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はねっかえり天使は神様なんて信じない  作者: 暖乃
序章 天使と堕天使
7/28

間話 行きたい理由は

時系列的には第4話の夜会話の後くらいです。

私が人間界に行きたい理由。

ライラに聞かれた時は咄嗟に誤魔化してしまったけど、実はもう一つある。


私は、私の正義を貫きたい。

神様の決めた正義じゃなくて、今みたいに口だけじゃなくて、ちゃんと貫きたい。だから、人間界に行きたい。ここにいたら一生「神様のため」とか、「神様の意思」とかそういう呪縛から逃れられないだろうから。


少し、昔の話をさせてほしい。

学校にいた頃から、周囲との違いは薄々感じていた。周りの皆は、神様に心酔して心の底から尊敬していた。

だけど私は違った。

神に逆らうつもりはなかったし、別に従うのが嫌だとか、気に食わないだとか思っていたわけでもなかった。

でも、尊敬はしてなかった。

目上の存在っていうレッテルを貼られているから、周りにそうすることを求められているから、だから相手を敬う態度を取るし、言うことも聞く。でもそれだけ。

そこに敬意なんてものはなかった。


学校にいた頃はそれで困ることはなかった。幸いにして、私は他人に何を求められているのか察するのも求められる人物像を演じるのも得意だったから。


それに、演じることにも、自分を曲げることにも、別に拒否感はなかった。

ライラ、あの子と会うまでは。


会ったばかりの頃のライラは誰よりも真っ直ぐだった。真っ直ぐすぎて、何もかも真正面から受け止めて、受け止めきれずに折れそうになってた。

だからほっとけなくて声をかけた。


そしたら、なぜかすっごく懐かれた。本当になんであそこまで懐かれたのかは今も謎だ。

とにかくあの子は愚直なくらいに私を信じて、頼ってくれた。だから、大丈夫かなって思えたんだ。ライラの前なら演じなくても、素を出しても大丈夫かなって。

それに、ライラを見てたらなんだか自分を曲げるのが嫌になったんだよな。いや、本当はずっと前から嫌だったけど、上手く生きていくにはそうするしかなかったから気付かないふりをしていただけなのかもしれない。


私の中で正義ってものが芽生え始めたのは、この頃だったと思う。神を信じて従うだけじゃ守れないものがある。それだけじゃ神の定めた善いものしか守れない。だから私は私の大切なものを守れる正義になろう。

同い年なのに小さな子供みたいに笑うライラを見ながら、漠然とそう思った。


学校を卒業して見習い先を決める時も、正義を司る役割があると知って、そこにしようと即決した。そこで私は私なりの正義をみつけようと思っていた。

でも、結論から言うと正義を司るなんてのは嘘だった。結局、そこでもみんな神に従うだけだった。

私は主に懲罰を担当する部署に配属されて、理由も分からないまま人を殺した。


私には彼らは悪には見えなかった。なぜ罰するのかも教えられなかった。ただ、そうしろとだけ言われた。

そして私は、それに逆らえなかった。

嫌だとは思った。でも、私の顔は勝手に笑顔を作って、私の口は勝手に「はい!」とハキハキ返事をした。

ずっとずっと、自分を曲げて生きてきた代償だろう。いざ曲げたくないものができたときに、それを守るすべを私は持っていなかった。


初めて人を殺した時の感触は、死に行く人の悲鳴は、ずっと手に、耳にこびりついて離れてくれない。私は吐きそうだった。


それでも私が折れずに、自分の正義を失わずにいられたのはライラが信じてくれてたからだ。

こんな、行動の伴わない口先ばかりの正義でも、信じてくれる人がいたから私は失わずにすんだ。

曲ってしまっても確かにそこにあった。


だからもう一度、真っ直ぐ伸ばして、今度は絶対に貫き通すんだ。神に直接管理された世界を離れて、敵対するなら今度は真っ向から神の正義を貫いてやる。

私はもう自分を曲げたくないから。自分を信じていたいから。


今はまだ信じれないけど。

ねえ、ライラ、信じていいよね?

今はただ、私のことを誰より真っ直ぐ信じてくれたあなたのことを信じるよ。


今度話す機会があったらちゃんと伝えないとな。


見返して思ったんですが、間話多すぎません?

皆さんどうやって本編の中に上手くまとめてるんでしょうか…?

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