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『NOA: Reincarnated for Revenge(復讐のための転生)』  作者: mikioneko


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14/52

討伐隊 ⓷

 森の奥へと討伐隊が入って行ってしばらく。

 村に残された者たちは、どこか落ち着かない様子で空を見上げていた。

 そしてその瞬間は突然やってきた。


 ズドン!!!


 轟恩とともに火球が空から落ちてきて、村の端の倉庫を粉砕する。

 火が上がり村人たちが悲鳴を上げて逃げ惑う。

「来たぞ!!迎撃態勢をとれッ!!」

 グランデル隊長の怒号が響き、騎士たち次々と剣を抜いて前線に駆け出す。

 畑の間から這い出してきたきたのは、フレイムゴブリンの群れ。

 火を纏った槍を振り回しながら、狂ったように突っ込んでくる。


「隊形を崩すな!村の中心を守れ!!」

 グランデルが盾を構え最前線で突撃を止める。

 その後方、村の裏手からシャドウリザードが地面を裂いて現れた。

 兵士の足元から飛び出し、下半身を喰いちぎる

「ひぃっ!きゃああああっ!!!」

 女性の悲鳴と血しぶきが重なった。

「下から来るぞ!足元を警戒しろッ!!」みんなに喝を入れる。

「前からゴブリン、後ろにはシャドウリザード・・・どうなってるんだ!クソッ!!」

 ゴブリンの襲撃を抑えていたグランデルが叫ぶ。


 どこから現れたのか、一人の女性がじっと佇んでこちらを見ている。

 すると突然「失せろ!!」そう叫んで大きく両手を広げたその瞬間、

 バーーンと激しい音と共に強烈な光が辺りを照らした。

「・・・??何が起こった・・・?」

 音と光が止みそっと目を開けると、そこにはゴブリンとシャドウリザードの死体が転がっていた。

「・・・??」呆気にとられる騎士たち。

 グランデルがその女性に近づき「あんたは?」と問う。

「いえ、それじゃあ」と言い残しその場を離れて行った。

「誰なんだ?」騎士たちが口々に言っていた。

「どこかで見たことがあるような気がするんだが・・・」


 ギルド長が言うと、騎士団長のグランデルも「そうなんだよ・・・」と頷く。

 二人の会話を聞いていた村人が「あの人きのうからこの村に来ているのですよ」と告げる。

「きのうから?」

「はい、旅をしていると言っていました」

「旅を・・・?」

「あれだけの数の魔物を一瞬で殲滅するとは・・・かなり高位の魔導士か?」


 カイ、セリナ、ノア達それぞれのパーティーは森の深部まで進んでいた。

 ブラッドファングを倒した後、辺りの空気が一変した。

 草木のざわめきが止まり、静寂すら襲い掛かるような重圧に。

「・・・感じる、奥に何かいる」ノアが言った。

 カイがみんなに言う「これからが本番だぞ!集中しろ!」

 セリナが剣に手をかける。

 フィオナは無言で魔力を練り始め、リズとアイナが周囲を警戒する。

 ナディアが「ノアさんあれ見て」と森の奥を指さす。

 そこには焼け焦げたような地面が広がっていた。


 地面には獣の死骸、炭になった樹木、残された巨大な足跡。

「こ、これは・・・!」ウキが何かを感じたようだ。

「ウキ?どうした?」

 木々の隙間から、ドクン・・・ドクン・・・と重たい鼓動のような音が聞こえる。

「なにか来る!」ナディアが叫んだ。

 ノア達が構えた直後、森全体が一瞬息を止めたように沈黙した。

 次の瞬間――。

 バギィィィィィィンッ!!!!

