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はねっかえり天使は神様なんて信じない  作者: 暖乃
序章 天使と堕天使
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間話 私の太陽

*ライラ視点


セレナちゃんは私の親友だ。


しっかり者で優しくて、昔から困ったときはすぐに助けてくれた。真面目で勉強もできるけどノリも良くて、私のしょうもない話にもちゃんとリアクションを返してくれる。たくさん注意されることはあるけど、絶対に私のことを見放したりしない。


人間の言うお母さんみたいって言ったら同い年だろってツッコまれた。でもやっぱりお母さんみたいだと思う。

親友で、お母さんで、世界で一番大好きな人、私にとってのセレナちゃんはそんな存在だ。



セレナちゃんと初めて会った日のことは今でもはっきり覚えてる。

あれは初等学校二年生の二学期、雲一つないよく晴れた日だった。その日は席替えがあって私はセレナちゃんの隣の席になった。


セレナちゃんとはそれまで話したことはなかったけど、話してみたら面白い子ですぐ仲良くなれた。


「ライラちゃんって放課後もよく残って勉強頑張ってるじゃん。すごいよな~私には絶対無理」


私にとってセレナちゃんが"特別"になったきっかけはそんな一言だった。この何気ない一言で私は救われた。


当時から私はあんまり優秀な方じゃなかったから学校に入ってからは置いてかれないようにと頑張っていた。

でも私の心は早々に折れかけていた。


出来ないことがあると周りの大人は「そんなことじゃ将来神様の役にたてないぞ」「神様のために努力しろ」と、人によって言い方は多少違うがみんな口を揃えて同じようなことを言った。


私が努力して出来なかったことができるようになると「神様の導きのおかげだ」「神様に感謝しなさい」とそう言われた。


神様の役に立てない私には価値はないの?

私の人生なのになんで何もかも神様のためにやらないといけないの?

できなかったことができるようになったのは神様のお陰なんかじゃない、私が努力したからだもん。

もっと遊びたかったけど我慢して、我慢して、たくさん頑張ったんだよ?


ただ努力してることを認めてほしかった。成長したことを褒めてほしかった。

確かに私は神様に使える天使だけど、でも自分の意志があって私なりに精一杯生きてるんだって知ってほしかった。


だからセレナちゃんの言葉に救われた。


この子は私が頑張ってることを知ってくれてたんだ。そしてそれを、神様じゃなくて頑張ってる私自身を、すごいと思ってくれてるんだ。と、当時はそこまでちゃんと自分の気持ちを理解してた訳じゃないけど、とにかく嬉しくって泣きそうになったのを覚えてる。


セレナちゃんは太陽みたいだと思った。

肩くらいの長さで切り揃えられた、光があたるとキラキラ輝く金髪も、雲ひとつ無い青空をそのまま映したような水色の目も、私の心を明るく照らしてくれたその言葉も全部が

眩しくて、あったかくて、綺麗だと思った。




堕天使になってしまったときも最初に思い浮かんだのはセレナちゃんの顔だった。

セレナちゃんならきっと見捨てたりしない。助けてくれる。そう根拠も無く思えて、久しぶりに家を訪ねた。


セレナちゃんは最初ポカンとしてたけど堕天使になったと言っても何があったのか聞かずに匿ってくれた。


神様みたいに、高いところから世界中を照らす太陽じゃどうしても陰ができちゃう。でもセレナちゃんは今も昔も私の隣で私を照らしてくれた。


私の、太陽だ。


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