行商隊
行商人達と大きな町へと向かうノアとナディア。
やはりここでもトラブルが・・・。
レナークの町を出てから広大な草原が続いていた。
「はぁなんだか気持ちいい・・・」と思わず声が出てしまうほどに、何も遮るものがない光景が目の前に広がっていた。
太陽が真上にあるからちょうど昼頃か。いったん馬を休ませるために休憩を取ることになった。
ここには大きな池があり、馬たちが一斉に水を飲み始めた。
枝を集めて火を付けて、石で囲んだ簡単なコンロっぽい物を作り、鍋をかけてナディアがスープを作った。
先に例の硬いパンを齧りながら、スープが出来上がるのを待つ。
何時間も馬車に揺られているのは、正直かなり疲れるものだ。
やっぱり文明が発達しているのは、凄いことなのだなと改めて思った。
「あとどのくらいですか?」行商隊のリーダーに聞いてみた。
「そうだなぁまぁ夜が明けて日が暮れるまでには着くかな?」
――まだそんなにかかるのか・・・。
「次に行く町ってどんな所ですか?」
「ミレスタかい?ミレスタはちょうどバルデックに向かう中継地みたいなところだな」
「中継地?」
「うん、バルデックまではまだまだ先だから、その途中にあるミレスタは食料やらの物資を補充するのにちょうどいい距離にあるんだよ」
「ああ、なるほど・・・」
「それにミレスタは昨日行ったレナークよりも大きな町だから、商業ギルドや冒険者ギルドもあるよ」
「そうなんだ・・・それは楽しみだな」ナディアと目を合わせてお互いに軽く頷いた。
「このスープおいしいね」出来上がったスープをすする。野菜がたっぷりと入っていて、きのこやら鶏 肉などが入っていた。定番のスープと言えばそうなのだが、グレタがよく出してくれていたスープ、それをナディアが作ってくれたものだ。
そうやってまったりしていると、招かれざる客5人組が現れた。
「なんだ?お前ら」とノアが立ち上がり声を掛けた。
「お嬢ちゃん達、ご飯食べているところを悪いがお邪魔するよ。俺らはまぁ盗賊ってやつだ、大人しく 金目の物を出してくれたら何もしないよ」ナイフを持ちながら、ニタニタとした顔をノアに近づけてきた。
商人たちが遠巻きにこちらを見ている。
「お前がこいつらのリーダーか?」と顔を近づけてきた男にノアが聞く。
「そうだよ、それが何か?」ナイフをノアの顔の前でちらつかせながら、ニタニタとしている。
――ああむかつく!・・・このニタついた顔・・・頭を胴体から切り離してやろうか!!
「ナディア」と声を掛け、目で合図を送る。
ナディアはコクリと小さく頷き、馬車の中へと滑り込ませ、素早く弓を手に取った。
「さておじさん達」ノアが言葉を切ると同時に「襲う馬車を間違えたようだね」その言葉とともに、盗賊のリーダーの顔面にストレートパンチがさく裂した。
ゴッ!という音とともに、その場に崩れ落ち完全にダウン。
「・・・えっ?」
驚いた顔をした残りの盗賊たちが、一斉にノアの前に立ちはだかろうとしたが、しかしすでにナディアが弓を構えていたので、思わずたじろいだ。
「こ、このアマぁーーー!!」とノアに掴みかかろうとした男にナディアが弓を放った。
矢は男の足に突き刺さり「わぁーっ」と地面に倒れ込み、のたうち回った
「ナイス!」とナディアに向かって、親指を立てた。
「さて次は誰が相手してくれるの?」と男たちに言い、目に付いた男一人に指をさし「お前来いよ!」 と手のひらを上に向けてクイクイと手招きし、その仕草には明らかな挑発の色があった。
「オ、オレ?」と男はおずおずと自分を指さし、恐る恐る近づいてきて「ク、クソ―!な、舐めるなよー!」と気合だけの叫びとともに、殴り掛かってきたその瞬間ノアは体を捻り、回し蹴りを一閃。男の体が宙を舞い地面に叩きつけられた。
「うわぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」と他の盗賊たちは悲鳴を上げながら一目散に逃げて行った。
商人たちのリーダーが駆け寄って来て「やっぱりあんたらは強いなぁ」と言いノアの肩をバンバンと叩いていたその時、倒れていた盗賊の男が起き上がり「あのぉ・・・すいません・・・」とふらふらしながら近寄ってきた。
「なんだ?もう一発食らいたいのか?」と身構えながらノアが言うと「いえいえいえ違いますっ!」と両手を大きく振りながら言ったかと思うと「これからは姐さんと呼ばせてください!!」と叫びながら深々と頭を下げた。
「はぁ??」その場にいた全員が呆気にとられて、思わず声が出てしまった。
ノアとナディアは笑いを堪えるように顔を見合わせた。あまりにも滑稽だったからだ。
「お願いします!オレ真剣なんです!」と何度も頭を下げている。
無視して再びスープを飲もうと器を手に取ると「もう!冷めてるやんけ!」と思わず関西弁が出た。
その言葉を聞いたナディアが「今のはなに?なんて言ったの?」不思議そうな顔をしている。
「えっ?あぁ・・・前の世界の言葉なの、それも関西弁」
「かんさいべん??」と首を傾げながら言った。
「うん、日本という国の関西地方の言葉なの」そう言いながら、また苦い思いが込み上げてきた。
「あのぉ・・・姐さんがた・・・」申し訳なさそうに盗賊の男がそぉーっと近づいて来て「オレのこと忘れてませんか?」と正座しながら言う。
「あれ、まだ居たの?」興味無さそうに、冷めたスープを飲みながらナディアが言うと、リアナは「さっさとどっか行けよ!ぶっ飛ばすぞ!」と冷たくあしらった。
「ひどい・・・」と言い残し、とぼとぼと歩いて去って行ったのだった。
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