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ばかって言う君が好き。  作者: 下駄
Three year
30/38

Aug


「お疲れさまです。」


彼と仕事終わりに外でご飯を食べていた時に、その電話はかかってきた。 


「……その件に関しましては、

担当の谷口にお任せしているのですが。


はい、はい。


じゃあ明日の午後の打ち合わせ時に、詳しく改めて説明します。


お電話わざわざすみません、先輩。

はい。失礼いたします。」


プ。

携帯をかばんにしまう。


「誰から?渡辺さん?」

彼は口に焼き鳥を運ぶ。


「うん、ごめんね、ご飯中に。」


「いや、いいよ。

居酒屋にしなくてよかったね。」


「そうだね。」

私は微笑む。


4人席の個室。

私達はグレーのソファに向かい合わせで座りながら、

頼んだ焼き鳥やら、サラダやらお肉やらを食べている。


メニューも価格も手頃なものなのに、雰囲気は落ち着いていて、ゆっくり食事をとることができる。

初めて来たのだけれど、また来ようと彼と話していたところだった。


「また渡辺さんと仕事してんだね。」


「うん。」


直人と一緒に仕事をしたとき、

渡辺先輩とも同時進行にお仕事をさせていただいていた。


「覚えてたんだ、

渡辺先輩とちょっとしか話したことないのに。」



「もちろん。

ライバルはちゃんと見張っとかないと。


渡辺さん、かっこいいし。」

 ハハハと彼が笑う。


そういえば、彼と知り合ったばかりの時に、

「渡辺さんと付き合ってるんですか?」そう聞いてきたことがあったっけ―――。


あの時は特に何も思わなかったけど、

こうしてみると、

彼はあの時から、私の事思ってくれていたのかな。



「まあ渡辺先輩、人気あるけど……


ライバル扱いしてたんだ。」

クスクス笑う。


渡辺先輩は、私の4つ上で常に人気な先輩。

短髪できりっとした顔つき、すらっとしていて、容姿はもちろんのこと、

優しい性格で女性社員だけでなく男性社員からも好かれている。



「まあね。

倫子の事そのぐらいから好きだったから。」

パクッとからあげを口にほうりこむ。


「………ふーん。」

私もからあげを口に運んだのだけれど、

一度小皿に落としてしまった。


予想はついてた彼の言葉。

でもいざ目の前でそういわれると、こうも照れてしまう。



私は彼をちらっと見る。

ニコニコと笑ってる彼。


「照れてるの?」そう言わないけど、

彼は私がそうだと気づいてるらしい。



「……お肉食べちゃうよ。」

 私は彼が小皿にとっていたお肉を取り上げる。


「あ、俺のだって!」


「もー私のです!」

パクッと口に入れる。


笑いあう私達。



付き合いたてのころは恥ずかしくて、敬語だった言葉遣い。


今でもたまに敬語を使うけど、

今じゃからかうの時に使う、その言葉。



あの頃の私には想像できなかった今―――。



「でもさ、倫子意外にスキがあるから、

今でも俺結構ひやひやしてるよ。」


彼がお茶を飲む。


「え?なんで?

私のガード硬いの、一番知ってるの直人だと思ってるんだけど。」


「仕事以外の話、あんまり乗ってくれなかったもんね。」


「そうだっけ?」

私もオレンジジュースを飲む。


「そうだよ!

休日何してるんですか?って聞いて、

今お仕事中なので…。って、見事にスルーされたの覚えてるよ。」


「え?そんなこと言った?

私ある程度は話乗るはずなんだけど……」

またジュースを飲む。


「言った!

まあ仲良くなりたくて、めげずに頑張ったけど。」


「うん、頑張ってくれてありがとう。」

私はクスクス笑う。


「まあそういう壁作るとこも

過去の遠距離のせいだって教えてもらってからは、

納得してるけど。」



「うん。」



「でも結果的に俺とこうやって付き合ってるわけだし、

やっぱ何かしらスキがあるんだよ、倫子。なんか。」


「え?」

 笑う私。



「そのうち、他の人好きになったとか言われたらどうしよ。」



「それはない。」 


いつもの冗談かと思って、

私は笑ってそう答えたのだけれど。



彼は

少しだけ、

少しだけ笑って、



「帰ろうか。」



そう言った。




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