第17話:物語を変える力
「それを実現しようとしているの?」
「そうだ。しかも彼女だけではない。隣国の王女も、別のプレイヤーの意識が宿っている」
「じゃあ、隣国からの侵攻の噂も…」
「現実になろうとしている。彼らは君が作り上げた物語を、自分たちの思い通りに動かそうとしているんだ」
恐ろしい事実に、背筋が凍る思いがした。
「もし彼らの思い通りになれば、この世界はゲームのバッドエンディングを迎えることになる。クラリスの処刑、そして魔王の討伐。その後に続く隣国との戦争で、この国は滅びる」
「そんな…でも、それを止める方法は?」
「一つだけある」
ハインは真剣な眼差しで私を見つめた。
「君が新たな結末を書くんだ。創造主として、この物語に真のエンディングを与えるんだ」
「私が…?」
「君の魂には創造の力がある。君がこの世界に転生した理由は、まさにそれなんだ」
突然、遠くから鐘の音が響いてきた。王都からの警報だ。
「私の脱獄が発覚したのね…」
「時間がない。彼らはすぐに動き出す」
ハインは立ち上がり、私の手を引いて立たせた。
「行くぞ。隣国の国境へ」
「でも、どうやって?」
「私の力で」
彼は私をしっかりと抱きしめた。その瞬間、私たちを包むように黒い翼が広がった。魔王の真の姿だ。
「準備はいいか?」
「ええ」
恐怖よりも、彼への信頼が勝っていた。私はハインにしっかりと抱きついた。
「行くぞ」
黒い翼が大きく羽ばたき、私たちは夜空へと飛び立っていった。
空から見下ろす王国の灯りが、次第に小さくなっていく。そして遥か彼方に、隣国との国境線が見えてきた。
「永遠の約束…今こそ、私が物語の結末を書き換える時ね」
ハインの腕の中で、私はそう誓った。
でも、プレイヤーの意識を持つエリザベスたちと対峙したとき、私は本当に物語を変える力を発揮できるのだろうか?そして、その先に待つ運命とは——