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きまぐれ★プレートテクトニクス 〜太平洋を横断した陸塊「大東島」〜  作者: 扶桑かつみ
引きこもりルート

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328 イデオロギー・エイジ(2)

 ■海軍軍縮会議(2)



 海軍軍縮会議当初、アメリカは国力つまりこの当時はあまり概念として知られていなかった「国民総生産」の高さに応じた軍縮比率を提案する。

 言うまでもないが、日本の軍備を制限するための作戦だった。

 

 しかし、日本はもとよりヨーロッパ諸国からも非常に強い反発を受け、提案を退けざるを得なかった。

 このためアメリカは、多少は分かりやすい粗鋼生産力による比較も持ち出したが、やはり各国から総すかんを食らった。

 どちらの提案も、経済力、生産量に勝るアメリカが極端に有利となる条件だからだ。

 

 次に、既存戦艦全ての総排水量から、これからの各国比率を割り出すべきだと論陣を張った。

 しかしそれだと、グレート・ウォー終了時に100隻近い戦艦、巡洋戦艦を保有していたイギリスが、圧倒的比率を保有できることになる。

 

 このため多数の負担に耐えられないイギリスが、適正な基準とは言えないと逆に反発し、今度も日本や他のヨーロッパ諸国もイギリスの言葉に賛同した。

 そうして、旧式化している前弩級戦艦、装甲巡洋艦は、最初から条約対象外として議論からも除外する事になる。

 こうなると数、排水量の双方で日本がアメリカを上回っていた。

 


 ・1922年初頭時点の保有量

  (準弩級戦艦、同巡洋戦艦以上)


・英/12インチ砲戦艦(準弩級):8

   12インチ砲戦艦:9

   12インチ砲巡洋戦艦:4

   13.5インチ砲戦艦:12

   13.5インチ砲巡洋戦艦:3

   15インチ砲戦艦:10

   15インチ砲巡洋戦艦:3


・日/12インチ砲戦艦(準弩級):4

   12インチ砲巡洋戦艦(準弩級):8

   12インチ砲戦艦:8

   14インチ砲戦艦:4

   14インチ砲巡洋戦艦:8

   16インチ砲高速戦艦:4(+2)


・米/12インチ砲戦艦(準弩級):13

   12インチ砲戦艦:8

   14インチ砲戦艦:11

   16インチ砲戦艦:1



 超弩級艦で比較すると、英:日:米=28:16:12となる。

 しかも日本は、建造中だった《駒城型》戦艦2隻が乗員も乗り組み実質的に完成していると申請していた。

 状態の調査も、各国大使館立ち会いで行われた。

 

 しかしこれを認めると、アメリカはますます劣勢となる。

 そしてイギリスは、グレート・ウォーでの恩義があるので日本に同情的で、アメリカはその点でも不利だった。

 とはいえイギリスの真の意図は、日本とアメリカを対立させてより少ない総量規制を敷く事にあったと言われることが多い。

 

 そして同会議において日本は、現状比率を確認した上で米英と同率を求めた。

 アメリカは強く反対したが、日本は現状数量からの比較で妥当な数字で、尚かつ太平洋各地に多くの植民地や領土を保有するので国防上必要だとして譲らなかった。

 

 そしてイギリスも、日本と同様の理由で一定数の保有数を確保したかった事もあり、日本を強く非難しなかった。

 イギリスの弱腰にアメリカも総量では譲る姿勢を示すも、今度は16インチ砲搭載艦の保有量でねじ込んできた。

 

 日本の対米英同率を認める代わりに、各国間の均衡を保つべく米英も日本と同数の16インチ砲搭載艦の保有を新規建造を含めて認めるというものだった。

 これが通れば、アメリカは建造中の5隻を就役させて日本との戦力比率を埋めることが出来る。

 

 そして日本も、総量で米英同率が認められるなら認めると返答し、イギリスも合意した事から次は総量自体の話し合いとなった。

 ここで日本は自らの望む保有量を満たすため、最低限の数字として100%=55万トンの基準値を求める。

 

 これに対して米英は、自らの新規建造枠を含めて60万トンを求めた。

 またイギリスは、自らは16インチ砲搭載艦は4隻の建造に抑える代わりに、若干の総量超過を求めた。

 


 ・会議終了時の主力艦数

  ※( )は新造艦就役後



・英/13.5インチ砲戦艦:4

   15インチ砲戦艦:10

   15インチ砲巡洋戦艦:3

   (16インチ砲戦艦:+4)


・日/14インチ砲戦艦:4

   14インチ砲巡洋戦艦:8

   16インチ砲高速戦艦:6


・米/12インチ砲戦艦:1

   14インチ砲戦艦:11

   16インチ砲戦艦:1(16インチ砲戦艦:+5)



 この結果、イギリスは数では世界最大だが艦ごとの大きさでは日米に劣ることになる。

 日本は、先に16インチ砲搭載艦を浮かべた為、他国よりも若干旧式艦を保有せざるを得なくなった。

 この事もあって、その後の日本海軍は戦艦の近代改装に熱心となっている。

 

