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バカとハサミはなんとやら

「お前は本当に酷い人間だねぇ。」


 ニヤつくヨハネにユーリはため息をついた。


「シュミット男爵からの依頼だ。普段世話になっているんだから無碍にはできないだろう。」

「だからといって、フレッド・カーチスの相手をさせる?」

「レイン領の代理領主だ。そのくらい出来なくては困る。」


 実はこの二人、カルーロイのところのバカが、いや、バカと一緒にいるフレッド・カーチスが何か企んでいることを知っていた。バカを使ってレイン領に侵入し、こちらの情報(よわみ)を掴もうとしていたのを。事前に阻止しようとシュミット男爵とやりとりをしていたのだが、コレを利用してリューイを試して欲しいと言われてしまい現在に至る。


「それにしてもリューイはまだまだだねぇ。もう3年はレイン領の代理してるのに。」

「あんな奴らがシュミット領を普通に通過しているのが異常だからな。そこから怪しまないといけないのにな。」

「今回もリューイは王都に連れて行けないねぇ。今回もユーリちゃんと二人でデート出来そうだね。」

「ちゃん付けやめろ。それにデートってなんだよ。そもそも帝都で観光すらしたことねぇだろ、アホ。ぶん殴るぞ。」


 どうせ、いつも通り、帝都についたところでヤシュム城でリューフェレン陛下との密会の後、何かしらの騒動に巻き込まれて観光なんて出来やしないだろう。そもそも、ユーリは仮面があっても感情の高まりによって魔力が漏れ出てしまう。うっかり魔力を漏らして、帝都でレイブン領の悲劇、再びなんてとてもじゃないが笑えない話だ。


「それより、さっきユーリさ、魔力を結構な量無理矢理もらしてたけどさ、リューイなら死にはしないだろうが昏睡状態になっててもおかしくはなかったよ?どういう意図だったの?」

「あいつがとっとと馬車を降りて事態の収束をしないからちょっと刺激しただけだ。まぁ、バカを懲らしめるために俺が率先して手を出してしまったのは反省してるが、結局はリューイがやらなくちゃならないことだ。馬車で頭抱えて動こうとしないのが悪い。」


 少し不機嫌なユーリにヨハネはポンポンと頭を軽く叩いた。


「でも、ちゃんと今動いてるでしょう。リューイはまだまだ伸びしろのある子だよ?長い目で見てあげよう。」

「分かってはいるよ、ったく…。」


 そんな会話をしていると馬車の扉が開き、満面の笑みのリューイがそこに立っていた。


「お待たせしました。」

「……早かったな、何をした?」


ユーリは異様な早さで戻ってきたリューイに嫌な予感がしていた。


「いやー、ペチャクチャうるさかったんで、舌と声を奪い取ったら失神しちゃって。でも、どんな手を使ってもいいって言ってましたし、大丈夫ですよね?この後どうしますか?山に埋めましょうか?」


 ヨハネは苦笑し、ユーリはそんな彼を睨みつけてこう言った。


「ヨハネ、これがリューイだ。長い目で見るだけじゃダメそうなんだが?」

「ハハハ。ユーリ、まだまだ育て甲斐のある子ってことだよ。これはシュミット男爵に相談だな。」


 2人の会話にリューイは失敗をしたのだと感じ取り、ガクッと肩を落とした。


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