ウィーン編 第10話
二日前から一人暮らしが始まりました。
「ねぇ~アドルフ。みんなでどこに住んでるの?」
「シュトゥンペル街に住んでる。まぁ~凄い所に住んでるな………」
「どんな所が凄いの?」
「それは見れば分かるよ」
そんな他愛のない話をしながらオレたちの住まいに向かっていたら……
「エーリカ……あれって……」
「何やってんのよ……」
「班長……」
オレたちが眼にした光景は……!
「もらったぁぁぁぁあ!!!」
「甘いっ!」
「ちぃっ!これならどうだぁぁあ!!!」
「まだまだ!」
メイド服を着た女性……つまりミーナさんとオレの幼馴染みの男……ベネディクトが何故か路上の真ん中で死闘を演じていた!!
………何やってんだよぉぉぉぉお!!!!
「何やってんのよ!ミーナ!そんな奴さっさと倒しなさい!!」
「ベネディクト!止めろ!今すぐ止めろ!戦闘を中止しろ!!」
―数分後―
「……何で戦っていたんだ?ベネディクト?」
「………」
「ベネディクトお前の家賃払ってやってるの誰だ?」
「……アドルフです」
「理由を言わないと家賃払ってやらないぞ」
「あっちがしかけてきたんだよ!俺は悪くない!」
「本当かぁ……?」
「本当だ!……ただあの人と目が合ったんだ。まるで狩人のような目だった……だから少し警戒していたらいきなり襲って来たんだ」
「ミーナ、何であの人を襲ったの?」
「私の勘が彼は危険だと感じたからです。」
「……危険?」
「はい、彼からはその……そう森にいる狼のような感じかしたのです。そこで私は危険と判断して排除しようとしました。」
「なるほど……」
「エーリカ、ミーナさんは何て言っていた?」
「危険な感じがしたから排除しようとしたって。そっちはどう?」
「似たような感じだな。目が合って警戒したら襲ってきた、だそうだ。」
「……本当、似ているわね……」
「……そうだな……」
……とりあえず家に向かうか
ミーナさんとベネディクトがお互いを警戒しあい近づけないので少し距離をあけて歩くことになった。
「そう言えばアドルフ」
「なんだベネディクト?」
「あの子……誰?」
「……エーリカの事か?」
「そうなのか?」
「そうなんだ……少し待ってろ呼んでくる」
オレはエーリカの下へ向かった。
「エーリカ、お前をベネディクトに紹介したいから来てくれないか?」
「いいけど……ミーナ行ってきていい?」
「……アドルフ様、お嬢様のことをお願いします。」
「そんなに警戒しなくても……」
「いいえ、彼は危険ですから」
「ハァ……」
「ベネディクト、連れてきたぞ~」
「この子がエーリカって子か……」
「エーリカ・フォン・ハイゼンベルクよ!よろしく!」
「俺はベネディクト・アーノルトだ、こちらこそよろしく!」
「あなたはアドルフの幼馴染みなのよね?」
「そうだけど?」
「昔のアドルフの事を教えて!」
「いいぞ~」
「ありがとう!」
仲良さそうだな……これでミーナさんも安心だろう。と思ってミーナさんのいる方を向いたら……
「(怒)」
めっさ怒っとる!?仲良くなったじゃないですか!そんなに怒らないでくだないよ!
「エーリカってさ……」
「何ベネディクト?」
「アドルフの彼女なのか?」
「………………えっ?」
ベネディクトは何いっとるんじゃあぁぁぁあ!?
「そっ……そうよ!アタシがア、アアアアドルフのかっかのっ彼女よ!(顔真っ赤)」
お前も何いっとるんじゃあぁぁぁあ!!
「ベネディクト!付き合ってないから!付き合ってないから!オレとエーリカ、付き合ってないから!!」
「アドルフ……恥ずかしいだけだろww」
「死ねぇぇぇぇぇエエエえ!!!」
「ゴフッ!?」
おもいっきりぶん殴ってやったぜ!
「アドルフ……アタシのこと嫌いなの?」
泣き目になるなぁぁぁあ!
「嫌いじゃないから!むしろ好きだからな!」
「………本当?」
「本当だって!オレはお前に嘘ついたことあるか?」
「……無い」
「そうだろ!オレのこと信じてくれ!」
「……アタシは彼女じゃないの?」
「えぇと………その……」
どうすれば良いんだ!?この状況!?前世でこんな経験無いよ!?とっとりあえず切り抜けねば……!
「まっまださエーリカは12歳じゃない、若すぎるからさ……オレは若すぎるのよくないと思うのよ……だからエーリカが大きくなったら考えるから……!」
「大きくなったらっていつ?」
「……18歳ぐらいかなぁ……」
「………アドルフがそこまで言うのなら我慢してあげるわ!」
「ありがとう!エーリカ!」
「アドルフがびっくりするほどの美少女になってやるんだから!」
あれっ?ナニカノフラグが立った気がするのはナゼだろう?
今日が大学の入学式です




