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ウィーン編 第14話

遅れに遅れて申し訳ありませんでした! 更新です!

楽しんでいただけたら幸いです。


パーティー当日 午前8時30分 アパート 調理場前


「よ~し!みんな!昨日、電報で母さんたちは今日の12時過ぎに駅に着くらしい。テーブルの配置、イスの数の確認などは昨日のうちに済ませておいた。残る作業は料理を作るだけなのでなので今から料理を作りたいと思います!」

『オオォォ~~~~~!』


狭い調理場で4人の男と1の女が肩をぶつけながら作業を始めた。



スープ担当のフォルカーはアイントプフというドイツのごく庶民的な家庭料理を作る。このアイントプフはソーセージにジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、レンズ豆などを入れて煮込んだものでスープのベースはトマトやコンソメなど何でもよい。日本でいえば味噌汁のように、庶民的でかつ各家庭ごとに味が異なるものである。

ちなみにフォルカーはトマトをベースにスープを作る予定。


メインその1を担当するベネディクトはシュニッツェルという肉料理を作る。このシュニッツェルは簡単に言うとカツレツである。肉は一般的に牛肉だが豚肉でも鶏肉でもよい。

ベネディクトは牛肉を使って作ろうとしている。腕前は食べれる程度だそうだ……すごく心配だ……


副食担当のヤーコブはカルトッフェルプッファーというポテトパンケーキを作る。すりおろしたジャガイモの生地を、フライパンや鉄板で焼いた料理。ジャガイモはすりおろす以外にみじん切りにされる場合や千切りにされる場合もあり、千切りで作る場合はハッシュドポテトに似たものになる。

ヤーコブはすりおろして作りその中にみじん切りにした玉ねぎと挽肉を入れるらしい。……焼いたコロッケみたいになるのか……?



最後にオレとエーリカはハンブルグステーキ……通称ハンバーグを作る!



「よーし、エーリカ!まずは玉ねぎをみじん切りするぞ!」

「わ、わかったわ……!」


そう言うとエーリカは包丁を握りしめ、まな板の上に置いてある玉ねぎに向かって大きく振り下ろした!


スパーンッ!


「……みじん切りのやり方、知らないの?」

「……うん」

「そうか……じゃあオレがやるから見てて」

「……うん」


アドルフは慣れた手つきで玉ねぎをみじん切りにしていった。


「すごい……!」

「エーリカも練習すればこれくらい出来るようになるよ」

「本当……?」

「オレだって練習してこうなったんだ。きっと出来るようになるさ。ハイ、やってみて」


アドルフから包丁を受け取ったエーリカは見よう見真似で玉ねぎをみじん切りにしていったが……


「アドルブ……!涙がどまらないよ……!」


五分も持たなかった。


「まあ最初はつらいよな……いずれ慣れるよ。少し目を洗ってきな」

「……うん」



その頃フォルカー、ベネディクト、ヤーコブはというと……


「ふ~~~……いい感じになってきたな」


フォルカーのアイントプフはいい感じに煮詰まってきておりもう少しで完成というところまで来ている。

そのとなりでシュニッツェルを作っているベネディクトは……


「いい色になってきたな~~~!」


いいきつね色になった……のではなくきつね色を通り越してところどころが黒く焦げ始めていた。


「よ~し!もう少し焼くか!」


まだ焦げるようだ。

ベネディクトの隣のヤーコブは……


「♪~♪~♪~♪~」


鼻歌を歌いながら作っていた。



エーリカが戻って来たので続きを始めた。


「よ~し続きやるぞ。まずパン粉に牛乳を入れて馴染ませる。次にひき肉を入れて粘り気が出るまで、手で混ぜる。」


まずアドルフが手本を見せる。


「うん」

「さらにこの中に卵を入れて混ぜる。ここまでやってみよう」

「わかったわ!」


エーリカがボウルにパン粉を大量に入れ牛乳をぶち込みぐちゃぐちゃにして、ひき肉を叩き込み混ぜ始めた。


「…………」


一生懸命やってるけどこれは………ひどい……!

アドルフはそう思いながらもエーリカを見守ることにした。


「次は卵を入れて……」


ボウルに卵を入れ混ぜ始めた。


「アドルフ、次は何すればいいの?」

「次はみじん切りにした玉ねぎをその中に入れてしっかり混ぜる。」

「それだけ?」

「それだけ。だけどこの混ぜる作業はとても大事だからしっかりやってね」

「わかったわ!」


それから数分、エーリカは混ぜ続け、それを見守るアドルフであった。



それからしばらくしてアドルフとエーリカ以外の三人は料理が完成したということでアドルフの家族を迎えるためにウィーン西駅に向かった。



ちょうどそのころウィーン西駅に一組の家族が降り立った。


「母さん、身体は大丈夫?」

「ええ、大丈夫。少し疲れただけよ」

「無理しないでね……」

「大丈夫よ。あの子には心配かけたくないからね……」





「ほらフォルカー!さっさと走れ!」

「そうだぞフォルカー、汽車がもう駅についているんだぞ?」

「二人が…速い…だけ…だよ……!」


前を走っているベネディクトとヤーコブ、その後方80mにいるフォルカーがいる。これはフォルカーが遅いのではなく前の二人が異常に速いだけであって決してフォルカーが遅いのではない!


