図書委員の俺と先輩、のち彼女。
『2人はきっと。』を書かせてもらいました、伊倉です。
初めて短編というものを書いてみました。
駄文ですが、楽しんでいただければ幸いです。
「げっ、ま、まじかよっ!」
高校2年の新学期、始まって間もないある日の6時間目。
教室に響くのは、俺、真田翔の悲鳴にも似た叫び声とそれを冷やかす周りの声のみ。
そう、only。
理由は簡単。
今年、俺が所属する委員会が、あみだくじで『図書委員会』になったから。
別に俺は本を好んで読むわけじゃないし、図書室なんていったことあるのも数えるくらいしかない。
しかも、聞いた話によると、図書委員は毎週1回の当番の日は下校の時間ギリギリまで仕事をするらしいのだ。
去年やった友達曰く、『2度とやろうとは思わない』。
クラスでもこの委員は敬遠されるランキングトップ3には余裕で入るくらいだ。
そんな、貧乏くじ委員に、俺がなっちまうなんて…
俺を励ます友達の声さえも耳に入ってないくらい、落胆した俺はそのまま机に突っ伏した。
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俺が通っている学校について少し話をしよう。
俺の学校は、大学が併設されている共学の私立中高一貫だ。
ちなみに中学受験をして、俺はこの学校に入った。
大学が併設されているということはつまり、高校3年は受験をしないでもある程度の成績を取っていれば大学には進学できるというわけ。
なので高3になってもやりたいことができるというのがここの特色。
そのおかげもあり、サッカー部をはじめとした部活動も全国大会に行くなど、優秀な成績を残している。
…え?俺?あぁ、俺は帰宅部。
うーん、あんまりやりたいスポーツとか無いんだよね。
別にスポーツが苦手というわけではないし、クラスの中では出来るほうだとは自負しているけど、サッカーも野球もテニスも水泳もバスケもどれもしっくりこない。
だからといって、吹奏楽や理科実験部などの文化部にも入ってはいない。
ということで、帰宅部なのだ。帰宅部。Go home部。
しかし、家に帰ったからといって勉強をするわけでもなく、ヲタクの道に走るということも無く、ゲーマーというわけでもなく、とりあえず何もしていないってことだ。
ぼーっとしたり、TVを見たり。
そんな放課後が俺を待っていると思ったのに、なんで図書委員なんかに…
居残りで手伝いがあるんだろ…?
ちょっとブルーになりながら、俺は終礼後に図書室へと向かう。
今日、早速新年度委員の顔合わせがあるのだ。面倒くさいので早く帰りたいのだが。
いやぁ、それにしても久しぶりの図書室だ。目の前の扉を開けるとそこはもう図書室だ。
最後に行ったのは、確か高1の夏だったか…?そう考えると、扉の向こうが異空間のように感じられた。
ちょっと中を覗いてみる。
…まだ、誰もいないようだ。
このまま中に一人で入って、顧問の先生に『あら、真田君は熱心なのね!』とか思われたくないから、他の委員を扉の前で待つことにする。
と思って後ろを向くと、肩まで伸びた栗色の髪をなびかせながら、俺のほうに向かってくる女子生徒が。パッと見はなかなか可愛い。
お、俺になんか用なのか?
と思い一人でドキドキしていると、彼女はさっきの俺と同じように、図書室の中を覗き込んだ。
そして、脇に立っている俺に気づくと、
「あれっ、君も図書委員?」と聞いてきた。
俺は彼女の胸のリボンが赤色だということに気づく。あ、じゃあ高3だな。
余談だが、うちの学校は1~3年ごとに学年カラーというのが決まっていて、制服やジャージなどにその色が少し入る。それで学年を判断するのだ。
ちなみに高2の学年カラーは青。ということで、俺がしているネクタイは薄い青。
「ええ、そうです。」
俺は目の前の彼女が先輩だということを意識し、敬語で答えながら彼女を見る。
ふんわりとした栗色の髪は肩までのばし、俺よりちょっと小さい身長。
パッチリとした目。顔は可愛い感じで、雰囲気はどこかほんわりとしたのを感じさせる。
こりゃ、高3で人気があるだろうな。
その可愛さにちょっとドキドキしながら答える。
「そっか~。私もなんだよ。だけど、図書委員は初めてでね、よく分かんないんだ。」
「そうなんですか?俺も初めてなんですよ。」
そう俺が話すと、彼女は微笑んでこう言った。微笑んだ頬にはえくぼ。
「私、遠藤まい。高3だから、君の1年先輩かな?」
それが、俺と彼女―まい先輩の出会いだった。
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「しょうく~ん、しょうく~ん!」
奥から助けを求めるまい先輩の声がする。
ちなみに何故だか知らないけど、俺は「しょうくん」と呼ばれているのだ。
何故だか。何故だろうね?
