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日常崩壊

 赤い目をした化け物が人を襲う。そんな噂が学校に広がっていた。

その話を興奮気味に話す友人を冷やかな目で見つつ、そんなことあるわけねーと思っていた。



けど、もし過去に戻れるならその時の俺を殴ってやりたい。なぜなら、今、目の前に赤い目をした二つの首を持つ犬がいるからだ。

何なんだあれ。サイズがおかしい。人より普通に大きい。

いや、そのサイズならいないこともないのか?等と混乱して思考がおかしくなっている。

目の前といっても俺は電信柱に隠れているから、相手は気づいていないと思う。

というよりも、気づいていないで欲しい。

どうにかして逃げないと。

幸い、10メートルちょっとの距離に曲がり角がある。あそこまでたどり着けばフルダッシュで逃げれる。

 ただ、化け物が俺の足音に気づかなければだが。


このまま、電信柱に隠れていたらあの化け物がどこかに行ってくれるかもしれないという考えを振り切り震える足を無理やり動かして逃げる覚悟を決める。

そして、できるだけ静かにそして速く走り出す。

ほんの少しの距離を移動するだけなので本来数秒ぐらいの時間のはずだがまるで永遠のように感じる。

曲がり角まで、あと一歩のところで化け物が俺に気づいたらしく、鳴き声を上げながら化け物が走ってくる。

 「くっそー!!」

誰かが気づいてくれるかもしれないと大声で叫びながら全力で走る。とはいえ、学校をでたのが夜遅く、そのうえ、早く帰るために普通の道を一本外れたところを歩いていたため人通りが少なく助けは見込めそうにない。


 今までの人生のなかで最も必死になって走ったが、ついに体力の限界がきた。

自分がどれぐらい走ったかもわからない。


 「こんなとこで、人生終わりかよ」

 いつの間にか墓地についていた。逃げ始めたところから近くには墓地なんてなかったから結構走ったみたいだ。

 「はは、死ぬにはぴったしだな」


そんな俺の言葉を理解したのか化け物が大きく口を開け牙をむき出しにしながら大きく跳躍して襲ってくる。

 疲れて足に力が入らない。しかし、ここで動かなければ死ぬという思いで体を横に倒す。

化け物は跳躍していたため向きを変えられずそのまま後ろにあった墓標に大きな音を立てながらぶつかる。


化け物が跳躍していなければそのまま向きを変えられて死んでいただろう等と思っていると化け物がこちらを見ながら唸り声を上げる。

 「グルルルル」


さっきのを反省したのか今度は走ってくる。

だが、化け物も走りつかれているのか、もしくは墓標にぶつかったダメージがあるのか俺を追いかけていた時よりも僅かに遅い。


 化け物はでかいため小回りが利かないだろうという希望をもとに、足を動かし墓標の後ろに回る。やはり、小回りが利かないのか墓にぶつかりながら追いかけてくる。

 俺の作戦は化け物を墓標にぶつけるように逃げ、化け物が本格的に疲れだしたらこの墓地から逃げ交番に入るというものだ。

 もし、交番がなかったらコンビニにでも入ればいいだろう。


 何度も何度も化け物は墓標にあったている内についに最初のように跳躍して墓標を飛び越え俺の足を前足の爪で切り付けてくる。

 「ぐっ・・・」

少し掠ってしまい左足から鈍い痛みを感じる。


 それでも、歩みを止めず逃げる。ただ、もうさっきのように走るのでなく歩くような速度で逃げることしかできない。

 それを見て化け物は俺で的当てをするかように墓標を前足で蹴り、飛んでいく石で俺を狙ってくる。

飛んできた内のニ発が左腕と痛みを感じる左足に当たり、左腕からゴキッという鈍い音がする。


 「くそっくそっ」

 もう、逃げられない。左腕の痛みと左足の痛みで地面に蹲りその場から動けない。

 化け物は追いかけっこに飽きたのか、近づいてくる。

ーーー俺はこんなところで死ぬのか?こんな化け物なんかに殺されて 

 化け物は、俺まであと2,3歩だ。化け物が足を上げ近づいてくる姿が無理やり時間を延長させたかのようにゆっくりに見える。

 

 そして、その刃物のような爪で俺をーーー俺はまだ死ねない。まだ、あいつを見つけていないんだっ。絶対に生きるんだ・・・・・・っ。


「うおおおおっ」


 グチャという音が鳴りながら地面に肉塊が落ちる。


「ハァハァ」


 地面に落ちた化け物の足すら眼中に入らない。ただただ、俺は右手にある日本刀一点を見つめている。

化け物も何が起きたか分からないのか動きを止めている。


 なぜ、急に日本刀が現れたのか分からないが、これはチャンスだ。俺は化け物の首を断ち切るべく右手の日本刀を精一杯の力で振り上げる。

ゴキっという鈍い音がして何かを斬る感触がする。

 そして、化け物の首が音をたてて落ちた。

 同時に俺の意識は闇に落ちた。













 



















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