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凍子ルート最終話

 拝啓、健人ちゃんへ

 あなたがこの手紙を読んでいる時、私はもう遠くへ行って二度と会うことは無いでしょう。

 健人ちゃんと過ごした日々はとてもキラキラしていて、とても眩しかったです。

 私はこのままあなたと付き合って、結婚して、死ぬまで幸せな日々が続く。そう信じてました。

 あなたが凍子を選んだことは裏切りとは思いません。

 私はあなたたちがこれから先、幸せになることを願っています。

 雄一郎君から、彼が前世の頃から私に抱いていた気持ちを告白されました。

 彼は私さえ良ければ、付き合いませんか?幸せにしてみせます。と言ってくれました。

 けど私は工藤明菜さんを大事にして。とだけ伝えました。

 だって、健人ちゃん以外の人と付き合うことに抵抗があったし、雄一郎君には工藤明菜さんという恋人がいるから、彼女との時間を大事にして欲しかった。

 私は1人になりました。なので、もう失うのはこの命だけ。

 最後に一つだけ。

 とても幸せな日々をありがとう。


 翌日学校に着くと、俺の机の上に一通の手紙が置いてあった。

 差出人は明記されていないが、文面から凜々だと察することが出来た。

「悪い凍子、俺早退する。先生には上手く言っててくれ」

 それだけ言い残し、足速に廊下を進み昇降口へと向かった。

 教室から出る際、凍子の「健人!?」という驚きの声が聞こえたがブレーキは踏めなかった。

 学校を出て、凜々の家へと向かう。

 ピンポーン。

 誰も出ない。

 ピンポーン。もう一度コールする。

「あんた、健人くんやろ?」

 塀の外からおばあさんに声をかけられた。

「はい。そうです」

「この家の人は、さっき救急車に乗って病院へ行ったよ」

「さぁ?わからんのぉ」

 おばあさんは困り顔で答えた。

「でもほれ、この家のお母さんから紙を預かったぞ」

 塀の外へ出ておばあさんから1枚のメモ用紙を受け取る。


 "今村健人さんへ"

 "緑黄総合病院にてあなたを待ちます"


 凜々のお母さんの字だ。

「ありがとうございます」

 緑黄総合病院なら歩いて行ける。

 おばあさんにお辞儀して病院へと向かう。

「健人!」

「凍子!?」

 はぁはぁと息を切らして凍子が追ってきていた。

 汗だくでアホ毛もヘナヘナだ。

「お前なんで!?」

「これ読んで大人しくいられるわけないでしょ!?」

 うっかり手紙を教室へ置いてきていたようだ。

「読んだのか?」

「ここにいるんだから当たり前よ。それと雄君と明菜さんにも読ませて来たから」

「お前、勝手なことするなよ!」

「勝手なことってなによ!?これはあんただけの問題じゃない!あたしと雄君にも問題があるのよ!」

「そうだぜ、健人ちゃん」

「雄一郎……」

 幼なじみが3人揃った。

「それで?緑葉さんはどこに行ったんだ?」

「ここだよ」

 おばあさんから貰った紙を見せる。

「ここまでならすぐだな」

 雄一郎が歩き出す。

「お前らなんで?」

「俺らにとってあの子は、色んな意味で大切な存在だからだ」

「そういうこと」

「凍子、雄一郎」

「ほら、しゃんと歩け!さっさと行くぞ」


 病院へはすぐだった。

 中へ入るなり、凜々のお母さんが近づいてきて、俺の頬に鈍い衝撃が走った。

 ビンタされたと気づいたのは、ワンテンポ遅れてからだ。

「あんたのせいよ!娘が、凜々が死んだのはあんたのせいよ!」

 ヒステリックに叫び散らす。

 そうか、凜々は死を選んだのか……。

 呆然と、頭の中が真っ白だった。

 凜々のお母さんが言うには、自信で首を吊っていたそう。

 あれ?ならどうやってあの手紙を俺の机の上に?

 そんな疑問がよぎった。

 ただ考えても頭が真っ白で思考が回らない。

「ごめんなさい」

「ごめんなさいで済む問題じゃない!あんたが……あんたのせいで……!うぅ……」

 凜々のお母さんは泣き始めてしまった。

 俺のせいだ。

 俺が凍子を選ばなかったらこんなことには……。

「お母さん。あの子のことはあたしも残念です。償えるなら償います。健人と二人で」

 凍子……?

「健人は、あたしを選んだせいだって責任をおわせたくない。だから二人で凜々に償います!」

「どうやって?」

「それはこうやってです」

 不意に腹部に鋭い痛みが走った。

 凍子が果物ナイフで俺を刺したのだ。

「健人だけではありません」

 そう言い、彼女は自身の喉仏を俺を刺したそれで自ら突き刺した。

 ぶしゃあ!と俺たちは大量の血を吹き出した。

 薄れゆく意識の中俺は最後に

「凍子、凜々、雄一郎。ごめん」

 それを絞り出した。

 キャー!という悲鳴を聴きながら俺の意識は闇へと落ちていった。


 side凍子

「天野凍子さん。これでよかったのですか?」

「ええ、あの子だけ除け者にしてあたし達だけが幸せになろうなんてできないわよ。このまま生きていても健人はもうあたしを見てくれない。凜々という亡霊に付きまとわれるなら、これが一番よ」

「そうですか。あなたの物語はこれで幕を閉じます。後悔はありませんね?」

「ええ。一時でもいい夢見れて幸せだったわ」

なんかあれだね。

刃物で刺してることに頼ってるね、私。

次は紅葉ルートですが、次のルートではこんなことにはならない。

多分

という訳で凍子ルートENDです

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