ミレスタへ帰還
「いいねぇ・・・」少し考えるように空を見上げた。
「よし決めた!私らのパーティーもバルデックに行くよ!」
「マジ?」驚いた顔をする。
「ああ・・・ノア達と新天地で暴れたくなった」
軽く言ったつもりだったのに、なんか本気のようだ。
「じゃあ私たちと一緒に行こう。行商人達の馬車に乗せてもらえるはずだから」
「そうなんだ、それはいいね」
「うん、護衛も兼ねてるけどね」
そうこうしているうちにナディアが戻って来た。
「もう少ししたら町に戻るって」
「そう・・・ところでカイは無事?」
「あっ体自体は大丈夫そうっす、ただ足が痛いみたいでまだ歩けないらしいっすよ」
大の字になって寝転んでいたウキが上半身だけ起こして、ノアに告げた。
「そうなんだ、まぁ大丈夫だろう」
よいしょっと言って立ち上がったノアは「さて、じゃあ戻ろう」と声を掛けた。
いったん村に戻って来たノアのパーティーとセリナ達のパーティーそれに、傷を負ったカイを抱えながら来たそのパーティーのメンバー達。
村に残っていた他のパーティーと騎士団が集合し、ギルド長のザリオが前に出て話し始めた。
「みんなご苦労だった!予想外の大物が出てきたが、なんとか退治できた。この村も魔物に襲われたが駆除できた。みんなのお陰だ!ありがとう!!さあ町に帰ろう!」
このあと村長も出て「皆さんのお陰です本当にありがとう」と深く頭を下げた。
一行はそれぞれの馬車に乗り込み、一路ミレスタの町へと帰還していった。
ミレスタの町に帰って来た一行は、いったんギルドに戻りそこで再度労いの言葉を掛けられた。
「本当にみんなありがとう、無傷の者はいないだろうから、今日はゆっくりしてくれ。明日報酬を渡すので再度来てくれ。時間はいつでもいい」
ギルド長ザリオの言葉の後、すぐに解散となりノア達は宿に戻ることにした。
宿に入ったところでちょうど行商人のリーダーにばったり出くわした。
「あっ!リーダー!」
「おぉーっノアちゃん達かー!」
「ちょうどよかった、話が合ったんだ」
「ん?どうした?」
「うちらの他に、もうひとチーム乗せてあげて欲しい」
「もうひとチーム?」
「うん、女の子ばかりのチームで4人なんだけど。うれしいでしょ」
ニタっとしながら言った。
「いいねぇ・・・4人か・・・まぁ大丈夫だろうまだ余裕はあるぞ」
「ありがとう!女の子ばかりだけど、その子達メチャクチャ強いから安心して」
「ほぉそりゃあいい、心強いな」
「それで、いつ出発するの?」
「そうだな明後日の朝出るぞ」
「それは都合がいい!わかった準備しておく」
部屋に荷物を置いて、食事に出かけることにした。
夜のミレスタは昼間の喧騒とは違い、どこか落ち着いた空気に包まれていた。
「姐さんが誘ってくれるなんて・・・何かあるんすか?」
「何もないよ、ただお腹すいただけだ」
ウキは「やったーー!」と飛び上がり、ナディアは「いいね・・・」と笑顔を見せた。
町の一角にある小さな食堂は、温かな灯りと香ばしい匂いで満ちていた。
焼き立ての肉、香辛料の効いたスープ、そしてふかふかのパン。
「めっちゃうまいっす!」
ウキが口をパンでいっぱいにしながら言った。
「ノアさん・・・ちょっと顔、穏やかになってる気がする」
ナディアがスープを飲みながらふと呟いた。
「そうかな・・・まぁあの戦いを乗り越えたら、少し気が抜けたのかも」
3人はしばし、戦いを振り返ったり、くだらない話をしたりと、穏やかな時間を過ごした。
店を出た帰り道。
ノアはふと通りの向こう側に立つ一人の女性に気づいた。
長く風になびく黒髪、薄いフードを被っているが、その横顔にどこか見覚えがあった。
――まさか
ノアが目を凝らした瞬間、その女性は人の流れに紛れ、すっと消えていった
「どうしたんすか?姐さん?」
「いや・・・なんでもない、ちょっと人違いだったかも」
そう言いながら、ノアの中では何かが静かにざわめいていた。




