旅立ち
家族を殺され自身も殺されたノア。自身の運命を知り、仲間達と冒険の旅に出る。
翌日小さな市が開かれ、村人達が集まってちょっとしたお祭りのような賑わいになっていた。その時に村長によってノアが町へ出て、冒険者になる事を告げた。
人々は口々に「あれは凄かったなぁ」「あの強さは半端ないぞ」「冒険者になっても必ず成功するさ!」「頑張れよー!」とみんなが言ってくれた。
なんて温かい人達だろうと思った。
次の日行商人が町へと戻る馬車に、ナディアと一緒に便乗させてもらった。
「それじゃあグレタさん、行ってきます!」
「ああ頑張っておいで!」グレタの目元に一筋の涙が零れた。
村の人達に見送られながら町へと旅立ったノアとナディア。
馬車の中から見えなくなるまで、ずっと手を振り続けた。
「町まではどのくらい掛かるの?」
「えっとね、10日ほどかな?」
「10日も?結構遠いのね」
「ゼルフェリア王国はこの大陸の中でも大きな国だし、途中で宿をとるために、いくつかの町にも寄るからね。私らが向かっているバルデックは、この国の中でも王都の次に大きな町なのよ。それにすごく商業が発展していて、手に入らない物が無いくらい凄い所よ」
「なるほど、それじゃあかなりの都会なのかな?」
「すごく大きな町よ」
ナディアの話をワクワクしながら聞いていた。
商業が発展しているって、日本でいう所の大阪みたいな感じか。
王都に次ぐ第2の都市、なんかいいなすごく楽しみだ。
宿を求めて立ち寄った小さな町の酒場で、変な男達のグループに絡まれて、大立ち回りをやらかし一躍有名人になってしまった。
「なんなんだよあいつら!こっちが女二人だけだと思って舐めやがって!」
宿の部屋に入るなり、ナディアの怒りを込めた愚痴が始まった。
おそらく冒険者のパーティーであろう4人組が、ノア達にちょっかいを掛けてきたのが始まりだった。
二人で食事をしている時に「おねえさん♪俺たちと遊ばない?」と声を掛けてきたのだ。
ナディアがやんわりと断ると「ちょっとくらいいいだろ!」とナディアの腕を掴んだ。
「ちょっとやめてよ!」と大きな声で言い、腕を振り払った。
「なんだよこのアマぁ!」と言いながらナディアの髪を掴もうとした時、ノアがその男の腕を掴み捻り上げて「断ってんだから大人しく諦めろよ」と男の耳元で言った。
すると他の仲間たちがノアの前に立ち塞がり「女のくせに生意気だなぁ、黙って付いてくりゃいいんだよ!」と腕を掴もうとしてきたので、その腕を掴んで一本背負いで投げ飛ばした。
「このやろうー!」と別の男が殴り掛かってきたので、その男の顔面に回し蹴りを入れて倒した。
その瞬間周りの客たちから、歓声とともに拍手が沸き起こった。
この様子を見るとこの4人組は、相当嫌われていたのだろう。
ナディアはナディアで残りの一人が動かないように「動いたら頭をぶち抜く!」と弓を向けていたのだ。
拍手と同時に「帰れコール」が起き、慌てて男たちは退散していった。
店の主人が現れ「いやぁありがとう!あいつらには困っていたのだよ」と言う。
聞けばこの町で色々と問題を起こしていたようだ。
どこからか流れてきた冒険者らしいのだが、この町に来てやりたい放題だったらしい。
態度は横柄、若い女性にはちょっかいを掛ける、酒代は払わない等々。
「あいつらはCランク冒険者なんだが、自分たちより強い相手には何もしない。けど、弱そうだとみるやすぐに因縁をつけて金品を巻き上げたりしとるんだ。関わりたくないからみんな見て見ぬふりさ・・・」と主人が苦々しげに言った。
なんというしょうもない連中だとノアは思った。
「なら私がぶっ殺してこようか?頭と胴体を切り離してくるよ」
ノアは真剣な顔で鎌を手に取り、立ち上がりながら言うので、ダメダメダメ!とナディアが必死に止めた。
「あんたそんな可愛い顔して恐ろしいこと言うねえ」と主人が言い「まぁでも、さっきのを見たらあんたならマジでやりかねんけどな」とみんな笑っていた。
「これはお礼だよ」と主人がビールを出してくれた。
翌朝行商人達と顔を合わせた時に「あんたら夕べ大活躍したらしいな」と言われ、何となく恥ずかしくなった。
「さあ出発するぞぉー!」行商人のリーダーが大声を放った。
商人たちの馬車の隊列がレナークの町を出発し、次の目的地ミレスタへと向かった。
ただ次の町ミレスタへは二日ほど掛かる。途中には町も村もないため野宿を余儀なくされる。
ミレスタは地方都市で、第2の都市バルデックへの中継都市として栄えていた。
このゼルフェリア王国は大陸の西側にあり、ノアが転生した際に飛ばされた小さな村ルーヴェルは、フェルザス領の南端にあって、これから向かう領内の中心都市バルデックは、最北にある。つまり南の端から北の端へと向かう領内を縦断する旅だった。バルデックから王都まではさらに5日ほどかかるのだった。
お読みいただきありがとうございます。
村を出て町に向かうノア達。
途中で色々なアクシデントに見舞われながら旅は続く。




