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ウィーン編 第13話

エーリカ中心?かな?

1906年 9月



「みんな聞いてくれ。さっき実家から手紙が届いた……ついに来てしまう……母さんが!」

「別に良くね?」

「良くない!こんな不安定な生活をしているのがバレたらどうするんだ!?」

「アドルフ、お前の母ちゃんは分かってくれるって」

「アドルフのお母様は優しいものね」

「そうだよアドルフ君。きっと大丈夫だよ」

「………母さん、怒ったら『コワイ』んだ」

「それはどこの家でも同じだろ」

「……ベネディクト、お前の母さんはどう怒る?」

「俺ん家の母ちゃんは、怒鳴るな」

「……羨ましい」

「羨ましい?」

「オレの母さんは笑顔で静かに怒るんだ……あの目が本当に恐ろしい……だからオヤジも母さんに逆らえなかった……」

「……一体どんな目だったんだ?」

「……例えるなら死んだ魚の目をしているのに狩人の目をしているんだ」

「よくわからないが怖いんだな?」

「ああ……『コワイ』んだ」


覚悟を決めるか……


「ところでヤーコブ、いつまで落ち込んでるんだ?もう二か月も前なんだからいい加減に元気出せ!」

「………俺は殿を刺そうとした(死んだ魚の目)」

「もう気にしてないからね。元気出せ!」

「……俺はとんでもないことした(死んだ魚の目)」

「ホントに気にしてないから!元気出して!ククリナイフあげるからさ~」

「殿、覚悟を決めろ!」

「元気出た!あと覚悟決めてるから!」

「取り合えず色々準備しましょう!」

「……エーリカ、学校は?もう夏休み終わってるよね?」

「お父様に頼んで伸ばしてもらった♪」

「ハインツさーーーん!娘を甘やかさないでくださーーーい!!」


思わず叫んでしまった……本当に親バカだな…あの人は……


『私の天使の頼みなら断るわけにはいかないだろう?アドルフ君♪』


何か聞こえた気がする……気のせいだと信じたい…いや気のせいだ!


「ところで結局来るのはお母さんだけ?」

「いや、母さんにアロイス兄さん、アンゲラ姉さん、弟のエドムントと妹のパウラ……家族全員で来る……」

「いつ来るの?」

「二週間後……」

「それじゃあ準備を急ぎましょ!」

「さっきから準備って言ってるけどなんの準備するの?」

「バカね~フォルカーは……パーティーに決まってるんじゃない!」


フォルカーいじけるな、床にのの字を書きながらいじけるな……


「アドルフはなんにも心配しなくて良いからね♪アタシが全部やってあげるから♪」

「ごめん…むしろ心配しかないんだが……」

「安心して!シェーンブルン宮殿でやるから!」

「なにハプスブルク家の宮殿で庶民のパーティやろうとしてんだよ!?」

「お父様が何とかしてくれるわ!」


『エーリカ……流石にそれはムリがあるよ……』


ハインツさん……よく言った!


「とりあえず場所は後で決めて、何をやる?」

「ん~料理を作って振る舞うとかはどうかな?」


なるほど料理か……面白そうだな!あとフォルカー復活したんだ


「………」

「エーリカどうした?急に黙り込んで?」

「……い、いやなんでもないわよ?」

「そうか?ならいいや。よし、パーティの内容は料理を振る舞うでいいか!?」

『異議なし!』

「だ、大丈夫よ……」

「よし各自で作る料理を決めてくれ。オレはハンブルクステーキを作る!」

「じゃあ僕はアイントプフを作ろうかな」

「なら俺はシュニッツェルを作ってやる!」

「俺はカルトッフェルプッファーを作ろう」

「エーリカはなに作るんだ?」

「えっ!?ああ、え~と……ま、まだ決めてないわ……」

「そっか。まだ時間あるしゆっくり決めるといいよ」

「う、うん……」




エーリカが泊まっているホテルの部屋


「ミーナどうしよう!?」

「どうしたんですかお嬢様?帰ってくるなりいきなり大声をあげて?」

「あのね!二週間後にアドルフの家族が来るの!それでみんなで料理を作ることになったの!」

「それで私はどうすればいいのですか?」

「アタシに料理を教えて!」


そうするとミーナは苦笑いをしながら……


「お嬢様、私はメイドであって料理人ではありません。それに私も料理はできません」

「…そ…そんな……」

「お嬢様、貴族のご令嬢が料理をすることは普通ありません。そんなに落ち込まなくて良いんですよ?」

「でも……できないとアドルフになんて言われるか………」

「あの方はそんな人ではないと思いますよ」

「そうかな……?」

「明日、本人に聞いてみれば良いのでは?『料理の仕方を教えてください』っと」

「………わかったわ、やってみる!」




パーティまであと13日


なんだか緊張してきたわ……ただアドルフに『料理の仕方を教えて』って言うだけなのに……


「ア、アドルフ……」

「エーリカ、おはよう!」

「おはよう……」


なんか元気ないな、今日のエーリカ……顔赤いな……まさか!?風邪か!?


