・・・始まり。
始まりました。
※残酷な描写がありますので、ご注意ください。
玄関から慌ててリビングに入ると、そこには目を疑うような光景が広がっていた。
床にはべっとりと血液が溜まり、壁には飛び散った血と手の形があった。
――何が起こっている??
部屋の隅で、血に染まったナイフを持った男が、返り血を浴びた顔をこちらに向けた。
「だれだ?」と呟いたように見えた。
――あいつは・・・?
リビングの奥に家族が血まみれで、重なりあうようにして倒れていた。
――えっ・・・!?なに・・?? な、なんてことを・・・・!!!!
絶句した。
「おまえぇぇぇぇーーーーっ!!!なにしてるんだぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!!」
思わず叫んだ。
――こいつがやったのか・・・許さない・・・・っ!!!
そう思うのと同時に体が勝手に動いて、男に向かって行った。
男もこちらを見ると、笑いながらナイフを構えて、すごい勢いで迫ってきた。
「ングッ!!」
咄嗟に体を躱そうとした瞬間、強い衝撃とともに、腹部に鋭い痛みが走った。
――・・・クソッ!!さ、刺された・・・!!
刺したナイフを横に切り裂こうとした。
「があぁぁぁ・・・」
――こいつ・・確実に殺そうとしてやがる・・・それに笑ってる・・・。
ブチッと頭の中で音がした。
「クソ野郎ぉぉぉぉ――――!!! ああああああああああああーーーーーーーっ!!!」
全身が震えた。
だが、これは決して恐怖ではない・・・・・・。
―――怒りだ。
刺したその男の腕を掴むのと同時に髪の毛を鷲掴みにして、引き倒して覆いかぶさり、自分に刺さっているナイフを抜く。
両手で持ったそのナイフを、男のニヤついた顔面目掛けて渾身の力で振り下ろした。
グサッグサッグサッと、なんどもなんどもなんどもなんども・・・・・。
同時に自分の体から血液が噴き出している。
徐々に意識が遠のいてゆく・・・
真っ暗な闇の中で・・・
「わたし・・・死ぬんだ・・・・・・」
・・・と呟いた・・・。