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ばかって言う君が好き。  作者: 下駄
twoyear
21/38

Dec


大晦日、私は今年も実家で過ごしていた。

父と母は夕飯を買いに出掛けているらしく、姉とリビングでテレビを見ていた。


「お姉ちゃん、結婚式の準備進んでる?」


「まあまあね。

あ、直人くんこれなくなったんだねー、、残念。」


「うん、そうなの、仕事忙しいみたいで。」

 私は机に置いていた携帯をちらっと見た。

実家ってそんなに忙しい?

実家に帰ると昨日のお昼に連絡をくれて以来返事がない彼に、私は疑問を抱いていた。


「……うまくいってるの?」

 テレビから視線を外し、姉は机についていた頬ずえをといた。


「いやー、

もう5ヶ月会ってないし、電話もしてないんだよね。

連絡も毎日とれてないし。」 

 ハハハと私は笑う。


「好きっていってる?

直人君も倫子の気持ち分からないのかもしれないよ?

ちゃんと一度話そうって言ってみなよ、勇気ださなきゃこのままだよ。」

 姉はくしゃっと笑った。

私を安心させるためだとすぐにわかった。


ありがとうと返事しながら、私は携帯をもう一度ちらっと見た。

連絡はやっぱり来ていなかった。



姉が母と夕飯を作ってくれている間、 私は自分の部屋に戻って、床に敷いた布団に転がっていた。

彼との連絡の履歴をぼーっと見返していた。


「本当、好きなんて単語一個もでてこないや…。」


並んでいるのは「忙しい」と返事をくれる彼に、私が労わる言葉ばかり。

たまに出てくる会話といえるやり取りも、他愛もない話で終わっていた。


確かに彼と冗談話をしているときは楽しいのだけれど、

私が彼としたいのは、そんな会話じゃない。


次いつ会えるとか、会えなくても電話とか、

そういうさ、そういう―――


「勇気か…。」


姉の言葉を思い出して、

このままじゃだめだよね。

そう思って、

私は意を決して、電話をかける。


プルプルプルプル――――

久しぶりに聞いたコール音。



出て…お願い…出て――――



ガチャ

「おかけになった電話は、ただいま電波の届かないところにあるか」


「やっぱり……だめか」

通話を終える。



ピンポーン

ちょっとして通知音が鳴った。


どうした?

ごめん、今出れないんだよね…

実家いてさ、難しい…。



実家、もうついていたんだね。

久しぶりの実家だもんね、弟君たちと遊ばなきゃだしね。

忙しいよね。


でもでも…

私にも少し時間とってよ……。


お仕事じゃないなら、

電話も、LINEも、できる筈じゃない――――。



文字にすることなく、私の言葉はどこかへ消えていく。

だけど、このままじゃだめだから、


最後、本当に最後、彼に私の気持ちを送る。


ゆっくり過ごしてね。

直人忙しそうだけど、そんな頑張りやな直人が好きだよ。



…お願い、好きって返事ちょうだい。

すきって、

そういってくれたら私、また、頑張れるから―――



ピンポーン


ありがと。

倫子も実家だろうしゆっくり過ごしな。



あ……。


既読をつけて、

私はそのまま返事をしなかった。


美味しいご飯を食べて、おそばを食べて、

年が明けて、彼から新年の挨拶が続けて送られて来ても。


ぴかぴか光る通知の明かりだけが、私の部屋を照らした。



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