王都の街
食堂で軽く朝食を済ませ、みんなでギルドに向かった。
「姐さん、昨日はノリノリだったっすね」ウキがニコニコしながら聞いている。
「ついつい前の世界のこと思い出しちゃって・・・ちょっと調子に乗ってた?」
「ちょっとどころじゃないでしょ!いきなり訳の分からない事喋り出すし」
ナディアが少し呆れながら言った。
「そうなんだよね・・・前の世界で配信してたのよ」
「その配信って何なんすか?」ウキが不思議そうに聞いた。
「ん?ネット配信だよ。私、旅行系のyou tuberだったのよ」
「ねっとはいしん?ゆーちゅーばぁ?・・・なにそれ?」
みんなが声を揃えて言った。
「エリナ以外はわからないよね、説明してもわからないでしょ?そもそもこっちの世界には存在しないものだし」
エリナは嬉しそうに、うんうんと頷いている。
「まぁ確かにそうよね・・・説明されてもちんぷんかんぷんだろうし」
「そうだな、そのうち前の世界の事、色々聞かせて欲しい」
ゴルドがまじめな顔で言った。
「まぁそのうちね」
そうこうしているうちに、ギルドから案内役の女性職員がやって来た。
「本日、王都をご案内させていただきますので、よろしくお願いします」
なんとも綺麗な女性だった。例によってウキがそわそわし始めた。
そんなウキの横でノアが「よっしゃあ!観光だぁ~!」と声を上げた。
「頭が痛いって言ってたの誰だったっけ」とナディアがぼそりと突っ込む。
石畳の大通りは整然としていて、人々の衣服もどこか上品だ。
「うわぁ・・・バルデックとは全然ちがうなぁ」
ノアが感嘆の声を漏らす。
ナディアも「ほんとね、落ち着いてる感じ」と呟く。
ウキは高級菓子に目を奪われ「めっちゃうまそうっす!」と騒ぎ、
「財布の中身考えなさいよ!」とナディアに怒られる。
市場では豪奢な装飾品や異国の香辛料が並び、王都ならではの上品さに、ノアは目を輝かせる。
「キラキラしてるなぁ・・・」
やがて一行は広場へ。中央の噴水は大理石で造られ、透き通る水が陽光を反射して煌めいていた。その周りで吟遊詩人が竪琴を奏で、子供たちがその旋律に合わせて踊っている。
「・・・夢みたい」エリナがポツリと呟き、ノアも「なんか舞踏会みたいやな」と笑った。
「バルデックは活気あるけど、こっちは見栄重視だな」ノアは感心しながら指で宝石をつつき、ナディアに「壊すな!」と慌てて止められる。
途中、王都議会の建物の前を通りかかる、
重厚な門の前では役人たちが出入りし、厳めしい兵士が目を光らせていた。
「ここが政治の中心です」と案内役が説明すると「なるほど・・・」とナディアが腕を組んで頷いていた。
案内役に導かれ、石段を登っていく
着いたのは王都でも有名な高台。鐘楼を備えた大きな建物の上から、街全体を見渡せる場所だった。
「うわぁ・・・!」
ノアの口から感嘆の声が漏れる。
眼下には白い石畳の大通りが真っすぐに伸び、整然と並ぶ建物の屋根が、夕陽に照らされて輝いていた。
遠くには王城の尖塔そびえ、その向こうには豊かな森と大河に広がっている。
「宝石箱みたい・・・」ナディアが呟く。
エリナは風に揺れる髪を抑えながら「ほんと綺麗・・・」と目を細めた。
ノアは柵に手を置き、しばらく町を見下ろした。
「この街のネコさんを守るのが私らの役目なんだろうね」
その言葉に全員が「何言ってるんだこいつ?」という顔をしていた。
高台から降りてきたノア達一行は、大通りを抜け騎士団訓練場に案内された。
王都の訓練場では、騎士たちが剣を交え威勢のいい掛け声が響いていた。
案内役の職員が説明する。
「こちらが王都直属の騎士団です。日々このように鍛錬に励んでいます」
練習の様子をじっと見つめるノア達。
そんな時、若い騎士が「観光客か?」「いや、バルデックの領主の客人だ」「ということは例の冒険者か?」「そうだな」「へぇ~あんな女の子が・・・、おもしろい・・・」などと言いながらノアに近づいてきた。
「嬢ちゃん!俺と手合わせでもどうだ?」と声を掛けてきた。
「おいやめとけ!」と別の騎士に止められるが「いいって、まぁ見とけ」とノアに木剣を手渡す。




