2. アリシア・ガーディナー伯爵令嬢
魔法ってやっぱり憧れだな。
どうやら私は伯爵令嬢であったらしい。
伯爵って。。侯爵の下だっけ?
そして憧れのブロンドヘアに緑の眼。いいじゃない。
歳は5歳。まさかの30歳も若返ってしまった。
どうやら庭を散歩中に蜂に刺されて、アレルギーのショックを起こし、死にかけたところ、奇跡の復活を遂げて目を覚ましたが、記憶が無くなってしまったという事になっている。
5歳ならまだ、教育やり直しできるし、前世の記憶のおかげで計算とかは得意だしね。
この国の言葉は前世でいう英語に近い、海外留学経験もある私には、読み書きも問題なしだし、日本語で話しているのに通じてるから会話も大丈夫そう。
途中で神様や女神様には会わなかったけど、チート能力ありがとう。
そして。。。なんて言ったって、この世界には魔法がある。
憧れの魔法!!
目の色によりどの魔法が使えるかわかるらしく。
私の家系は緑の眼なので、薬草、医療に関する魔法に長けている。残念ながら治癒魔法は使えない。
黒髪、緑の眼を持つお父様のウイリアム・ガーディナー伯爵。ガーディナー伯爵家は魔法薬に必要な魔法薬草の栽培を代々領地でおこない、そしていわゆる万能薬と言われる薬の材料になる希少な薬草も育てている。お父様は領地の管理は領地の管理人に任せ、王宮で筆頭魔法薬師の補佐官として働いている。
お母様のヘレン・ガーディナー伯爵夫人は金髪で水色の眼を持ち、水の魔法を使う。栽培している薬草に水やりできていいから結婚したのかと思えば、どうやら貴族には珍しく恋愛結婚だった。お母様はガーディナー伯爵領の隣にあるアクア伯爵領の次女で、父とは幼馴染だったらしい。
そして私には恐ろしいほどにシスコンの5歳上のお兄様がいる。前世の兄は歳が近かったせいか、喧嘩ばかりしていたので、ここまで構われるとちょっと戸惑ってしまう。
父譲りの黒髪に、母譲りの水色の眼をした美形の兄、エバン・ガーディナー(10歳)は私が蜂に刺されて意識を失ったと知ると、私の看病の為にベットの側から離れず、不眠不休で食事もしなかった為に部屋から引きずり出された間に、私が目を覚ました様だ。
「はい、あーーん。アリシア、口開けて?お兄様がご飯を食べさせてあげるよ」
見た目には兄が妹の世話を甲斐甲斐しくして、とても微笑ましく見えるが。
しかし、こちとら中身は35歳。なんか申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
エバンお兄様は私の記憶に残っていなかった事に大変ショックを受けていたが、これ以上忘れられてはいけないと、それこそトイレやお風呂以外は私にべったりだ。そして昔の思い出話をしてくれるので、色々状況がわかってきた。
この国はアルピナ王国といい、海に囲まれた島国である。
それを聞いた時に、日本みたいでシーフードには困らないなとちょっと安心した。
異世界でご飯が不味くてって話よくあるものね。
今は病人食でお粥のようなものを食べている。日本米ではないけどリゾットのような物があるらしく、基本的には洋食に近いがなんの問題もない。
生活に必要なものも、魔道具のおかげで現代とほぼ変わりがない。
唯一ないのがTVやスマホなど。TVっ子でスマホ中毒だった私にはきついと思われたが、本を載せると画像を映し出す魔道具があり、まさかの立体映像を楽しめて楽しすぎる。
可愛い女の子に若返り、生活にも不自由がない、かっこよくて、優しいお兄様もいる。こんな大当たりの転生生活。
あとは私の事をヤンデレ並みに愛してくれる人が出てきたらもう最高。
その為には、私の立ち位置がモブなのか、悪女なのか、当て馬なのか調べる必要がある。
私はいわゆる乙女ゲームはした事がないが、小説ならもう何百冊も読みまくった。
しかし反対にそれはどの話だったか特定しにくいと言う事でもある。
ややヤンデレ系シスコンお兄様が気になるが、我儘、傲慢にならないように、社交術を身につけて生きていけば、処刑とか追放エンドにはならないだろうと思いつつ、お兄様が差し出してくるお粥を頬張るのでした。




