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私は私で私である  作者: ファムファタール
2/2

2.気付きが

就職してから四年ほど経つ。

大手の会社に就職出来たし、仕事にも慣れて、今では人からも良い評価をいただけるようになってきた。

 ただ、昔のエネルギッシュさを失いつつある。苦しかった10代の頃の熱やエネルギーは無限だった、疲れやすくなった。まだ20代なんだけどなぁ、まぁいいか。

 にしても本当にこのままずっとこれで良いのか、と思い始めてくる。

パソコンと睨めっこより何か本当にやりたいことや楽しいと思えるような事がある気がする。

このままこの仕事を続けて何かが変わる予感はしない。

 人間、変わらないということは成長しないということだ。

 私は変わりたい。



24才の冬、仕事を辞めました。





 貯金もある。だからしばらく何もしなくても良い。 

環境を変えることで自分を追い込んだ。仕事をしなくてはいけない状況から、自分が何かを起こさないと行けない状況にすることで自ら変わることにした。

 仕事をすることで守られていた規則的な生活も、毎日使っていた頭と時間や、少しだけ疲れていた人間関係。

 私は誰にも縛られることのない自由という孤独を手に入れた。

 だから私は今絶賛大切な暇をしている。





 「今日は、暖かいなぁ」

朝日がじんわり肌に滲む、控えめな太陽と共に目が覚めた気がする。

 決して広い部屋ではない、一人暮らしが出来る程度の十分な無駄のないスペースで今日も息をしていた。

(ただ生きているんだなぁ。社会から離れて誰からも必要とされない、自分のために生きている自分になっちゃった。)

案外そういうの、嫌いじゃないよ。


 使っていないノートをデスクの引き出しから、ボールペンはそこらへんに転がっていたものを使う。

大手の企業に就職しても少し大雑把なところは変わらなかった。

人間の本質というか根っこはそうそう変わるもんでも無いな。

 私はそのノートとボールペンを筆箱に入れた。

 近くの図書館へ向かう。




 図書館の中はほんの少し肌寒い。凄く広い図書館なのでそりゃ温風は隅々にまでいかないよな、と思った。

とりあえず並んでいる本を眺める。

私は学ばなければいけないと思った。

 私は生きている、暇であっても良いがそれを無駄にしてはいけない。私は腐らない、放置を選んでも壊れない。

図書館には様々な本、様々な人生、様々な人間の集合体だ。ここで学ぶことを私は選んだ。いろんな物事を客観的に冷静に、見られたら、嘘も真も愛せるように感じた。

 一冊の本を手に取る。


  『整理方法α』


 貴方は知らなかった。

 幸せの破片がいったいどういうものだったのか、なにを求めて今ここにいるのか。


 ストーリーは繫がっている。


 貴方もそうだ。


 ばらばらに見えるだけのものを詰め込んだまま整理をしないから、歴史を覚えられなかったのだ。


 そのままでは80点に届かない。

 貴方は、貴方は100点だ。


 それは私も同じことなのだ。


 1.今の貴方


 2.なにがそこにあるのか


 3.並べる


 4.詳しく精密に



ここで本を閉じた。

私は整理を求めていたのか、と。

今の状況は良く分かる。

今の状況は良く分かっていても、

今の私の精神的は状況は良く分かっていない?

本当のやりたいことってなんだろう。

私はなにを求めていた?

誰に?

何に?

仕事は面白かった?

つまらなかった。

淡々としていた。

変化がなかった。

年が過ぎているだけの、毎日のリピート。

あぁ、

その閉鎖された毎日が苦しかったから

逃げたかったんだ。






 



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