そんな疑問ももう抱かないほど呼ばれなれてしまったのか、その呼び名には何も思わなくなった。
「はいはい、何ですか?」
カウンターに整理中だった本をまとめて、まい先輩が待つ奥の部屋へと行く。
新学期が始まって数ヶ月。俺は図書委員の仕事を嫌とは思わなくなった。むしろ、楽しいとも思い始めている。
それは何故か。簡単だ。まい先輩のおかげでもあり、せいでもある。
各々の担当曜日を決めたのだが、俺は偶然にもまい先輩と一緒の日である水曜日になった。
中学生2人、高校生2人で1つの曜日を担当する。
中学生2人は貸し出しや返却の事務作業を行っているので、俺とまい先輩は後ろで返却された本の仕分けを2人でしたりしているのだが…
まい先輩がいつもなにかやらかしてくれるのだ。
「えーっとね、これなんだけど…」
まい先輩はそういって俺にパソコンの画面を見せる。
今日はどうやら、返却された本を返却日付順にチェックするところを順番を無視してやったらしい。
どうしようかしょうくん、そう上目遣いで聞いてこられたら「俺がやりますよ」と言わないわけにはいかない。
「ありがと、しょうくん!」
そして俺が手伝い終わると、まい先輩は決まって俺にそう言うのだ。
ちょっと首をかしげながら、微笑んで。
「いえ。」と、冷静に対応する俺の中には、まい先輩のこの笑顔を喜んでいる俺もいるんだ。
まぁ、まい先輩は美人だし可愛いし、ドキドキするのもしょうがないんだけど。
なんてことを考えながらカウンターにおいてきた整理中の本をいじりはじめると、また声が聞こえた。
「しょうく~ん…」
おや、再び何かやらかしたようだぞ。
今度は消え入るような声。きっと、そこそこヤバいことなんだろう。
では、また助けに行きますか。少し王子様気取りになってたりして。ってなんでだよ、俺。
まぁ、要するに、意外と図書委員が楽しかったりしたのだ。
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いつからだろうか。
俺が、まい先輩を好きになったって言うことに気づいたのは。
思い当たる節がいっぱいありすぎて分かんないほどだ。
もしかしたら、初めて会ったときにひと目ぼれしたのかもしれないし、
ある水曜日の雨の日にまい先輩が『傘、忘れちゃった~』とニコニコしながら俺の傘に入ってきたときかもしれない。
『ありがと、しょうくん!』この言葉をあの笑顔と共に何回か聞いたときに自覚したのかもしれないし、
パソコンの前で睡魔と戦いながら結局敗れて寝てしまったまい先輩の寝顔を覗き込んだときにそう思ったのかもしれない。
「しょうく~ん?」
「は~い、今行きますよ~。」
だけれども、この想いが叶うなんていうのは夢にも思っていない。
まい先輩は俺のことを確実に恋愛対象として見ていないだろう。
そして、耳に入ってきたのだが、どうやらまい先輩はは高3でもかなりの人気があるらしいのだ。
まぁその容姿と雰囲気があれば、人気が出ないほうがおかしいけれども。
それでいて、俺とまい先輩が会うのは基本的に水曜日の週1回のみ。
俺はその日を楽しみにしていたりするけれども、まい先輩は単に『後輩とする図書委員の仕事』程度ぐらいにしか思ってないはずだ。
そう考えると、この時間でさえなんだか虚しく感じてくる。
「…って聞いてる?」
「あ、えっと…」
おっと、まい先輩の話を聞いていなかったようだ。
しかし、自分から『聞いてませんでした』とは言えない。
「むー。聞いてなかったんでしょ?」
「うっ、面目ない…」
むぅ、と頬をふくらまして俺のことを見る先輩。身長差のせいもあり、俺から見ると上目遣いだ。
そんな先輩のダブルコンボをまともにくらって、平然としていられるわけがなく。
俺は真っ赤な顔をしてまい先輩から目をそらした。
「むっ、人がちょっと怒ってるっていうのにっ!」
すると、目をそらされたことが不満だったのか、またちょっと怒り出す先輩。
だけど、怒っているという感じがせず、むしろ可愛い。
そんな先輩に更に顔を赤らめてしまって。
結局、この日は俺のせいかどうか知らないけど、まい先輩は「むぅ。」と、ちょっとご立腹だった。
俺から言わせてもらうと、目をそらしたのは可愛すぎるまい先輩のせいなんだけどね。
帰るときにはまい先輩の機嫌も直ってたから良かった、良かった。
というわけで、どうやら俺は恋をしてしまったようだ。
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ある12月の水曜日のこと。
図書委員の用事で職員室に行き、先生から「頼むよ~」と気軽に渡されたちょっと厚めの本の仕分けリストを恨みながら図書室へと歩いていたときのこと。
左手にした腕時計で、あと3分で集合時間だということを思い出す。
ちょっと歩くスピードを早くして図書室に向かっていると、空き教室から聞きなれた声が聞こえてきた。
「どうしたの?」
まい先輩の声だ。そういえばこの階は高3のフロアだったかもな。
廊下を見渡すと、幸いにも人影は確認できない。
何をするのか気になった俺は、思わず教室の前で立ち止まっていた。
「うん、その…」
中からは違う声。推測するに、まい先輩の同級生だろうか。
「俺、遠藤のことが好きなんだ。付き合ってくれないか?」
一呼吸する間の後、そんな声がはっきり聞こえてきた。
それを聞いた瞬間、俺はこの場から逃げ出したくなった。まい先輩の答えを聞くのが怖かったからだ。
聞いちゃいけない話だった、と自分に言い聞かせて重い右足を前に踏み出そうとした瞬間、今度はまい先輩の声が聞こえてきた。
「気持ちは嬉しいんだけど…ごめんね。私にはもう、『王子様』がいるんだ。」
『王子様』って誰なんだ?