 なお新造艦就役まで、米英は数に応じた既存戦艦の保有を認められているので、瞬間的に日本が世界最大最強の海軍を保有することになった。

 加えて日本は、全体の半数が高速の巡洋戦艦で、さらに新鋭戦艦の全てが高速戦艦だった。

 

 このため低速の戦艦ばかりのアメリカは、日本海軍に対して強い劣等感を感じることになる。

 アメリカは、建造中の2隻の巡洋戦艦を除いて、どれも速度性能で大きく劣っているからだ。

 

 総量以外だと、個艦制限は基準排水量4万トン、主砲16インチ砲が上限とされた。

 さらに改装は就役から5年以内の禁止、それ以後の近代改装でも排水量3000トンまでとされた。

 

 戦艦以外にも航空母艦の保有規制も定められ、13万5000トンを基本として戦艦と同じ比率の保有枠とされ、建造中の戦艦、巡洋戦艦からの改装も認められた。

 それ以外にも重巡洋艦、軽巡洋艦の定義が行われるなど、軍縮規定は多岐に渡った。

 

 そして日本の《駒城》《土佐》、《長門》《摘麦》《陸奥》《征東》、アメリカの《メリーランド》《ウェストヴァージニア》《コロラド》《ワシントン》《コンステレーション》《コンスティテューション》、イギリスの《ネルソン》《ロドネー》《アンソン》《ハウ》の16隻の16インチ砲搭載戦艦を「グレート・サミット」と呼ぶ事になる。

 もしくはやや小型の《コロラド級》4隻を抜いて「マジェスティック12」と呼んだ。

 

 後者の場合、どの戦艦も排水量4万トン、16インチ砲装備、最高速力28ノット以上の高速戦艦だった。

 さらに日本の《駒城型》、アメリカの《コンステレーション級》、イギリスの《フッド》は特例で条約超過となる。

 また日本は未完成2隻(《赤城》《天城》、後に《天城》が《加賀》に変更)、アメリカは《コンステレーション級》の事実上の前クラスとなる《レキシントン級》を条約に従い大型空母として完成させている。


(※《コンステレーション級》は計画では43,200トンだったが、建造初期だった事と条約超過が大きすぎるとして、排水量1500トン分を削減して就役している。

 このため当初予定よりもさらに軽防御構造に設計変更されている。)



 そして海軍軍縮以外でも様々な会議が行われたが、その中で太平洋の安全保障と日英同盟が議題に上った。

 太平洋の安全保障では、太平洋各地の軍備を制限することで軍事的緊張を回避しようと言う、アメリカの提案だった。

 

 しかし、太平洋に面するもそれ以外で領土を持たないアメリカにひどく有利な条件のため、各国、とりわけ北太平洋全域に領土を持つ日本が強く反発した。

 

 日本の国土防衛の抑制が目的なのがあからさまなので、日本はアメリカが西海岸も制限対象に一部含めるのならと、逆に条件を付けた。

 これに対してアメリカは内政干渉に等しいと激高し、日本側も太平洋各地の軍備を制限自体が日本に対する内政干渉だろうと反論した。

 結局この話しは流れ、アメリカと日本の不仲を印象づけるだけに終わった。

 

 一方の日英同盟だが、日本は同盟の存続は特に問題ないという見解を示し、同盟存続に賛成していた。

 しかし世界的にも二国間同盟は問題が発生しやすいと認識されたため、ここに20年間続いた日英同盟は解消される事となった。

 代わりに米英仏日によって「太平洋条約」が結ばれたが、ほとんど実行力のない紳士同盟以下の存在だった。

 

 ちなみに、この会議でどの国が利益を得たのかという議論では、様々な議論が行われた。

 日本が米英同率を得た事、会議時点での総量で負けていたアメリカが同率に持ち込んだ事、建艦競争の体力がないイギリスが日米を押さえ込んだ事、このどれに最大の利益があったのかという議論だ。

 

 議論は専門家の間でいまだ続いているが、やはり白人優位の時勢にあって有色人種国家である日本がトップと肩を並べたことをもって、この時代における勝者と言えるだろう。


 なお日本帝国海軍が所謂「ワシントン体制」で保有した戦艦は以下の通りとなる。



《駒城型》戦艦

同型艦:《駒城》《土佐》(《凍陰》《加賀》)

基準排水量:41,200t

主砲:16インチ2×5・最高速力:29.5ノット

※( )は未完成艦。

 

《長門型》戦艦

同型艦:《長門》《摘麦》《陸奥》《征東》

基準排水量:36,720t・主砲:16インチ2×4

最高速力:27.5ノット


《伊勢型》戦艦

同型艦:《伊勢》《陸南》《日向》《茶茂呂》

基準排水量:32,900t

主砲:14インチ2×6・最高速力:25ノット


《金剛型》巡洋戦艦(戦艦)

同型艦:《金剛》《比叡》《榛名》《霧島》

    《翡翠》《新高》《龍牙》《伊蔵》

基準排水量:26,330t(後期型は26,760t)

主砲:14インチ2×4・最高速力:27.5ノット


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