのような内容が書き残されていた。その日記をリューフェレン・ブラウラン皇帝からユーリは受け取っていた。これはお前が持っているべきだと。

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