まい先輩にはもう、好きな人がいるってことか?
誰なんだよ、それは?
俺は気づいたら、走り出していた。
なんだか怖い。
図書室に駆け込み、集合時間にギリギリセーフだということを思い出す。
あの台詞は忘れよう。そう思っていつものイスに座り手に持ったリストを眺めるけど、全く頭に入ってこない。
―私にはもう、『王子様』がいるんだ。
いつもと変わらない、まい先輩のあの声。
誰だっていうんだ?
心のどこかにある虚しさを認めたくなくて、俺は再びリストに目をやる。
誰かにまい先輩の心はある、なんていう目の前の事実が怖くて。
その後、なんとか平静を装ってちょっと遅れてきたまい先輩とは接していたけど、俺の心はおだやかじゃない。
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それから月日は経ち、早くも12月の下旬。今日は今年最後の図書室当番。
冬休み中だということが幸いし、ここを利用する生徒はいつもの水曜日の半分もいないだろう。
それに比例して、俺の仕事量も少なくなる。
だけど、ここに来るのが怖かった。
まい先輩と顔をあわせてしまうから。
あの台詞が、俺の頭に残ったまま。ふとしたときにそれを思い出してしまう。
まい先輩が好きな人に見せている笑顔は、普段俺が見ている笑顔とは違うんだろうな…
この日もブルーな感じで1日を図書室で過ごした。
もちろん、心中はまい先輩に気づかれないようにしている。
まい先輩が普段どおり俺に接してくることから、気づいていないだろう。
外は既に暗くなっている。日が沈むのが早い。
図書室はもう閉めて、今は俺とまい先輩で後片付けをしているのだ。
といっても、返却された本を正しい棚に戻して整理するだけのこと。
そんな単純作業にも身が入らない俺は、窓の外の暗闇を眺めて、再び目の前の仕事をやる、という非効率的なループの中。
まい先輩は隣で脚立にのって、高いところの本をしまっている。
「よいしょっと、これが最後だね?」
分厚い本を手に持ったまい先輩が隣でそういうのが聞こえる。
「大丈夫ですか?やりますよ?」
「ううん、大丈夫。しょうくんも後ちょっとだから頑張って!」
まい先輩の笑顔をみて、俺は「はい」と小さく返事を返す。
いつもなら心を奪われるその笑顔も、今の俺に心にはなんとも響かない。
はぁ…
手に持った本を戸棚にしまおうとしたそのとき!
「きゃぁっ!」
まい先輩の悲鳴が!
重い本にバランスを崩したのか、脚立の上から俺のほうに倒れてくるではないか!
「あ、あぶないっ!」
俺は咄嗟に手に持っていた本を後ろに放り投げて、まい先輩の落下地点へ滑り込む。
俺が滑り込んだすぐ後に、まい先輩が倒れてきた。
危なかった…
「はぁ…大丈夫ですか?」
「怖かったよ…」
上半身を起こしふぅ、と息をする俺の上で、まい先輩が顔を俺の胸に押し付ける。
甘い匂いにドキドキしたりして。
「よかった…」
俺がそういうと、まい先輩は顔を上げた。
「ありがとっ。私の『王子様』!」
「いえ…」
普通にそう答えたところで、ある単語が耳に残った。
『王子様』?
最近聞いたことがあるような気がしてならない。
何のこっちゃ、と思ってまい先輩を見ると、見る見るうちに顔が真っ赤になってあわあわしている。
そうだ、思い出した。まい先輩が誰かからの告白を断るときに言っていた言葉だ。
ん、ちょっと待てよ?