 地面が弾け飛び、漆黒の“それ”が姿を現した。

 四肢を地に這わせた長大な身体、焼け焦げたような鱗。

 血のように赤い双眸。


 “ナイトメア・ドレイク”それは、悪夢を喰らう闇の竜。


 風が止まり、空気が凍る。

 木々はそのプレッシャーだけで軋み、葉が一斉に舞い散る。

「あれがこの森の支配者か・・・」カイが低く呟く。

 その瞬間、ドレイクの瞳が彼らを捉えた。

 息を吸い込む音・・・。

「ゴォォォォォォォォッ!!!!!」

 空間を捻じ曲げるような咆哮が森に響き渡った。

 それだけで全員が一歩、無意識に後退する。

「くっ・・・こ、これは、やばい…ブラッドファングの比じゃない!!」リズが叫ぶ。 


 セリナは顔を強張らせながらも、前に出る。

「怯むな!!ノア、どうする?」

 ノアはわずかに目を細め、刀の柄に手を添える。

 その視線は―竜の奥、さらに森の奥を見据えていた。

「これは囮だ」ノアが小さく呟いた。

「えっ・・・?」ナディアが振り返る・

「この気配…この空気・・・まだ本命は奥にいる。そいつは門番、私たちを通すわけにはいかない“守護者”だ」


 ナイトメア・ドレイクが大きく口を開いた。

 黒い霧が、溶けるように広がっていく。

 その霧を吸った木々が一瞬で鎖落ちていった。

「離れろ!毒だ!!」カイが叫び、全員が咄嗟に飛び退く。

「距離をとれ!フィオナ、風の魔法は使えるか!」

「できる・・・けど、普通の風じゃ吹き飛ばせない・・・」

 フィオナが額に汗を浮かべ、魔力を凝縮させ始める。


 その時、ノアが音もなく刀を抜く。

 彼女の目が静かに光を宿す。

「こいつは私が引き受ける。その間に他の魔物がいないか調べて。カイ、お願い」

「…了解!」カイが短く頷く。

 カイ達は一斉に散って行った。

「来い!バケモノ!!私が相手だ!!」ノアが刀を構えて、じっと見つめる。

 ナイトメア・ドレイクもノアを見つめていた。

 どちらが先に動くか、間合いを取っているようだ。

 ジリ、ジリ、と間合いを詰めると、ノアは静かに踏み込み地を蹴った。

「早っーー!」リズが息を吞む。


 ノアの日本刀が、ナイト・ドレイクの右前脚を切り裂いた。

 しかし、カキィィンと硬質な音。鱗が浅く避けただけ。

「やっぱり硬い・・・!」

 ドレイクが反射的に尾を振るう。

 視界が黒く染まるほどの巨大な尾―――。

 ノアはギリギリでかわし、すれ違いざまに左目を狙う。

「せええいっ!!」

 刀が軌跡を描く――しかし、ドレイクが頭を反らした。

 爪が唸り地面を削りながらノアに迫る。

 咄嗟に後方へ飛び退くが、着地と同時に追撃が来る。

「ノアさんっ!!」ナディアが叫ぶ。


 だがノアは冷静だった。

「近づきすぎた・・・。なら今度はーー」

 構えが変わる。

 刀を鞘に収め、ノアの足が:低く沈む。

「居合・閃華」

 ドレイクが前進する。


 次の瞬間――。


 シュバァッッ!!

 視認すらできない斬撃が走る。

 ドレイクの右前脚が一瞬だけ停止した。

 そこに細く光る裂け目が走りー―ズンッ!と地面に崩れた。

「いけた・・・!?」

 だがドレイクはそのまま咆哮を上げる。

 口元に魔力が集まり、黒紫のブレスがチャージされる!

「ナディア!フィオナ!援護を頼む!」

 ノアの声に森の奥から叫びが返る。


「蒼風の盾・ガルナス!!」

 フィオナの魔法が発動され、ブレスの直撃を逸らす風のバリアが展開される。

 ナディアの弓がブレスの放出口へと放たれた。

「今よノア!!」

 ノアの目が細められる。

 ドレイクの口元、僅かに鱗のない一点が見えた。

「そこっ!」

 空間を滑るように踏み込み、渾身の一撃を喉元に突き立てる。

 ドレイクが苦闘の声を上げ森を揺らす。

 だがまた立ち上がった。

 ノアの声が荒くなる

「・・・っ、しぶとい・・・でも・・・これで終わらせる」

 深く息を吸う暇もなく、ドレイクが猛然と襲い掛かって来た。

「くっ・・・!」


 ――もう避けられない…刹那、誰もがそう思った。


 その時だった。


 ――キィィィィン・・・!


 澄んだ音が森に響いた。

 直後、紫黒の瘴気を纏うドレイクの前脚が、何かに弾かれたように吹き飛ばされた。

 爆風と閃光が空間を断ち割る。

「な、なに!?」

 周りにいた仲間たちが目を見開いた。

 煙の中に誰かの影があった。

 風が流れ、ローブがなびく。 


 それは――あの時村の危機を守った旅の女。


「だれ?」


 彼女の手に魔力が集まっていく。

 詠唱の気配すらない、無詠唱の大魔法――。

「深淵葬火・イルディナ!」

 空が震え、竜の体が紅蓮の柱に包まれた。

 ドレイクが咆哮を上げる。

「今よっ!」

 彼女の声が響く。


 ノアの瞳が光を放ち、再び刀を構える。

「いく!」

 地面を蹴りドレイクに向かい駆け出した。

「はあぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」

大きく刀を振り上げ、ドレイクの頭から一気に振り下ろした。

 シュバァァァッと音と共に森が閃光に包まれる。

 ナイトメア・ドレイクの身体が真っ二つに裂けた。


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