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『NOA: Reincarnated for Revenge(復讐のための転生)』  作者: mikioneko


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26/52

ノア、キレる

「ナディア、何をそんなに悩んでるの?」

「これを買ってしまうと、所持金が・・・0・・・に・・・」

「えっ?もっとあるでしょ?何に使ったの??」


 ノアは驚いた顔をした。なぜ所持金がないのだ?と。

「色々買い物してて・・・」

 その時、ゴツゴツとした革エプロン姿の店主が近づいて来て、その眼差しはナディアではなく、弓に向けられていた。

「その弓はな、星紋の霊弓という伝説級の一張りだ。東の山岳民族が数百年前に編み出した精霊弓術の象徴で、普通の人間には持つことさえ許されん」

「じゃあナディアが触ったら光ったのって・・・」

「認められたってことだ。弓の方から選んだのだ、嬢ちゃんをな」

「えっ!私が・・・?」

 ナディアは驚いてそっと胸元に手をやる。

 心臓がまだドクンドクンと力強く脈打っていた。


「たまにいるのだよ。精霊と相性が合う本物の弓使いがな」

「すごいナディア・・・」

 エリナが小声で呟いた。

「選ばれてる・・・か。そんなこと言われたの初めてなんだけど、悪くないなそれ」

 ナディアは照れくさそうに微笑んだ

 だけどその眼の奥は、いつもよりずっと真剣で、どこか決意を帯びていた。

「ん・・・そこまで言われたら買うしかない!えぇ~い持ってけ!」と、お金が入った巾着袋を差し出した。


 ナディアが大事そうに新しい弓を抱えながら、みんなが武器屋を出ようとしていたところに、セリナ達が入って来て鉢合わせした。

「あれ、ここにいたのか。私たちも見に来たんだよ」

「剣でも買いに来たのか?」

「ああ、新しい剣が欲しくてな。明日調査に行くだろ?それに備えてな。何があるかわからんだろ?」

「私らも何か武器が欲しくてね」リズ達は入ってくるなり店内を探索し始めた。

「じゃあ私らはいくね」


 ウキはナイフをエリナは短剣を買っていた。

 店を出たノア達一行は一旦ギルドに戻ろうとしていた。

「ノアさんは何も買わなくてよかったの?」

「そうなのよね、短剣が欲しかったんだけど・・・ちょっと迷っちゃって、いいのが何本かあって・・・

「買ってくれば?」

「うん、そうしようかな・・・じゃあ買ってくるよ!」

 そういって店に戻って行ったノア。ナディアは荷物を置きに一旦宿に戻って行き、エリナとウキはギルドへと向かった。


 ギルドに到着したエリナとウキは、ちょうどカウンターから出てきたギルド長のココネに呼び止められ、頼みごとをされた。

「ちょっと頼まれてくれない?」

「ハイいいっすよ!」ウキは思わず直立不動になっていた。

「君にはこの依頼書の整理を頼みたい。そして、彼女にはちょっとめんどくさいけど、この帳簿をやって欲しんだよ。今日は人手が足りなくて作業が追い付かないんだ・・・」

「わかりました。あっちのテーブルを使ってもいいですか?」

「ああ構わない、頼んだよ」


 ウキとエリナは一番奥のテーブルに座り、作業を始めた。

「ちょっと飲み物を買って来るっすよ」

「あぁありがと」

 ウキが飲み物を買いにカウンターへと歩いていると、ギルドの扉が開きあるパーティーの一団が入って来た。


 ギルド内にいた冒険者たちが一斉に注目する。

「おい、グランザイルだ」「なぜ今頃?」「嫌われてるけどあいつら強いからなぁ」

 口々に言い合い、ギルド内がざわついた。

 グランザイル、特1級のバルデックギルドの最高ランクパーティーだ。

 実力はあるのだが、なぜか他の冒険者からは嫌われている。

 リーダーのグレン・アルバレスト、魔剣を操る剣士が何かにつけて、人を見下す態度や言い方が嫌われる原因のようだ。


 他に黒魔導士のザハド、アサシンのマリィ、タンクのゴルド、狙撃手のレーネがメンバーだ。

「フン、雑魚どもが・・・」グレンが毒つく。

 カウンターで飲み物を受け取り、トレーに乗せてテーブルに戻ろうとしていたウキ。

 その時、グランザイルのメンバーレーネがウキに足を引っかけた為、盛大に転倒した。

 ドリンクは空中を舞い、床にガシャンと散る。


「おいおいお!なにやってんだよぉー!服が濡れたじゃん」

 笑いが広がる中、ウキは唇を噛みしめて立ち上がる。エリナがすぐに駆け寄り、ドリンクのカップの破片を片付けようとした。