まい先輩が好きなのは、いわゆる『王子様』。
で、今、まい先輩は俺のことを『王子様』と呼んだ。
…そ、そうなのか!?
ここまでの思考、約0.1秒。
もう一回まい先輩を見ると、真っ赤な顔を俺の胸にうずめてジタバタしている。
こりゃもう、言うしかないよ。
「まい先輩。」
俺の言葉で、ゆっくりと顔を上げるまい先輩。恥ずかしいからか、俺らの視線があわない。
大丈夫だ、大丈夫。とりあえず自分に言い聞かせる。
だけれども、何が『大丈夫』なのかは、知らない。
「えーっと、好きです。付き合ってくれませんか?」
…言っちまった~っ!
やべぇ~っ!!
まい先輩の気持ちを知ってから言うなんて、ちょっと卑怯かもしれないけど。
「…ずるいよ。」
「え?」
先輩の目が俺を捉える。ちょっと悪戯そうな笑みと共に。
「しょうくん、ずるいよ。このタイミングで言うなんて、さ。」
「あ、それは…」
今度はその悪戯そうな笑みに、俺が視線をはずす。ちょっとバツが悪くなったり。
「でも、私も好きだよ。」
その言葉を聞いて、再び視線を上げる。ちょうど目が合って、俺らははにかむ。
お互いに照れて、次の言葉が出てこない。
「ねぇ、しょうくん。」
この後どうしようか、なんてちょっと現実的になって考えていたらまい先輩にそう呼ばれた。
下げていた顔をあげてまい先輩のほうを見る。
と、気づいた次の瞬間には、目の前にまい先輩の顔が。
え、え?
と一人であたふたしていると、まい先輩の顔は何のためらいも無く近づいてきて、俺の唇を奪う。
上手く表現できないけど、甘い感じ。実は俺、ファーストキスなんだよね。
まい先輩が不意に離れて俺も現実に引き戻される。
「先輩こそ、ずるいじゃないですか。不意打ちなんて。」
「あははっ、ゴメンね。」
そうして俺らはまた見つめあい、キスをする。
目の前のまい先輩を想いながら…
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そして、図書委員だって悪くないな、なんて考えを改めた俺。
理由は言うまでも無い。
「しょうくん、ちょっと~?」
もちろん、俺の彼女であるまい先輩が理由だ。
まい先輩と一緒にいるだけで、俺はなんだかハッピーで最高な気分なのだ。
「しょうくん~?」
そう、こんな可愛らしい声も俺だけが聞いていると思うと踊りだしたくてたまらない。
まだクラスの皆には付き合っていることは秘密だけどね。
「しょ・う・く・~・ん…?」
おおっと、考え事をしていたら俺を呼ぶ声を完全に無視していた。
少し慌てて先輩が仕事をするパソコンの前へ向かうと、ぷっくり頬を膨らましてまい先輩は待っていた。
「遅いぞっ!呼んだらすぐ来なきゃダメじゃないかっ!」
プンプン、と怒るまい先輩。
怒っているようだけど、すんごく可愛い。思わず笑みがこぼれてしまう。
「…むっ、人が怒ってるのに、どうしてしょうくんは笑うのかな…?」
俺の悪戯心、む~くむく。
「何故って、先輩が可愛いからに決まってるじゃないですか。」
「え、えっ!?」
そんなリアクションを見せてくれるまい先輩も、また可愛い。
俺は先輩の耳元に口を近づけて、ささやく。
「そんな先輩、大好きですよ。」
すると先輩の顔は真っ赤に。
きっと、俺の顔も真っ赤なんだろうなぁ。なんだかちょっぴり恥ずかしいから。
「しょ、しょうくんっ!!今はお仕事中だってっ!」
「知ってますって。」
俺はそして、何か言葉を発しようとするまい先輩の唇に自分の唇を重ねる。
「んっ…」
まい先輩の甘い声。2人だけの空間。
唇を離して、「さっ、仕事しますか。」なんて反対を向きながら言ってみる。
今の一連の行為が恥ずかしい事だって、やっと認識。
俺の唇には、甘い匂いが残っている。
「しょうく~ん?やられっぱなしじゃ納得いかないな~?」
そんな声に気を取られ、後ろを振り向いた瞬間に、今度はまい先輩からのキス。
こりゃ、バレたらマズいだろうな。だけどここのドアはバッチリ閉じてあるし鍵もかけたし。
後輩君たちに頑張っといてもらいますか。
そんなことを考えた俺は、キスをしながらまい先輩を強く抱きしめた。
これならずっと、図書委員でいいかも。そんなことが俺の頭をよぎったりもして。
読んでいただいてありがとうございました。
感想やアドバイスありましたら是非お寄せください。よろしくお願いします。