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ばかって言う君が好き。  作者: 下駄
oneyear
10/38

Jan


 ゴーンゴーン。

新年を告げる鐘。


何回なっただろうか、回数が決まってるって誰からか聞いたことがある気がする。


「あけましておめでとう。」

 縁側に座り、夜空を見ながら彼を思って呟いた。


「倫子?なんか言った?」


「何でもないよ、母さん。」


「早く、おそば食べちゃいなさい。」

 父と母と姉と私の分を、私が小さいころから使っている古びた木の机にカタンカタン。


ゴーン。

また一つ鐘がなる。


今年が始まって、彼と初めて会えるのはいつになるだろう。



話せるのは?

デートは?

手をつなぐのは。


12時6分。

大きなエビ天が入っていたおそばを食べ終わる。



「ほんとあんたは食べ終わるの早いわねー。」

 なんて母さんの小言を今年も聞いて、ああ新しい一年が始まったのだと私は実感した。



携帯をチェックして、

12月31日 22時37分 

やべー弟に殺されるw


12月31日 22時58分 

弟がんばれ!笑


なんて最後にやり取りしたLINEを読んで、

弟さんにいじめられているだろう

彼の様子を思い浮かべ、くすっと笑いをこぼす。



「何笑ってんの、倫子。」

私がくすっと笑ったことに気が付いた姉からの突っ込みに、すっかり携帯をチェックする癖がついてしまったことを自覚する。


「倫子、片付けるの手伝ってー。」

 台所からの母の声。


「うん。」


 携帯を机に置いて、

音楽番組を見ている父と姉を横目に4人分のおそばを片付ける。



「さあ~寝るかな~」

 明日もお仕事だという父。


「電話が来な~い。」

私と同様好きな人からの連絡を待つ姉。


「まったく。」

 小言を漏らしながらも、優しく微笑む母。


リビングの電気をかたんと落として、寝室にもう父さん達は寝に行ってしまったから、

お姉ちゃんと二人、真っ暗なリビングで、テレビを。


そのうち「あ、電話だ!」と顔をほころばせながら姉が自室に戻った。


よかったねと思いながら、

始まったウェディングソングを私はそのまま聞いた。


お姉ちゃんの好きな歌だった。



……チッチッチ。

……チッチッチッチ。

時計の針の音で目を覚ます。


「あ、寝ちゃってた。」

つけっぱなしのテレビの端に、2時34分と。


真っ暗な部屋で光っているのは、まだ続いていた音楽番組と、

携帯のぴかんぴかんという通知。


携帯を手にとって確認した。



もう寝た?


1時30分 

彼から来ていたそれからもう1時間。


もう寝ちゃったかなあと思いながら、彼へ電話した。


実は初めて彼にかける電話で、内心ドキドキ。


1コール、2コール、3コール……

やっぱり寝ちゃったよね……。



ガチャ


「もしもし?」


「あ、直人?ごめん、もう寝てた?」


「いや、まだテレビ見てた。あけましておめでとう。」

 少し眠そうな彼の声。


「おめでとうございます。」


それから始まる私たちのたわいもない話。

今年はどこへ行こうとか、散々いじめられた弟さんたちの話とか。


結局私たちは

明け方までずっとおしゃべりを続けていた。



通話を切って、自分の部屋に既に移動していた私はベッドに転がる。


携帯を枕元に置いて、目を閉じて――――。



ピンポン


明けて初めての電話楽しかったです。

(倫子からの初電話でもあるしw)


今年もよろしくな。

おやすみ。



真っ暗な部屋を

通知の光がぴかんぴかんと照らすのだった。



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