「見えた!駅だ!」


ベネディクトがこう叫んだ。駅まであと約300m。


「ヤーコブ、どっちが先に駅に付けるか勝負しようぜ!」

「いいだろう、受けて立とう!」


そういって二人はスピードを上げ走り完全にフォルカーを置いてけぼりにした。




「どっちが先に着いた?」

「……同時?」

「引き分けか……」


約300mを30秒足らずで走り抜けた二人は息を整えてアドルフの家族を探そうとしていた、その時!


「ひゅ~……ひゅ~……ひゅ~………」


フォルカーが着いた。


「フォルカー、遅いぞ」

「早くアドルフの母さんたちを探すぞ」

「ま…ま…て……!」

「どうした?早くいくぞ」

「ま……」

「ま……?」

「え……」

「え……?」

「前?前がどうした?」


そう言いながらベネディクトが前を向くと


「あ……いた」


前からこちらに向かってくる一団がおりその中央にアドルフの母、クララ・ヒトラーがおりその右に姉のアンゲラ・ヒトラー、左には長身でやたらと体が逞しい男、アロイス2世・ヒトラー、その後ろに弟のエドムント・ヒトラー、妹のパウラ・ヒトラーが続いた。



「なあヤーコブ、俺、アドルフの母さんと会うの8年ぶりだからさ知らないけど……あんな痩せたの……?」

「いや、俺も四ヶ月ぶりに会うが……あんなに痩せていなかったぞ……?」

「なんだか調子が悪そうだね……」


三人が驚いているのはアドルフの母、クララの変わりぶりだ。つい四ヶ月前までは健康な体で、もともと痩せ形だったとはいえ農作業などもしていたの丈夫な体だったのだが、今のクララの体を見ると異常なほどに痩せ衰え、立って歩くのがやっとといえるぐらい疲弊しているように見えたからだ。


「久しぶりね、ヤーコブ君、フォルカー君。それに随分大きくなったわね~ベネディクト君。昔はあんなに小さかったのに!」

「あれから八年も経ってますから……」


ベネディクトが少し恥ずかしそうに答えていると、ヤーコブがクララに質問をした。


「あの……クララさん、何があったのですか?」

「何がって……ああ、身体のことね?ちょっと風邪をひいちゃっただけよ。大丈夫、もう治ったから」

「風邪……ですか?」

「そう風邪よ」


何だか納得いかないヤーコブであったがベネディクトとフォルカーは……


「何だただの風邪だったのか、良かった~」

「何かの病気に掛かったのかと思いましたよ……」


何の疑いもなく納得した。




「やっとできたね……」

「……そうだね」


その頃アドルフとエーリカはハンバーグを完成させたが……


「焦げてても食べれるよね……?」

「……大丈夫だ、問題ない……と思うぞ?」


 見事に焦げ焦げのハンバーグになった。これは中火でじっくり焼いていたがアドルフがトイレに行っている間にエーリカが『強火の方が早く焼けるかな?』っという感じで強火にして、またアドルフも気づかずにそのまま焼き続けた結果、焦げ焦げハンバーグが完成した。


「母さんたちが来る前に盛り付けとかしておくか……」

「そうね……」


そうして二人はあらかじめ用意していたテーブルに料理を置き出迎えの準備を始めた。




「アドルフは元気?」

「ええ、元気ですよ」

「エーリカちゃんとはどうなの?」

「あんまり進展してませんね……」

「あの子鈍感だから仕方がないわね……」


 ベネディクトはクララたちをアパートに案内をしている間、クララにアドルフに関する質問攻めをされていた。質問の内容はアドルフとエーリカの関係である。

ベネディクトはエーリカがアドルフに好意を寄せていることは知っているが見ていて楽しいからアドルフに一切教えていないし今後も教える気はなかった。

しかしこれだけ質問されたら『教えた方がいいのか?』と思うようになっていた。


「アドルフに教えた方がいいですかね?」

「それはダメよ、ベネディクト君!」


 クララがベネディクトの質問を即答し否定した。

 そしてゆっくりとした口調でこう言った。


「恋っていうはその二人が決めることであって周りがとやかく言っちゃダメなの。教えるのもダメ!わかった?」

「あ、はい……(じゃあ俺に質問するのはなんでだ?)」


 そう考えるベネディクトだった。











年末までにはドイツに行きたいな……

warthunderをまたやってました……

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