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漆黒の間

 ユーリと、気絶したルナを抱えたヨハネが空間魔法陣によって飛んだ先は真っ黒な部屋だった。ヨハネは大きな真っ黒なベッドにルナを寝かせると、お茶をいれる準備を始めた。


「かったるい。」


 ユーリは青年の姿に戻っていた。結えるほどの黒の長髪に、美しい翡翠の瞳に長いまつげ、程よくついた筋肉の身体にも関わらず透き通るような白い肌のぱっと見20代前半に見えるこの姿こそ、本来の彼の姿であった。しかし、この姿に戻ると魔力の放出がでかくなる。ヨハネの願いをかなえるためには魔力を濃縮する必要があったので子供の姿の方が都合がよかった。それに常に魔法を発動させ続けることで、魔力の生産量増加に制御や維持等の技術向上にも繋がっていた。


「でも、その姿のほうが動きやすいんじゃないの?」

「いや、結局この顔が嫌いだからな。それになんだかんだガキのほうの姿に慣れちまってるからな。」

「あぁ、そうか。その顔、お母さんによく似て美人さんだもんね。血の繋がりというのは強く、美しく、そして、時に残酷なものだね。前にワゲンの今代の王に亡くなった妹であるユーリちゃんのお母さんと勘違いされて、危うく国交にヒビがはいりそうになったの、今でも思い出すと笑えるよなぁ。」

「笑えねぇし。っていうか、ここに着いたんだから使用人の真似事なんてしねぇで王族モードに戻れよ、ラインハルト殿下。」


 すると、ヨハネ、いや、ラインハルトは拗ねた顔をし、魔力によって茶色に染めていた髪を金色に戻した。その姿を見たユーリはラインハルトが話しながら淹れてくれた紅茶を口にした。


「そんな拗ねなくとも、この『漆黒の間』が魔力を吸うから結局はその髪染めの魔法が解けるのも時間の問題だっただろ?この部屋で発動されるのは、俺たちから吸った魔力を利用して発動されるように刻まれた魔法陣のある空間魔法だけ……だろ?ってか、お前がこの部屋設計して作ったんだから拗ねる意味が分からねぇよ。」

「だって、ここ嫌いなんだもん。こんな空気が悪いとこにいたくないの。ひっそり死の森で魔導具つくりながらレインウルフのもふもふで癒されてユーリちゃんをからかう生活が出来てればそれでいいの。王族とか面倒な血縁、こんな身体じゃなかったらすぐ切ってるさ。」

「おい、俺をからかうって言ったか?一発殴っていい?一発殴っていい?」

「痛いのは嫌だから、優しく殴って☆」

「お前、時々キモいよな。」


 そんな会話をしていると、扉にノックする音が聞こえた。


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