ネコさん探しのあと・・・。
次の日の朝、ギルドにやって来たブレイズリンクのメンバー達。
掲示板に貼られた依頼表を見て、ノアが指差した。
「またネコ探しだ・・・」
「姐さん、最近そればっかりっすよ・・・」
とウキが頭を抱える。
「いいじゃない、困ってる人を助けるのが冒険者でしょ」
ノアは胸を張り、堂々とした顔で言い切った。
「今回の依頼人は・・・パン屋の婆ちゃんだな。愛猫のミルがいなくなったらしい」
ゴルドが依頼票を覗き込む。
「パン屋かぁ~♪依頼達成したらパンを山ほどくれないかなぁ」
ナディアが目を輝かせた。
「ナディア、動機が不純よ」エリナが呆れながら肩を竦める。
「じゃあパン屋のおばあさんに話を聞きに行こう!」
「ミルはねぇ、こないだ裏口からスルリと抜け出してから戻ってこないのよ」
粉まみれのエプロンをしたおばあさんが心配そうに言った。
「パンの匂いに釣られて、どこかに入り込んでるかもしれんな」
ゴルドが腕を組む。
「よし!じゃあまずは近所から聞き込み開始だ!」
ノアが気合を入れる。
しかし、調査を進めるうちに問題が浮かび上がった。どうやらミルは気まぐれで有名なネコで、あちらこちらの店を巡っては餌をもらい、好き勝手に過ごしていたらしい。
「姐さん…このネコ、完全に自由人・・・いや自由ネコっすね」
「うぅ…確かにどこ探しても痕跡がない・・・」
その時、エリナがひょいと小さな足跡を見つけた。
「見て粉の跡・・・小麦粉よ」
その跡を追っていくと、なんとパン屋の向かいにある魚屋の屋根の上で、優雅に毛づくろいをしているミルを発見。
「いたぁーーっ!!」
「でもどうやって降ろす?」
ウキが木に登って屋根に移ろうとしたが、ネコはヒョイとかわし、さらに高い位置へ。
「こりゃ埒が明かんな・・・」
その時、ノアがヒョイと屋根の上に飛び乗った。
「こらっ、いい加減帰るんだよ!」
目を丸くしたミルは「にゃっ」と鳴いて、あっさりノアの腕の中に納まった。
「さすが姐さん…ネコまで従えるとは・・・」
「えっへん!」ノアは胸を張る。
依頼は無事達成し、帰りにはパンを山ほど抱えてギルドに戻った。
その日の夕暮れ。
「なぁ・・・そろそろ本気で戦闘依頼も受けたいんだが・・・」
ゴルドがぼそりと呟く。
「えっ?ネコさん探し楽しいじゃん」
ノアがパンを頬張りながら笑う。
「・・・」メンバー全員、頭を抱えた。
パンを抱えながら歩いていたその時だった。
「よう、お楽しみのところ悪いな」
前方に立ち塞がったのは、以前ギルドでノアに叩きのめされた元トップの冒険者三人組。
その後ろには粗野な雰囲気を漂わせたチンピラ五人が並んでいた。
「おやおや・・・ネコ探しばっかりしてるって噂の、お嬢ちゃんパーティーじゃねえか」
「はぁ・・・っ雑魚のくせにまだ懲りてないのか・・・」
ノアがやれやれといった顔で言う。
「懲りてないのはお前らだ。俺たちは連邦国様から直々にあの小娘を潰せって頼まれてんだよ!」
リーダーがそう言うと、後ろのチンピラたちが武器を構えた。
「連邦国?どう言うこと?なんで私が狙われるの?」
「知るかよっ!」
その言葉を合図に一斉に襲い掛かる。
「ゴルド!正面任せた!」
「おう!」
ゴルドが大剣を振るい、突っ込んでくるチンピラを一撃で吹き飛ばす。
エリナは後方に回り、魔法の矢を放ち足を止めさせる。
ナディアは矢を連射し、相手の武器を弾き飛ばす。
「ぐあああっ!」
次々に崩れ落ちていくチンピラたち。
三人組の一人が叫びながら剣を振り下ろすが、ノアの日本刀にあっさり受け止められた。
「もう・・・邪魔なんだよ」
ノアの一閃・・・。剣ごと叩き折られ男は吹き飛んで壁に叩きつけられた。
残る二人もノアがパンチや蹴りを入れ、サンドバック状態でボコボコにした。
倒れているリーダーの男の髪の毛を掴み、顔を上げて睨みつけた。
「その連邦国のお前らに依頼した奴に伝えろ!私を怒らすな!と」
そのまま顔面を地面に叩きつけた。
翌日、森の奥深くの所に首を撥ねられた八人の遺体が見つかったと、ギルドで話題になっていた。




