新人三人
前回よりちょっと間があいてしまいました。
新人への訓練を兼ねた魔物退治。
だが、想像よりもはるかに多い魔物の数に・・・。
一匹が動くのを待っていたかのように、それを合図に影が一斉に動き出した。
その一匹がゴルドに狙いを定め、襲い掛かろうとしている。
来い!と言わんばかりに、足を踏ん張り盾を構えた。
狙いを定めたシャドウウルフがゴルド目がけて地面を蹴る。
その瞬間、他のウルフたちも一斉にノア達に襲い掛かる。
「絶対にわたしの前にでるな!」
「はいっ!!」
ゴルドは飛びかかって来たシャドウウルフを盾で叩き落し、よろけたところを剣で刺した。
次から次へと襲い掛かるウルフ。ユウトの剣が唸り、セリナの一撃が血飛沫とともに闇を裂く。
「こいつらいったいどれだけいるんだ!キリがないぞ!」
ユウトが叫びセリナが頷く「まったくだ」と。
後方からはナディアとリズが弓矢を放っているが全く追いつかない。
木の上ではハヤブサの二羽も待機しているが、この森の中では火炎弾は使えない。
ノアは新人三人を連れ、みんなから少し離れた。
戦線から外れたわけではない。
ほんの数歩距離を取っただけだ。
「よく聞いて」
声は低く、落ち着いている。
エリナ、フェリナ、ティリアの三人は、無意識に背筋を伸ばした。
周囲では相変わらずシャドウウルフが襲い掛かって来ていた。
「今からわたしは、助けない」
一瞬三人の表情が固まった。
「えっ・・・?」
ティリアが小さく声を漏らす。
「死にそうになったら別。でもそれ以外は自分たちで考えて、動いて」
ノアは三人を順番に見つめた。
その視線は厳しいが、決して冷たくはない。
「エリナは前に出すぎない、フェリナ、撃つなら迷う前に撃つ。ティリア、詠唱は最後まで通す、途中で止めない」
短いが的確な指示だった。
「シャドウウルフは速い。でも無敵じゃない」
そう言ってノアは一歩下がり、三人の背後に回った。
「さあ来るよ!」
その言葉が合図のように一匹が三人に狙いを定めたように近づいてきた。
エルナが剣を構え、フェリナも弓を構える。
ティリアが詠唱を始めると、狙いを定めていた一匹が低い姿勢のまま地面を蹴った。
「来る!」
エルナは剣を振り上げ、一歩踏み出した。
だが、踏み込みが深すぎた。
シャドウウルフは、その一瞬の隙を見逃さなかった。
体を捻り、刃をかわすと同時に、横から牙を剥いた。
「エルナっ!」
フェリナが叫び、弓を引き絞る。
狙いは悪くなかった。
だが、躊躇が一瞬、ほんの一瞬指を止めさせた。
矢が放たれた時には、すでに遅かった。
シャドウウルフは跳躍し、エルナの脇をすり抜ける。
爪が鎧を掠め、嫌な音が響いた。
「くっ!」
体制を崩したエルナに、別の影が迫る。
二匹目だ。
「ティリア!」
ティリアは必死に杖を握り、詠唱を始めていたが、声が震え魔力が安定しない。
「ま,まにあわ・・・」
その時。
「下がれ!!」
鋭い声と共に、横から一閃が走った。
セリナの剣が、二匹目のシャドウウルフを斬り伏せる。
ほぼ同時にリズが前へ躍り出た。
振り下ろされた一撃が、最初の一匹を地面に叩き落とす。
「前に出すぎ!」
「判断が遅いわよ」
容赦のない声。
だが、その背中は確実に新人たちを守っていた。
エルナは歯を食いしばり、剣を握り直す。
フェリナは唇を噛み、次の矢をつがえた。
ティリアは深く息を吸い、詠唱を最初からやり直す。
―逃げない。
その様子を少し離れた場所からノアは見ていた。
刀にはまだ手を伸ばさない。
「今のちゃんと覚えといて」
低い声が背後から届く。
「生き残るために、何が足りなかったか、自分で考えて」
ゴルド、ユウト、セリナは剣で斬りまくり、そしてナディアとアイナは木の上から弓を放ち、魔法使いのフィオナとエリナの二人は後方から雷撃魔法を撃ちまくり、ほぼシャドウウルフを片付けていた。
だがまだ油断はできない。
新たな影の気配が漂っていた。
「何か来る!」
ゴルドが呟いた。
全員に緊張が走る。
遠くから、ドスンドスンと地響きが聞こえてきた。
お読みいただきありがとうございます。




