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今日は休日にしよう!

ヒロイン登場です。

初めてクエストを受けた日から一週間。


今日も今日とて、俺は落し物探しのクエストを受けていた。

この3日間、俺は落し物探しやら配達やらのクエストを受け続けている。

本当は討伐クエストに行ってみたいけど、一緒に行ってくれる人が見つからないからしょうがない。


てな事をお姉さんに相談したら、俺が登録した次の日に登録した新人冒険者がいるから声を掛けておいてくれるらしい。お姉さんマジ天使。


そして、やっとこの雑用クエスト(俺命名)地獄から抜け出せそうな兆しが見えて心に余裕ができたせいか、ある事に気がついた。いや、寧ろなぜ今まで気づかなかったのか。


俺、ここのところ働き詰めじゃん。


俺はこの一週間、毎日必ず一つ以上のクエストを受けてきた。まあ、冒険者ライフが新鮮で楽しかったってのもあるけど、流石に疲れた。そもそも俺魔術師だし。配達とかそういう力仕事はむいてないんだよね。


つまり何が言いたいかって言うと、今日は休日にしよう!って事だ。


勇者パーティーの旅は結構ハードで、殆ど休みがなかった。あの人達はチート集団だからそれで良いかもしれないけど、俺は疲れた。精神的にも肉体的にも。

今日はその溜まりにたまったストレスを発散するとしよう。


「さて、じゃあ早速……なにをしよう?」


俺がこの世界にきて1年、まともな休日なんてなかった。だから当然、休日の過ごし方なんて知らない。

手持ちもそんなにある訳じゃ無いし、できる事も限られてる。


「取り敢えず、街をぶらついてみるかな。」


そういう事になった。



◆◆


俺が最近滞在しているこの街はロートといって、国の端にありやや田舎ながらも、隣国からやってくる人が多くいる為、活気がある。


今日もクエストを受けるつもりで早起きしてたから、まだ朝早い。にも関わらず、大通りにはたくさんの屋台が出て、呼び込みなどの賑やかな声が聞こえた。


「おおぉ、これは凄いなあ。祭りでもやってるのかな?」


ここ一週間街でのクエストだったとはいえ、そのクエストはどれも大通りとは離れた場所だったから大通りに来るのは今日が初めてだ。


「話には聞いてたけど、これ程とはねえ。」


実は俺がここに来たのは、お姉さんに聞いたからだった。ギルドを出る前にお姉さんに楽しい所はないか訪ねた結果、教えてもらったのがここである。


俺は早速、屋台を見て回る事にした。



「そこの兄ちゃん、ウサギ串食ってかない?今朝捕ってきた新鮮な羽ウサギだよ!」


少し進むと、屋台のおっちゃんに声を掛けられた。羽ウサギってのは、その名の通り羽の生えたウサギの魔物だ。ウサギ串は、羽ウサギの肉を食べ易い大きさに切って串に刺した、いわゆる焼き鳥のウサギ版。


「一本貰おうかな。」


屋台価格なので少し高めだけど、偶には贅沢したってバチは当たらんだろう。


お金を払って受け取ったウサギ串に早速かぶりつく。瞬間、肉汁がじゅわあっと口の中に広がった。少し固めのウサギ肉とガーリックテイストのタレがマッチして、これは美味い!


もう一本買いたくなったが、まだ屋台はたくさんあるし、節約せねば。




そんなこんなで屋台を冷やかしたり料理に舌鼓を打っているとあっという間に時は過ぎ、気づいたらもう夕方になっていた。楽しい時間は直ぐに過ぎるもんだ。


帰りにいつもお世話になっているお姉さんにお土産を買っていこうと、1番美味しかったウサギ串を一本購入してギルドへ向かった。




ギルドに入ると、お姉さんが俺に気づいて声を掛けてきた。なんかデジャブ。でも今回は申し訳無さげな顔じゃなく、笑顔だった。やっぱり美人は笑顔が似合うね。


でも、お姉さんはどうやら、女の子と話していたようだ。話の最中に俺に声を掛けて良かったのかな?

そう思っていると、女の子が此方に振り向いて言った。


「初めまして。あたしの名前はハンナ!君がユウくんだね?」


かなりの美少女だった。茶髪の髪を後ろで一つにまとめ、ややつり目の大きな目が俺を見つめている。お姉さんが美人なのに対して、この子……ハンナさんは可愛い系の美少女だ。

で、そんな子が何故俺の名前を?


「ユウさん、この方が今朝話した新人冒険者のハンナさんです。ハンナさん、此方が今話したユウさんです。」


ああ、なるほど。


「ユウです。よろしく、ハンナさん。お姉さん、声を掛けていてくれたんですね。ありがとうございます。」


「いえいえ、お安い御用ですよ。それでハンナさん、ユウさんとパーティーを組んで頂けるという事で良いんですよね?」


「はい!あたしもそろそろ討伐クエストに行ってみたいって思ってたので。」


「だそうですよ、ユウさん。」


「はい。ハンナさん、これからよろしくね。」


「不束者ですが、よろしくね!」


それは少し違うね。しかも声が大きい。周りの視線が痛いです。



取り敢えず、場所を移してハンナさんと話し合う事にした俺は、ハンナさんを連れてそそくさとギルドを後にした。



あ、ウサギ串は忘れず渡したよ?喜んで貰えたようで何より。




1日1回の更新を心がけていきます。

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