表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/11

3. 夢は魔法薬剤師

シスコンスーパー過保護エバンお兄様(なんか名前が長くなっている)に甘やかされたけど、何せ中身は35歳だった私。性格を歪ませることも無く9歳になり、精神年齢はアラフォー。常に空気が読める、自称謙虚な少女になりました。


私はもともと植物についての研究を大学でしていたので、魔法薬草についてはとても興味があり、毎日のように畑に繰り出しては、魔法薬草畑を管理してる庭師に質問しまくっていた。

お兄様がまた蜂に刺されては大変と防護服を着せようと追っかけてくるのは面倒だったけど。お兄様はお勉強の時間では?


そして8歳になる頃には私は自分の特殊能力に気がついた。


魔法薬草を見ると、ステータス画面に薬草の名前、効能、その薬草個体のレベルが書かれているのが見える。


緑の眼を持ち、ある程度の魔力持ちはこのステータス画面が見えるが、最後の薬草個体レベルまで見えるのは私だけらしい。


こちらの世界では緑の眼を持つものがお医者か薬剤師になる。病気になったり、怪我をした時はお医者さんにその病気や怪我のレベルをチェックしてもらう。そしてそれに合わせた魔法薬を薬剤師に調合してもらうのだ。病気のレベルをチェックするには薬剤師でもできるが、高いレベルの魔力が必要とされるので、大抵診察と調薬は分業になっている。そしてこの世界には治癒魔法は存在しない。なので魔法薬がとても重要なアイテムなのだ。


例えば、胃痛レベル5となっていたら、胃痛に効く魔法薬草を使うのだけど、胃痛に効く薬草の平均レベルは大体2だ。なので薬草の葉を2.5枚飲ませれば。

レベル2 x 2.5でレベル5の病気に対応できる。


ただ魔法薬草の個体レベルは一般には見えない。大昔にいた、大魔法薬剤師が書いた本を見て、使いたい魔法薬草の平均レベルを調べ、それを元に魔法薬を作っている。なので足りない時もあるし、やや多すぎる事もある。レベル2の薬草は、レベル1-3の間のどれかということになる。

少ない場合は病気に効かないし、多すぎると苦くなる。塗り薬にして、外傷にも使うことができるが、レベルが違いすぎるとと無茶苦茶痛い。ぴったりのレベルだと反対に甘くなるし、傷口もマッサージをされている様に気持ちよくなる。

ぴったりのレベルの薬を用意することはかなり難しく、魔法薬は苦い。痛いと一般的に思われている。

まさに良薬口に苦し。


ちなみに私が蜂に刺された時のレベルは80だったらしい。レベル80-100は瀕死レベルなのでかなり危なかった。100を超えるともう薬は効かない。

レベルが高くなるにつれて使える薬草は希少になり、レベルのブレ幅も大きくなる。そして調薬に魔力もかなり注がないといけない。

命に関わると判断した両親は領地から持ってきた希少な万能薬に使える薬草を父の上司である筆頭魔法薬剤師様に渡して薬を作ってもらった。この薬草でできる薬はレベルが50-100の間で、多い方が少ないより良いとその薬を2錠飲まされたのだが、どうやら1錠でも十分な量だったらしい。


道理で起きた時に口の中が痺れていたわけだわ。意識なかったからいいけど、起きてたら絶対飲み込めなかったな。


魔法薬は使われる魔法薬草を細かく切って、魔力を注入すると錠剤になる。それを水と飲ませればいいだけだ。


ちなみに意識のない私にお兄様が水を口移しで飲ませようとしたのを両親が止めようとして揉めた為、赤毛のメイドが薬のみ器を使って薬を口から流してくれるまで余計に時間がかかり、無駄に苦さが増して舌が痺れた。


病気の症状がない人が薬を飲んでも苦くも無く、味もしない。同様に、薬のレベルが低くても味がしないので、追加の薬を飲む時はロシアンルーレット並みのドキドキ感がある。


10歳のお兄様が妹に口移しで薬を飲ませる。それは微笑ましいエピソードではなく、トラウマレベルの思い出になる所だった。


そんな将来が心配なエバンお兄様。私にとってはいい実験台(モルモット)


この特性(苦い、痛い)を持つ魔法薬はあまり人気はない。苦くなってもちゃんと効くように多めに処方されるからだ。特に子供は泣き叫ぶレベルで嫌がる。


しかし、私にとってお兄様が風邪を引いた時はチャンスだ。

お兄様が心配だからとベットの横から動かず、お医者様の診療中にカルテを盗み見て、自分で薬草畑からぴったりのレベルの薬草を摘んできて、自分で魔法薬を作るのだ。


お兄様は私が差し出した物は躊躇なく食べる。なので両親は必須で止めようとしたが。レベルとピッタリな薬なので甘くできているし、泣くこともなく、風邪も治ってご機嫌なお兄様を見て、初めは疑っていた両親や使用人達もそのうち風邪を引くと私に薬を作るように頼んでくるようになってきた。お兄様はそれで私をますます溺愛する。


お父様にも

「将来は王宮で魔法薬剤師になれるかもね」と言ってもらえて、それが将来の夢になった。早く(精神年齢に見合う)大人になりたいな。

エバンお兄様がここら辺から暴走し始めました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