「ねえ……アドルフ?」

「エーリカ……お前もしかして……」

「な、なに?」

「風邪か?」

「……えっ?」

「今日は元気ないし顔も赤いし……」

「ち、ち、違うわよ!」

「じゃあどこか悪いのか!?」

「悪くなーーーーい!!」


走って行っちゃった……どうしたんだエーリカ?





パーティまで12日


今日こそアドルフに言うわよ……大丈夫よエーリカあなたにならできるわ!


「あっ。エーリカだ。あんなところで何してるんだ?しかも後ろ向いて……」


大丈夫、ただ『料理の仕方を教えて』って言えばいいのよ!


「おーい!エーリカ、そんなところで何してるんだ?」


集中するのよ……たかが13文字言えばいいのよ……


「聞こえてないのかな?近づいてみよう」


深呼吸して~落ち着いて~……よし!言うわよ!


「真後ろに立ってみたがまったく気が付いてないみたいだな……エーリカ聞こえ「アドルフッ!!」なに?」

「えっ……?」

「おはよう、エーリカ」


あれ?エーリカの顔が茹ダコみたくなったぞ?やっぱり風邪か?でも違うって言ってたし……


「アドルフ……いつから……そこに居たの?」

「いつから?ん~5分ほど前から」


なんかエーリカが『プルプルプルッ……!」みたいな感じに震えだしたぞ……!


「い……いやーーーーーー!!」

「ホゲッ!?」


な……なぜ…アッパーされたんだ……?しかもエーリカまた走って行っちゃった……





そしてそれから少し時がたった………





パーティーまであと1日!!



「今日こそ……いえ、今日しか言うチャンスはない……!!」


あれから何度もアドルフに言おうとしたわ……その度に邪魔が入る!ベネディクトがいきなり現れたり、ヤーコブとずっと話をしていて声をかけれなかったり、フォルカーが………何かしてたかしら……?

とにかく今日こそアドルフに『料理を教えて』って聞くのよ!


「エーリカ、おはよう」


来た!邪魔者は……よし!居ないわね!


「ア、アドルフ……おはよう!」

「今日は元気なんだな」

「い、いつも元気よ!」

「そうか…?ならいいんだけど……」

「そうよ!元気よ!」


ここまでは順調……問題はここからよ……!


「そういえばエーリカ」

「な、なに?」

「料理…決まった?」

「……えっ?」

「明日の料理、決まった?」


えっ…………あっちから聞いてきた……どうしよう!?それとなくバレないように聞こうとしてたのに一体どうしたらいいの!?



『エーリカ、素直に聞いてみなさい……』


お父様!?


『彼ならきっと教えてくれるよ……』


でも……!


『信じるんだ……彼を!』


………分かりました!お父様!



「アドルフ!あのね!実はアタシ……」

「うん?どした?」

「料理をね……」

「料理がどしたの?」

「作ったことが無いのッ!!だからね!アドルフに教えてほしいのッ!!」


い……言えた……言えた!!でも断られたらどうしよう……嫌われないかな……


「いいよ?」

「………えっ?」

「オレもあんまり作れないからオレと同じ料理でいい?」

「う…うん」

「じゃあ買い物に行くか!ちょっと用意してくるから待ってて」

「わ、わかったわ…」



アタシの努力は一体なんだったんだろう………?あれ?アドルフと一緒に買い物に行く……つまり……デートになるのかなぁ?いやデートにしよう!


「エーリカ、お待たせ!」

「全然待ってないわよアドル……フ?」


振り向いてみたらそこに居たのは……


「よっしゃあ!肉買うぞ!」

「新鮮な野菜あるかな?」

「ジャガイモは何個ぐらい必要だろうか……」


いつものメンバーが居た!


「エーリカ、行くぞ~!」


なんでいつも邪魔されるんだろう………?


「エーリカ、早くしろ~置いてくぞ~?」

「今行くわよ!」



でも……


「きっとチャンスは来るわ!その時まで我慢よ!」




新たに何かを決意するエーリカの姿があった

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