July
ゴーンゴーン
大きな鐘の音がゆっくりと揺れ始めた。
「おめでとーう!」
「おめでとーう!」
花びらの嵐が、扉から出てきた私たちを迎える。
お父さん、お母さん、お姉ちゃん、健くん。
そして、新しい家族として迎えてくれた、お義父さん、お義母さん、お兄さん、弟くんたち。
渡辺先輩、玄野さん、直人の会社の城田君。
私と直人の学生時代の友人。
たくさんの人が私たちを祝福してくれていた。
「みんなの中通るの恥ずかしいね、直人。」
ブーケで表情を隠した私。
「……でも?」
「「幸せだね。」」
顔を見合わせて私たちは笑った。
「お父さん、見て。
倫子あんなに笑っちゃって。」
「ああ、あんだけ降ってたのに、今だけ雨が止んだしなぁ。」
「直人くんも倫子も絶対幸せになるわね。
これだけ、雨が二人の一生分の涙を流してくれたんですもの。」
「本当…倫子は幸せ者だな。」
「写真とりまーす!
まず、ご家族の皆さん集まってくださーい!」
私はドレスを汚してしまわないように、裾に注意を払って中央に寄った。
「大丈夫?」
「ありがと。」
エスコートしてくれた直人に、私は微笑む。
「兄ちゃん、骨抜きだね。」
「ひゅーひゅー。」
「こら、静かにしなさい、お前らは。
すみませんね、倫子さん。」
「いえいんですよ、お兄さん。」
くすっと私は笑った。
「じゃあそろそろ一枚いきまーすね!」
カメラマンさんが、右手を高く掲げた。
「大丈夫ですか?いきますよ~!」
少し位置を皆が確認した後で、
「はーい!」
みんなが大きく返事した。
「はい、1たす1は~?」
恒例のセリフ。
こういう式でも使われちゃうんだね。
「にい~!」
パシャ
一瞬のまぶしい光で視界が閉ざされる。
「いいですねー!」
カメラを調節して、次の写真の準備を始めるカメラマンさん。
「俺、今目つむったかも。」
「直人も?
私もそんな感じする。」
ハハハっと笑う私たち。
「じゃあもう一枚いきますねー!」
カメラマンさんがカメラを構える。
「俺たちだけ目つむってたらどうする?」
「それはそれで私たちらしいよ。」
「だね。」
彼がにこっと笑った。
「ねえ直人…言いそびれちゃったけどね。」
「何?」
彼が私のほうに軽く顔を傾ける。
「はい、1たす1は~?」
「今日の直人は、世界で一番かっこいいよ。」
「ばっ!」
パシャっ
今までにないくらい笑顔の私、
と?
今までにないくらい照れた表情で焦っている直人。
「ねえ直人、今週末はどっか行く?」
窓辺に座って風邪を当たりながら、彼に声をかけた。
「んー、ごろごろじゃだめ?」
テレビを見ていた彼が近づいて、後ろからふわっと私を抱きしめた。
「いいよ?」
「え?どっか行きたいんじゃないの?」
驚いて聞き返す彼。
「だって、直人となら何したって楽しいもん。」
テレビ台の隣に飾られた写真みたいに、彼は頬を赤く染めた。