「おいお前!謝れよ!」

「えっ?なんでっすか?」少し文句があるというような言い方をした。

「ウキ逆らわない方がいい」とエリナがウキの耳元で囁く。

「お前ぇー逆らうんじゃあねえよ!」といきなりウキを殴った。

 そのはずみで再び倒れたウキ。

 倒れたウキの脇腹にさらにドスッと蹴りを入れる。


「ウッ!」とうめき声を上げ仰け反った。

「何するのよっ!」エリナが叫んだ。

 アサシンのマリィがエリナの横に立ち、じろじろと見つめる。

「へぇ~あんた可愛い顔してるねぇ」

 肩にそっと手を乗せる。

「ねぇグレンこの子どう?」

「ん?おぉー・・・いい女だなぁ連れて行くか・・・」

 ニヤニヤしながらエリナに近づいてきた。


「やめてください!」

「なに?反応いいねぇ可愛いじゃん」

 グレンがエリナの顎を持ち顔を上げた。

 その場にいた他の冒険者隊は何も言えず、ただ見守るしかなかった。


 そしてその時、ギルドの扉が開き、ノアとナディア、セリナ達が入って来た。


「なにやってんの?」ノアの声がギルド内に響く。

 その声にギルド内が凍り付いた。

「ああん?誰だお前」グレンがノアを睨む。

「なんでウキが倒れてんの?顔に殴られた痕があるけど?それと、その子に触るな!!」

 グレンを睨みつけながら怒鳴った。

「おまえら俺たちを誰だと思ってんの?逆らっていいと思ってんの?」

 スナイパーのレーネがニヤつきながら言った。

「知るかよ。ただのクズだろ?」

「なんだと!誰がクズだ!!このヤローッ!!」


 レーネがノアに殴りかかって来たが、それを軽く躱し、蹴り倒した。

「てめぇー!!」グレンが剣を抜き斬りかかって来た。

 その腕を掴み、剣を叩き落すと髪を掴み後ろに引っ張ると、耳元で「いい加減にしろよお前、一回死にたいのか?」とドスの効いた声で言ったあと、離れ際に顔面にパンチを見舞った。


 グレンはそのまま大の字に倒れ、気絶した。

 その瞬間、ギルド中から「おぉぉぉ~っ」と声が上がった。

 ウキに近寄り「しっかりしろよお前、ケガは?」と声を掛け、ウキは「大丈夫っす」と返した。

「なんなのこいつら?」とエリナに聞くと「ウキがわざと足を引っ掛けられて、倒れたところに蹴りを入れられたのよ」とエリナが説明する。

「一方的に?」

「そう・・・」

「ぶっ殺してやろうかこいつら」

 ノアが怒りを露わにして言うと、ナディアが「落ち着いて!」と宥めた。


 すると、タンクのゴルドが近づき「すまなかった・・・」と頭を下げた。

「ちょっと調子に乗りすぎていたんだ。このギルドで一番だと思い込んでいたんだな」

「いや、自信を持つのはいいけど、他人にちょっかい出すのは違うだろ」

「その通りだ。ほんとにすまない」


 そうやってその場を収めようとしていたのに、それを全て台無しにするやつがいた。

 リーダーのグレンだ。目を覚ましたこの男は懲りずにまたノアに食って掛かった。

「ちくしょうちくしょうちくしょう!!俺たちは一番なんだよ!一番じゃなきゃダメなんだよ!このクソあまぁーー!!」


 そう叫びながらまたノアに斬りかかる。

 今度は回し蹴りを食らわすと「グハッ」と呻き声を上げて吹っ飛んでいき、倒れたグレンに近づき、髪を掴むとさっき買ったばかりの短刀を口の中に差し入れた。


「てめぇいい加減にしろよ!マジでぶっ殺すぞ!」

 すると先ほどのゴルドが駆け寄り「本当に申し訳ない!」とまた頭を下げた。

 ノアが離してやると「グレン!いい加減にしろ!!」と強く叱責した。


 そこに外出していたギルド長のココネが戻って来て、このギルド内の様子を見て「なんの騒ぎだい!」と一喝。

「ノア!どうしたの?」とノアを見つめた。

「こいつらがうちのウキに絡んできたんだ」


 それを聞いたココネは「またお前たちか!」呆れた様子で言った。

「このノアにお前たちが適う訳ないだろ。そっちのセリナにしたってそうだ、お前たちじゃあ敵わないよ」

「ノアって・・・あの噂の・・・?」

 ゴルドが思い出したように言う。

「噂ってなに?」

 ノアがゴルドに向かって聞いた。

「いや、ドラゴンを一人で倒したっていう・・・」

「一人じゃないよ、このセリナと一緒にだよ」

「いや、止めを刺したのはノアだけどね」と笑った。

「まあとにかくお前たちグランザイルには暫く謹慎してもらう。当分活動禁止だ」


 ココネがそう宣言するとグレンは「クソーーーッ」と言い残しギルドを飛び出して行った。

 




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